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オーガニック食品から化粧品、家電、建物やホテルを対象としたもの、企業が取得するマークまで、国内外には数多くのマークがある。本記事では、サステナブルやエシカルをテーマにした25種類のラベルについて、一覧で紹介。それぞれの意味や基準について解説する。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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・開発途上国の原料や製品が公平な条件で取り引されていることなどを認証する制度
・対象:コーヒー、コットン、チョコレート(カカオ)、茶、花など
・運営機関:国際フェアトレードラベル機構
開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目的とした「公平な貿易」の仕組み。日用品や食料品の多くは開発途上国で生産されている。だが、より安価にするために、生産者や労働者へ正当な対価が支払われていなかったり、子どもが学校に行けずに働いたりしている場合がある。
国際フェアトレードマークがついた製品を購入することは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で購入することになり、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を支援することになる。
・持続可能な農業を推進するための包括的な認証制度
・対象:コーヒー、紅茶、マカダミアナッツ、バナナなど
・運営機関:レインフォレスト・アライアンス
商業伐採や農地への転用などにより、世界の森林が急速に減少し、生物多様性や気候変動に悪影響を及ぼしている。さらに途上国の農業生産者の劣悪な労働環境と低い賃金が問題となっている。
そのような問題に対応するため、熱帯雨林をはじめとする森林や、そこで暮らす野生生物、農民や森林コミュニティを多種多様なパートナーと力を合わせて守り、持続可能な世界を目指している。
認証取得には、独立した第三者機関による審査を受け、農園は持続可能性の3つの柱(社会・経済・環境)をもとにした厳しい基準要件に準拠することが求められる。
・持続可能な森林資源で伐採された木材を消費者に届けるための認証制度
・対象:森林管理、木材の管理
・運営機関:FSC(森林管理協議会)
FSC認証とは、適切に管理された森林で伐採した木材を消費者に届け、得られた利益を生産者に還元する国際的な取り組みだ。FSC認証がつくられた目的は、森林破壊を抑制し、持続可能な森林資源を次世代に残すこと。
FSC認証には、森林自体が適切に管理されていることを証明する「FM認証(森林管理の認証)」と、FM認証を受けた森林からの木材・木材製品であることを認証する「CoC認証(加工・流通過程の管理の認証)」の2つがある。
・持続可能な森林管理の促進を目指す森林認証制度
・対象:森林管理、木材の加工・流通過程の管理
・運営機関:PEFC(Pan European Forest Certification)
PEFC森林認証とは、持続可能な森林を維持するための国際認証制度だ。森林の生物多様性や生産性、再生性に関わる能力を維持しつつ、森林の果たす各種の機能を維持し管理することを目的としている。
認証には、森林生態系の健全性と活力の維持、森林の生産機能の維持・促進など、6つの基準がある。日本独自の森林制度であるSGEC(エスジェック)は、相互承認されている。
・クルエルティフリー(動物実験が行われていないこと)を認証する制度
・対象:化粧品、日用品など
・運営機関:アメリカとカナダはCCIC(Coalition for Consumer Information on Cosmetics)、それ以外の国はクルエルティフリー・インターナショナル
クルエルティフリーとは「残虐性(クルエルティ)がない(フリー)」の意味で、動物実験が行われていないことを指す。原料から開発、製造、製品の流通まですべての工程で動物実験が行われていないことを表す。
認証を受けるには、動物実験を行なっていないことはもちろん、動物実験を行なった原料を使用しないことも求められる。リーピングバニーのマークがついた化粧品は「クルエルティフリーコスメ」と呼ばれ、消費者の選択にも大いに役立つ。
・有機食品であることを認証する日本の制度
・対象:有機農産物、有機畜産物、有機加工食品、有機飼料
・運営機関:農林水産省に認可された登録認証機関
有機JAS制度とは、JAS法にもとづいて有機JASに適合した生産が行われていることを認証する制度。有機JASマークを使用し、「有機」と表示するためには、この認証を受ける必要がある。
有機JASマークでは、農畜産業において、化学合成肥料や農薬を使用しないことを基本としている。さらに、遺伝子組換え技術の使用禁止など、環境への負荷を低減しながら持続可能な生産ができるような基準を規定している。
・アメリカのオーガニック認証制度
・対象:農産物、畜産物、アルコール・タバコ、テキスタイル、化粧品など
・認証機関:アメリカ農務省
USDAオーガニック認証とは、アメリカのオーガニック認証制度で、アメリカ農務省(United States Department of Agriculture、USDA)が運営を行っている。
製品の栽培・加工・取り扱いについて、厳しいオーガニックの基準が設けられ、認証を受けるためにはその基準を満たす必要がある。さらに化学肥料や成長ホルモンの使用、遺伝子組換え原料の使用、下水汚泥などを禁止。製品そのものの安全性はもちろん、地球に配慮された工程でつくられているかもチェックの対象となる。
USDAオーガニック認証には、オーガニック原料の割合等によって、「100%Organic」「Organic」などの4つのカテゴリーがある。
・EUのオーガニック認証制度
・対象:農産物、加工農産物、畜産物、飼料、ワインなど
・認証機関:欧州委員会(Europian Commission)
EUの政策執行機関である欧州委員会(Europian Commission)が制定するオーガニックの規則に則って、生産・加工されたものであることを証明する制度。EU加盟国で商品に「オーガニック」と表示して販売するためには、この認証を受けなければならない。
EUオーガニック認証のマークがついている商品は、オーガニック成分が95%以上含まれているものである。EUオーガニック認証の基準としては、農産物の場合、遺伝子組換え作物や人工肥料・除草剤・殺虫剤、ホルモン剤の使用等が禁止されている。
・オーガニック繊維製品のための認証制度
・対象:糸や生地などの中間製品、衣服、ホームテキスタイル、ベッド用品、パーソナルケア製品
・認証機関:グローバル・スタンダード非営利活動有限会社に承認された認証機関
「GOTS(ゴッツ)」とは、テキスタイル分野のオーガニックに関する世界基準のこと。日本では「オーガニックテキスタイル世界基準」と呼ばれる。
GOTS認証は、コットン、ウール、麻、絹などの原料が、製品として消費者の手にわたるまで「繊維製品が正しくオーガニックである」ことを保証する。認証を受けた製品は、原料の70%以上がオーガニックだ。
GOTS認証の基準には、製品の追跡可能性(トレーサビリティ)が確保されていることや、オーガニック以外の製品との混同・汚染されていないことなどがあり、すべての工程で厳格な基準をクリアしなければならない。
・オーガニックコスメの認証制度
・対象:化粧品
・認証機関:国際非営利組織 COSMOS Standard AISBL
コスモス認証(COSMOS認証)とは、オーガニックコスメの品質を認証する国際的な制度のこと。「COSMOS」は「Cosmetic Organic and Natural Standand」の略。もともとヨーロッパ各国でオーガニックコスメの基準が制定されていたが、これらを取りまとめ、2011年にコスモス認証が制定された。
コスモス認証には「有機農業で生産された製品の使用を促進し、生物多様性を尊重する」「天然資源を責任を持って使用し、環境を尊重する」などの基準が設けられている。遺伝子組み換えが行われている作物の使用や動物実験の実施も禁止している。
コスモス認証には、化粧品の最終製品を対象とした「コスモス・オーガニック」と「コスモス・ナチュラル」のほか、原料を対象とした「コスモス認証」「コスモス承認」がある。
・持続可能な漁業で獲られた水産物につけられるマーク
・対象:天然の水産物
・管理団体:MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)
水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業で獲られた水産物につけられるマーク。世界的に見ても水産資源は獲りすぎている状態で、この問題に対応するため、将来の世代まで水産資源を残していくためにMSC認証制度とMSC「海のエコラベル」が生まれた。
「MSC漁業認証」を取得した漁業で獲られた水産物にMSC「海のエコラベル」をつけるためには、「MSC CoC認証」が必要になる。海藻を対象とする場合は、「MSC漁業認証」の規格ではなく、「ASC-MSC海藻(藻類)規準」をもとに審査が行われる。
・養殖水産物を守るための認証制度
・対象:養殖水産物(サーモン、エビなど12種類の魚介類)
・運営機関:ASC(水産養殖管理協議会)
ASC認証は、WWF(世界自然保護基金)とIDH (オランダの持続可能な貿易を推進する団体)の支援を受けて設立された、養殖水産物を守るための国際規格。
利益だけを追求するずさんな養殖では、水質汚染や海洋汚染といった環境問題が生じやすく、劣悪な労働条件のもとで働かされる労働者などの人権問題もある。これらの問題解決のために、詳細な判定基準が策定されている。
・環境保全に役立つと認められた製品につけられる環境ラベル
・対象:日用品、OA機器、家電、各種サービスなど
・運営機関:日本環境協会
エコマークとは、生産から廃棄にわたるライフサイクル全体で環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる環境ラベルのこと。持続可能な社会づくりを目的としている。
エコマークの認定基準は、商品のライフサイクルに注目しているのが特徴。「資源採取」から「製造」「流通」「使用消費」「リサイクル」「廃棄」までのすべての過程において、環境評価項目をクリアするか審査している。
・資源を永続的に有効活用する製品サイクルであることを認証する制度
・対象:化粧品、デニムなど
・認証機関:EPEA(環境保護促進機関)
C2Cとは「Cradle to Cradle」の略で、「ゆりかごからゆりかごまで」を意味する。循環型のプロダクトをデザインし、再利用できない廃棄物を一切出さないモノづくりをするという考え方。モノがライフサイクルの最終段階を迎えたとき、ごみとして処分せず、資源としてほかのモノの生産に活かそうというものである。
環境への負荷を減らすだけでなく、環境にプラスの影響を与えることを大事にしている。
・家電製品・オフィス機器の省エネルギー性能を評価する環境ラベリング制度
・対象:家電製品、オフィス機器など
・管轄:経済産業省 資源エネルギー庁
国際エネルギースタープログラムは、省エネルギーな家電製品・OA機器の認証制度。アメリカと日本の両政府が合意し実施しており、現在ではカナダ、スイス、台湾も参加し合計5ヶ国・地域が共同で実施している。米国EPA(環境保護庁)によるエネルギースターの基準を満たす製品にロゴの使用が認められる。
・家電製品が省エネ基準をどのくらい達成しているか表示するマーク
・対象:エアコン、電気冷蔵庫などの家電製品
・管轄:経済産業省・資源エネルギー庁
省エネラベルとは、家電製品などが省エネ基準をどの程度達成しているか表示するマークのこと。
省エネラベル制度には、省エネルギーラベル、統一省エネラベル、簡易版統一省エネラベルの3つがある。消費者が家電製品などを購入するとき、省エネ性能が優れている製品を選べるよう、省エネ基準の達成率などがわかりやすく表示されている。
・人や環境に配慮した建物を評価する国際認証制度
・対象:小売業用の建物、学校、ホテル、戸建住宅、共用住宅など
・運営機関:非営利団体USGBC(U.S. Green Building Council)
LEED認証マークとは、設計・建設段階や維持方法などにおいて、人や環境に対する安全性を配慮した建物を評価するマーク。このマークがある建物は、資源を削減し、再生可能なクリーンエネルギーを促進する建物だとわかる。
LEED認証の特徴のひとつに、新築だけでなく既存建物も対象になっていることが挙げられる。改修工事を実施する他、改修工事を行わなくても運用やメンテナンスによる改善も認証されるケースがある。
・サステナブルなホテルのための認証制度
・対象:ホテル
・認証機関:BIO HOTELS JAPAN(日本ビオホテル協会)
「BIO HOTEL(ビオホテル)」とは、食事やアメニティにオーガニックな製品を使用し、再生可能エネルギーを活用するなど環境保護に積極的に取り組んでいるホテルのこと。厳しい基準を満たしたホテルのみが「ビオホテル」と名乗ることができる。
認定基準には、フード、コスメティック、環境の3つが設けられている。フードについては、生態系や環境への負荷に配慮した生産方法なのか、ホテルと同地域または国内で生産されている食材を使用しているかといった指標が定められている。
・環境に配慮した宿泊施設を見分けるための認証制度
・対象:ホテルなどの宿泊施設
・認証機関:非営利活動法人FEE Japan
グリーンキー(Green key)は、環境に配慮した宿泊施設に与えられるエコラベル。認証を受けるためには、ごみの削減、リサイクル、省エネ、節水などの取り組みを行うなど、環境保全に取り組んでいることなどが求められる。
・国連が推進する持続可能な観光を指標化した目標のこと
・対象:観光地
・運営機関:世界持続可能観光協議会(GSTC)
サステナブルツーリズムとは、直訳すると「持続可能な観光」。観光地の豊かな自然や資源、その地域の文化を持続的に保てるように配慮した観光のことをいう。
観光地のキャパシティを超える観光客が押し寄せ「オーバーツーリズム」の状態となると、観光地のインフラへの負担、渋滞、景観の損失、ごみの増加などの問題が生まれる。それに対応するために、この認証が制定された。
観光客は観光地本来の姿を楽しむことができ、そこに暮らす人々も自分たちの地域や文化を壊すことなく経済的なメリットを得られる。
・社会や環境に配慮した公益性の高い企業を認証する制度
・対象:企業
・運営機関:非営利団体B Lab
B Corpは企業のあり方を認証する制度。環境や社会に配慮した事業を行い、透明性や説明責任などといった、厳しい基準をクリアした企業に対して与えられる。
認証を受けるためには、企業パフォーマンスを測定するためのオンライン認証試験を受ける必要がある。200の質問は、社会や環境に対して企業が与えるインパクトや、企業の透明性・説明責任を評価する内容になっている。
・企業の二酸化炭素排出量を評価する制度
・対象:企業
・認証機関:クライメイト・ニュートラル
クライメイト・ニュートラルとは、二酸化炭素排出実質ゼロを目的として、企業の二酸化炭素排出量の測定や削減、オフセットについて評価する制度だ。
認証取得の基準には、測定、オフセット、削減の3つがある。製品やサービスの製造から納品までに発生した二酸化炭素排出量を測定し、カーボンクレジットを購入してオフセット(相殺)する。
・収益の1%を自然保護に寄付することを目的としたグローバルネットワーク
・対象:企業・個人
・運営機関:1% for the Planet
「1% for the Planet(1%フォー・ザ・プラネット)」とは、加盟している企業や個人が年間収益の1%を承認された環境保護団体に寄付するネットワークのこと。全世界で3,400を超える企業や個人が加盟しており、拠出されたお金はレインフォレスト・アライアンスや5 Gyres(ファイブ・ジャイルズ)などの環境保護団体の活動に使われている。
・環境への関わりに気づき、行動する方法を提供するための認証制度
・対象:企業、学校、公共機関など
・管轄:環境省
エコアクション21とは、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムのこと。中小事業者など幅広い事業者に対して自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」方法を提供するために策定された。
この取り組みはそれぞれの企業が行う必要がある。環境への負荷や取組みを自己チェックし、それを元に自社の事業活動が環境にどのような影響を与えているか、そして将来どのような取り組みができるかを構築していくことが求められる。環境経営システムの構築では、PDCAサイクルを基本として継続的な改善を図っていく。
・二酸化炭素の排出削減と吸収を促進するための制度
・対象:企業
・管轄:環境省
私たち人間が活動することで避けられない、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出。この排出量をできるだけ減らすように努力したうえで、それでも出てしまう二酸化炭素を別の場所で削減や吸収して埋め合わせするという考え方がカーボン・オフセットだ。
たとえば、二酸化炭素を吸収する森林の管理・育成、バイオマス・風力・水力などの再生可能エネルギーの利活用などが挙げられる。
そして削減・吸収した二酸化炭素は、クレジットと呼ばれるもので売買が可能。一部分で多く二酸化炭素が排出された場合、クレジットを購入することでその二酸化炭素を減らしたり相殺できる仕組みだ。
サステナブルやエシカルを表すマークは、世界に多くある。それらのマークの意味を知ることで、毎日の生活に活かしてエシカル消費につなげることができるだろう。
また、なぜこれらの認証が誕生したのか、その理由について理解することで、自分の生活や行動を見直すきっかけになるとよりいいのではないだろうか。
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