環境に配慮した宿泊施設を示す「グリーンキー」とは 認証に必要な5つのポイント

緑に囲まれたホテル

グリーンキー認証とはなにか。北欧発で世界に広まるエコな施設を示す「グリーキー」とはなにか。言葉の意味を解説するほか、グリーキーがいつ、どこではじまったのか。認証のためには何が必要なのかも解説。国内外のグリーキー事情や、国内でグリーンキー認証を受けている施設についても紹介する。

ELEMINIST Editor

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2020.11.30
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

グリーンキーとはなにか

グリーンキー(Green key)、環境に配慮した宿泊施設を見分けるためのエコラベルのことだ。

地球全体の将来を占う大きな課題として、環境問題が注目されるなか、各業界がエコへとシフトしている。むろん、旅行業界も同じで、カーボンオフセットのついたプランや、多種多様なエコツアーなどが販売されているのはご存じだろう。 

グリーンキーは、1994年に、デンマークから始まった動き。その後、2003年に国際NGO「FEE(環境教育基金)」が国際運営プログラムとして運営をスタートさせた。現在、65の国や地域にまで広がりをみせて、約3200の施設が、グリーンキーのラベルを取得している。

ホテルの廊下

Photo by Amit Jain on Unsplash

先述のように、現代において環境配慮型の施設であるという認定を受けることは、施設にとってメリットは大きい。国際的に認められたラベルを得ることは、社会貢献に熱心なクリーンな施設だというPR素材として力強いからだ。

また、環境にやさしい取り組みへと転換することで、施設独自のサービスを展開することにもつながる。他の施設とのよい意味での差別化を図ることもできるようになる。

グリーキー認証のために必要な5つのポイント

施設がグリーンキー認証を受けるには、主に5つのポイントを満たさなければならない。
これらは、決して低いハードルではない。

日本で、グリーンキーの認証を担う「非営利活動法人FEE Japan」。その公式サイトには、下記の条件が示されているので見てみよう。(※) 

1)認証をうける施設が、ゴミの削減、リサイクル、省エネ、節水、地産または有機食材の利用などの取り組みを進め、一般的に見て環境に配慮された施設であること。

2)エネルギー、水の使用量や、化学物質の使用など、自分たちの施設の環境負荷について把握して、それを軽減しようとしていること。

3)お客様と接する従業員だけでなく経営者からバックヤードまで組織のすべての人間が係わって、すべての事業活動にわたって環境保全に取り組んでいること。

4)認証取得を最終の目的とするのではなく、継続的に環境保全の取り組みを推進できるようなマネージメントシステムをもっていること。

5)こうした取り組みを推進する基盤として、利用者、従業員、地域も含めたステークホルダーとの良好な関係の下にあること。 

さらに上記に基づき、さらに細かな基準が設定されているという。たとえば、「毎月の使用する水量を記録している」や、「使い捨てのカップ、皿などは使っていない」「地域の環境団体と積極的に連携している」など。

12の分野で約80の必須項目と、約20の任意項目で構成されている。これらの項目をすべてクリアするのを目指す施設が、申請や体制づくりなどのプロセスを経てようやく認定へとこぎつける。

問題がない場合において、約3か月程度で認定を得られるという。


特定非営利活動法人FEE Japan
グリーンキー認証についてhttps://www.feejapan.org/greenkey/system/

国内のグリーキー認証施設

旅館に訪れた外国人男性

Photo by Angela Compagnone on Unsplash

世界的に見れば、ラディソンやマリオット、シェラトンといったグローバルなホテルチェーンも積極的にグリーキー取得に乗り出している。

では、わが国はどうだろう。グリーンキーの認証が始まったのは2009年からで、現在、FEE Japanのサイトでグリーンキー認証の施設として掲載されているのは、下記の3施設だ。

長野「扉温泉 明神館」

松本にある老舗旅館で、1931年の創業以来、地産地消にこだわっている。また、自家農園では有機野菜を栽培し提供。

空気を浄化するといわれる珪藻土や、無垢材を使用した客室、オーガニックの理念を用いるなど、人と環境にやさしい素材を用いている。

水の循環で館内を空冷するほか、川の水を散水に利用するなど、豊かな自然を生かした運営が行われている。 

山形「ホテルリッチ&ガーデン酒田」

スタイリッシュで近代的なホテルでありつつ、エコへ積極的に取り組むホテル。連泊の宿泊客から、シーツ交換不要のリクエストを受け付けており、その申し出により、1泊につき100円が「グリーンサンタ基金」に寄付される仕組み。

「明神館」と同時に、日本で初、アジアでも初めてのグリーンキー認証を受けた施設。 

群馬県「別邸 千寿庵」

谷川温泉に佇むラグジュアリーな温泉施設。名峰谷川岳を望む風光明媚な施設は、水資源をはじめとする豊かな自然を生かした運営で、グリーンキー認証を受けている。


世界的に見るとまだまだ認証施設は少ない。これからさらにグリーキーラベルを受ける施設が拡充することを期待したい。

※ 特定非営利活動法人FEE Japan
グリーンキー認証について
https://www.feejapan.org/greenkey/system/

※掲載している情報は、2020年11月30日時点のものです。

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