GOTS認証とは マークの意味・基準を解説 オーガニックコットン選びの目印

オーガニックコットン選びの目印「GOTS認証」

オーガニック繊維製品のための世界基準「GOTS(ゴッツ)認証」。GOTSのラベルが貼られた製品には、どのような意味があるか。普通のコットンとの違いや、厳格な基準について解説する。

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2021.11.18
SOCIETY
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エシカルマーケティングとは? メリットや実例をわかりやすく紹介

目次

GOTS認証(ゴッツ認証)とは?

オーガニックコットン選びの目印「GOTS認証」

Photo by Justine Camacho on Unsplash

世界のオーガニックブームにともない、オーガニック製品が増えている。「GOTS」は、テキスタイル分野のオーガニックに関する国際認証だ。

正式名称・読み方

「GOTS」は「Global Organic Textile Standard」の略称で、「ゴッツ」と読む。GOTSは、日本語で「オーガニックテキスタイル世界基準」という。

オーガニックテキスタイルの世界基準

GOTS認証は、コットンをはじめウール、麻、絹などの原料が製品として消費者の手にわたるまで「繊維製品が正しくオーガニックである」ことを保証する世界共通のルールだ。

GOTS認証を受けた製品は、原料の70%以上がオーガニック。さらに、加工・製造・流通のすべての工程において、環境的かつ社会的に配慮した方法が実行され、一般製品との混合や汚染がないように管理されている。

第三者の認証機関によるGOTSの認証がスタートしたのは2006年。それ以前は、世界にオーガニック繊維製品の製造や加工についての基準がたくさんあったため、国際的な取り引きをスムーズに進めることが困難だった。そこで世界共通の基準として新たに設けられたのがGOTSである。

基準の策定にあたり、ドイツの国際自然繊維産業協会、イギリスの土壌協会、アメリカのオーガニック・トレード協会、そして日本の日本オーガニックコットン協会が参加し、IWC(国際作業部会)を発足。

一方、GOTSのライセンス・システムに関するすべての活動はグローバル・スタンダード非営利活動有限会社が行っている。

普通のコットンとの違い

GOTS認証のコットンと普通のコットンとの違い

Photo by Toa Heftiba on Unsplash

オーガニックコットンと聞くと品質がよく、体にやさしいイメージをもっている人が少なくないだろう。でも実は、オーガニックコットンも普通のコットンも品質には大きな違いはなく、むしろ収穫された綿からどちらかを判断することは難しい。違いは唯一、生産過程にある。

オーガニックコットンは有機栽培された綿花だ。栽培される農地は、2~3年以上オーガニックな農産物が生産された実績があり、認証機関に認められた場所でなければならない。

さらに決められた有機肥料のみで土壌をつくり、禁止されている農薬はいっさい使わない。厳しいルールに則って栽培したのち、第三者の認証を受けて初めてオーガニックコットンとして出荷される。

一方、普通のコットンは栽培や加工の際にたくさんの化学肥料や農薬が使われる。これが土壌に残ることで地下水が汚染され、土壌の力は弱まり、地域の人たちの健康にも悪影響を与えてしまう。

さらに発展途上国では、収穫量を増やすために地下水が大量に汲み上げられて地下水が枯渇したり、子どもたちが労働者として駆り出されて学校に通えないなど、深刻な環境・人権問題につながっている。

品質自体は変わらない。とはいえ、普通のコットンがいかに多くの犠牲をはらっているかを知れば、両者に天と地ほどの違いがあることは明白だ。その目に見えない違いを証明するのが、GOTS認証だ。厳しい基準をクリアしたものこそ、まさに真のオーガニックコットン製品と言えるだろう。

GOTS認証 2つのラベルの意味

GOTS認証のラベルは、次の2つの等級がある。

「Organic」

GOTS認証のロゴマーク

1つは、「organic(オーガニック) 」または「organic in conversion(オーガニック・イン・コンバージョン)」と表示されるラベルだ。これは、使用される繊維の95%以上が認証されたオーガニック繊維である場合に利用できる。繊維組成の5%までは、非オーガニック繊維を使用できる。

「Made with (x %) organic materials」

GOTS認証のロゴマーク

もう1つが、「made with (x %) organic materials(オーガニック繊維○%でつくられた)」または「made with (x %) organic - in conversion materials(オーガニック・イ ン・コンバージョン繊維○%でつくられた)」と表示されるラベルだ。

これは、使用される繊維の70%以上が認証されたオーガニック繊維である場合に使われる。繊維組成の30%までは、非オーガニック繊維を使用できる。

2つの等級に共通で、オーガニック繊維以外の天然繊維、化学・合成繊維についても規定されている。

例えば、非オーガニックコットンやミュールシング(羊への蛆虫の寄生を防ぐために、子羊の臀部の皮膚と肉を切り取ること)されたウール、未使用ポリエステルなどは、比率に関わらず使用が禁止されている。

GOTS製品を見分ける方法

GOTS認証をうたっている商品のなかには、ラベルの表示が誤っているものや、不正に使用されているものがあるという。

GOTS認証を受けたものには、GOTSラベルが貼られている。正しいラベルには、以下の項目が表示されているため、これを目印にできる。

(1)GOTS ロゴ(または「Global Organic Textile Standard」の文字)
(2)GOTS ラベル等級「オーガニック/organic」または「オーガニックでつくられた/made with organic」
(3)認証機関名
(4)ライセンス番号(または認証された企業の名前)

GOTS のパブリックデータベースでライセンス番号を検索すると、認証された企業のデータを確認できる。

厳格な認証基準と費用

GOTSの認証を受けるためには、製品に使用する繊維のうち95%または70%以上が、オーガニック繊維でなければならない。そのほか、厳格な認証基準が設けられており、それらを満たす必要がある。なお、GOTSの認証基準等はアドバイザリーカウンシル(旧IWC)によって3年に1度アップデートされている。

対象となる製品

GOTS認証の対象となる繊維製品は、以下のようなものが挙げられる。

・糸や生地などの中間製品
・衣服
・ホームテキスタイル
・ベッド用品
・パーソナルケア製品

認証基準

原料から紡績、織布、染色加工、縫製まで最終製品にいたるすべての工程において、以下の項目をクリアしている必要がある。

・製品の追跡可能性(トレーサビリティ)が確保されている
・オーガニック以外の製品との混同、汚染されない管理・最終製品に残留物がない
・水・エネルギーの使用や廃棄物に関する環境目標をクリアしている
・排水処理方法や生分解性の基準にもとづき、毒性の強い薬剤を使用しない
・原料や助剤に遺伝子組み換え技術を使用しない
・動物実験を行わない
・強制労働、児童労働を行わない
・衛生的で安全な労働環境と搾取のない労働条件である
・差別禁止が実践されている

認証費用・ライセンス料

認証費用は、施設の規模や数、業種などによって検査費用を含む認証費用は大きく異なる。認証を受けた企業は、年間150ユーロ(約1万8,000円)のライセンス料を支払う。

世界で急速に広まるGOTS認証

近年、GOTSの認証企業が急速に増えている。2020年の報告書によると、認証を受けた施設は世界72カ国以上で10,388件となった。前年(2019年)の7,765件から34%も増加している。(※1)GOTS認証が、持続可能なソリューションを提供していると世界から評価されている証にほかならない。

GOTS認定施設数が多い国は、インド(2,994件)、バングラデシュ(1,584件)、トルコ(1,107件)がTOP3を占めている。日本は2019年時点で46件とやや他国に遅れをとっているものの、持続可能な目標を掲げてアクションを起こしている企業が増えているという。

近年のエシカル消費の高まりも追い風となって、今後ますますGOTS認証が注目されるのは間違いないだろう。

※掲載している情報は、2021年11月18日時点のものです。

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