FSC認証とは? 再生紙との違いや購入するメリットを解説

「FSC認証」とは、持続可能な森林資源で伐採された木材を消費者に届けるための仕組みである。FSC認証は、貴重な森林資源を未来まで持続させることを目的としている。FSC認証の仕組みや活用事例、再生紙との違い、使うメリットなどを見ていきたい。

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2020.08.31

FSC認証とは

森の木立

Photo by trevor pye on Unsplash

FSC認証とは、きちんと管理された森林で伐採した木材を消費者に届け、得られた利益を生産者に還元する国際的な取り組みである。運営は、NPOであるFSC(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)が行っている。

FSC認証には森林自体の管理が適切であることを証明する「FM認証(森林管理の認証)」と、FM認証を受けた森林からの木材・木材製品であることを認証する「CoC認証(加工・流通過程の管理の認証)」の2種類がある。

現在、世界で森林破壊や森林の劣化などが発生し、生態系の破壊や、温暖化の原因となっている。木材は人類の生活に必要不可欠なものであるため、適切に森林を管理し、森林破壊を食い止めながら木材を活用することが求められている。

*FSC認証された木材の用途

FSC認証された木材は、以下の用途で活用されている。

・上質紙
・ティッシュ
・トイレットペーパー
・ノート
・段ボール
・家具
・コースターなど

*FSC認証ができた背景

FSC認証がつくられた目的は、森林破壊の抑制し、持続可能な森林資源を次世代に残すためである。

近年、森林伐採や焼畑農業、気候変動による山火事などで、世界の森林は破壊されている。2019年に発生したブラジル・アマゾンの大規模火災は記憶に新しいが、日本の国土の4分の1に相当する面積の森林が、この地球から失われている。

伐採された木は紙や木材として利用され、森林を伐採した土地は農地やプランテーションなどに転用されている。それらの製品や土地が日々の暮らしや経済活動に必要なものである一方で、生態系の破壊や地球温暖化の進行にもつながっている。

FSC認証は、進行する森林破壊を食い止めるだけでなく、経済活動に必要な木材を持続可能な形で伐採していくために、適切な管理をするガイドラインとして誕生した。FSC認証を受けた製品を消費者が使っていくことで、森林資源を保護できる。

認証方法

山火事などで森林が失われている

Photo by Lucian Dachman on Unsplash

FSC認証の独立性を保つために、FSC認証はFSCが直接発行するのではなく、FSCから認定された第三者機関が提供している。

第三者機関は申請を受けた後、申請者と契約を取り交わし、審査・認証判断を行う。認証に値すると判断された場合、5年間有効な認証書が発行され、認証マークを使えるようになる。国内では6つの機関がFSC認証を行っている。

再生紙との違い

環境に配慮した紙材料として有名なのが、再生紙である。ここでは、FSC認証紙と再生紙とを比べてみよう。

FSC認証を受けた紙は、回収紙を原料とした古紙パルプを使っておらず、新しい木材から製造されたバージンパルプのみを使用しているものもある。

一方、再生紙は名前のとおり、原料に古紙パルプを使用している。古紙パルプを5%でも含んでいれば再生紙に分類され、70%以上の古紙パルプを含むものはエコマークをつけられる。

再生紙は古紙パルプを使うため、廃棄物の削減や木材資源の節約が可能になる。一方で、新しい木材から製造したバージンパルプを100%使用した紙と比べると、品質は落ちる。

それに、紙はリサイクルを繰り返すと品質が劣化していくため、再生紙の製造にもバージンパルプも使用する必要がある。

FSC認証紙と再生紙のどちらが優れているということはなく、どちらにもメリットがある。用途に応じて使い分けることが大切だ。

PEFC認証との違いは?

FSC認証と同様に、森林資源の管理に関する認証にPEFC認証がある。FSCとPEFCは、どちらもFM認証とCoC認証の取得が可能だ。だが、FSCでは世界共通の規格にもとづいて審査されるが、PEFCは「持続可能な森林管理のための汎欧州施業ガイドライン」を基準とする。

FSC認証の商品を購入するメリット

一般消費者がFSC認証の商品を購入する一番のメリットは、知らないうちに環境破壊に関わる恐れがないということだ。

FSC認証を受けていない製品は、どのように管理された木材からつくられたのか明記されていない。違法に伐採された木材を使用している可能性もある。

FSC認証のない紙を購入することで、自分が意図せずに違法伐採や生態系破壊に加担している可能性も出てくる。FSC認証を受けた製品を選ぶことで、地球資源の保護に貢献できる。

また、企業がFSC認証を受けるメリットは、サステナブルな森林資源の活用に力を入れている企業であるとアピールし、消費者や投資家の信頼を得られることだ。

木や紙を使った製品を製造する企業でなくても、名刺や製品カタログ、パンフレットにFSC認証紙を取り入れる企業は増えている。

森林資源を次世代に繋げるために

持続可能な森林資源を次世代につなげていこう

Photo by Noah Buscher on Unsplash

日本では、木材の7割以上を輸入に頼っている。大量の木材を輸入して使っている日本人には、木材を使用する消費者としての責任も重大である。違法に伐採された木材を使わず、FSC認証を受けた木材を使うことが求められている。

ノートやコピー用紙、家具、建材を選ぶとき、製品がFSC認証を受けたものか、確認してから購入しよう。それが、未来の森林資源を守ることにつながるのだ。

※掲載している情報は、2020年8月31日時点のものです。

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