Photo by USDA Agricultural Marketing Service
USDAオーガニックとは、アメリカ農務省によるオーガニック認証制度だ。認証の種類と対象(農産物・畜産物・アルコール・化粧品など)ごとの基準を整理。USDAオーガニック認証のメリットやオーガニック関連認証制度を網羅し、わかりやすく解説する。
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USDAオーガニックとは、アメリカ農務省(United States Department of Agriculture)によるオーガニック認証制度だ。
アメリカ農務省は1990年に「オーガニック食品生産法」を制定。2000年に、これに基づいた「全米オーガニックプログラム(NOP:National Organic Program)」を定めた。USDAオーガニックは、オーガニックを認証するNOPの制度として2002年より始まった。(※1)
日本の「有機JASマーク」は、農林水産省によるオーガニックの認証制度だ。USDAオーガニックは、これと同じように国が基準を定めた認証制度になる。
USDAでは、製品の栽培・加工・取り扱いについて、厳しいオーガニックの基準を設けている。その基準を満たしたものだけが、USDAオーガニックの認証マークの表示や、「オーガニック」とうたって販売することが許可される。
つまり、USDAオーガニックの認証マークがついた製品は、アメリカ農務省によるオーガニックの基準をクリアした製品であることを意味する。
USDAオーガニック認証には、4つのカテゴリーがある。(※2)
生産工程はもちろん、加工する段階で使われるものも含めて、100%の原料がオーガニック(水と塩を除く)である。製品への認証マークの貼付が認められる。
95%以上(塩と水を除く)が、オーガニック原料であることが条件。残りの5%は、非有機農産物または「許容・禁止物質リスト(ナショナルリスト)」に記載されている非農業製品を使用できる。製品への認証マークの貼付が認められる。
70%以上(塩と水を除く)が、オーガニック原料であること。 残りの30%は、有機的に生産されているかどうかは求められないが、遺伝子組換えやその他のナショナルリストに準拠しない原材料を含むことはできない。
製品をオーガニックとうたうことや、認証マークの貼付は認められていない。だが、「made with organic」と記載し、原料や原料カテゴリーを最大3つまで表記することは認められている。オーガニック原料は、原材料表記に記載できる。
使用しているオーガニック原料(塩と水を除く)が、70%未満の場合。製品をオーガニックとうたうことや、認証マークの貼付は認められていない。原材料に、以下のように表記できる。
(例)原材料:水、大麦、豆、有機トマト、塩
USDAのウェブサイトによると、オーガニックについて以下のように述べられている。
「資源の循環を育み、生態系のバランスを促進し、生物多様性を保全する文化的、生物学的、機械的な手法を統合したもの」
さらに以下については使用禁止が明記されている。
・化学肥料の使用
・成長ホルモンの使用
・遺伝子組換え原料の使用
・放射線照射
・下水汚泥
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オーガニック作物を栽培する土地では、収穫前3年間は禁止物質を使用しないことが条件となる。入手可能な場合は、オーガニックの種子や種植物を使用することが推奨されている。(※3)
哺乳類なら妊娠期間の最後の3分の1から、家禽類は生後2日目から、オーガニックな管理のもとで育てられなければならない。乳牛は少なくとも12ヵ月間、有機的に育てられる必要がある。飼料については、100%オーガニックのものが与えられる。
またアニマルウェルフェアの基準が設けられ、牛、シカなどは年間120日以上放牧され、鶏は自由に歩きまわれるケージフリーで育てるといった条件がある。(※3)
アルコール・タバコについては、USDAのオーガニック基準に加え、酒類タバコ税貿易管理局(TTB)の基準を満たす必要がある。ワインに亜硫酸塩を使用した場合、「100% Organic」や「Organic」ではなく、「made with Organic」のカテゴリーになる。
USDAオーガニックの基準に沿ってつくられた完成品が認証される。「GOTS認証(Global Organic Textile Standard)」を受けている場合は、アメリカ国内でオーガニックとして販売できる。一部の繊維のみがオーガニック認定されている場合は、USDAオーガニックの認証は貼付できない。
USDAでは、USDAオーガニック基準に準じて、農産物を原料とした化粧品、ボディケア製品、パーソナルケア製品の規制を行っている。農産物を原料として使用し、USDAオーガニック基準を満たしているものは、USDAオーガニック認証を貼付できる。
世界に数ある有機認証のなかでも、厳しいと言われるUSDAオーガニック認証。消費者と生産者に、どのようなメリットがあるのだろうか。
まず、消費者から見てみよう。厳しい審査を満たしつくられている製品は、安心安全だ。また、オーガニックは農薬や化学薬品などを使用しないため、地球環境や動物への負荷が少ない。消費者がオーガニック製品を選ぶことで、そのような生産者の支援になる。
一方、生産者側にとってみると、公正な第三者機関による認証を受けていることは、製品の大きなアピール材料になる。手間がかかっても、長い目で見れば消費者の信頼を勝ち得ることができるだろう。このようなオーガニック製品は社会でますます求められることは必至であり、生産者側の公平な競争や発展を促すことにつながる。
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2001年より始まった認証制度で、管轄するのは農林水産省。認証された事業者のみが有機JASマークを貼ることができる。
「GOTS(ゴッツ)認証」は、オーガニック繊維製品のための世界基準のこと。GOTSは、Global Organic Textile Standardの略。原料から紡績、織布、染色加工、縫製まで最終製品にいたるすべての工程について厳しい基準が設けられている。また強制労働や児童労働を行わないことも特徴としてある。
Organic Content Standardの略。OCS認証とは、オーガニック繊維を含む製品の生産・製造の認証。原料から最終製品までの履歴を追跡し、オーガニック繊維製品であることを証明する。
コスモス認証は、オーガニックコスメの品質を認証する国際的な制度のこと。ヨーロッパの5つのオーガニック認証団体が、国際的なオーガニック認証を制定した。 コスモス認証には、「コスモス・オーガニック(COSMOS ORGANIC)」と「コスモス・ナチュラル(COSMOS NATURAL)」の2つがある。
EUのオーガニック基準に沿って生産された農産物を認証する制度。EUのオーガニック認証は、日本の有機 JASで同等性が認められている。
世界的な健康志向や地球環境への関心の高まりに伴い、急速に求められているオーガニック製品。USDAオーガニックのように、製品に認証ラベルが貼られていると、消費者にとってわかりやすい。
ぜひ、オーガニック認証と上手に付き合って、自分にも地球にもやさしい生活とはなにかを考えてみよう。
※1 National Organic Program|USDA
※2 About Organic Labeling|USDA
※3 Organic Production and Handling Standards|USDA
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