アニマルウェルフェア(動物福祉)とは? 「5つの自由」と日本の現状を知ろう

アニマルウェルフェアとは、「動物福祉」を意味する言葉だ。この記事では、動物に配慮した飼育や、アニマルウェルフェアを支える「5つの自由」について紹介しよう。アニマルウェルフェアを知り、行動することは、近年私たちの生活に根付きつつある「エシカル消費」においても大切なことだ。

2020.08.31

アニマルウェルフェアとは?

放牧中の鶏

Photo by Annie Spratt on Unsplash

アニマルウェルフェア(Animal Welfare)という言葉を聞いたことはあるだろうか。

日本語では「動物福祉」「家畜福祉」と訳されるこの語彙。感受性を持つ生き物として家畜をとらえ、快適な環境のなかでストレスを減らし、人も動物も幸せな関係を結ぼうという飼育方法。

1960年代、英国で家畜をモノ、工業的に扱うことを批判した著書『アニマル・マシーン』が大きな関心を呼ぶなど、欧州では広く知られている考え方だ。

アニマルウェルフェアで重要な「5つの自由」

アニマルウェルフェアを知るうえで、重要な言葉に「5つの自由」がある。

これは、英国政府が立ち上げた委員会で、すべての家畜に「立つ」「寝る」「向きを変える」「身づくろいする」「手足を伸ばす」といった自由を与えることを提唱がもとになっている。

そこから、動物に必要な配慮をまとめたものが「5つの自由」というわけだ。

・飢えや渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、外傷や病気からの自由
・本来の行動する自由
・恐怖や苦痛からの自由

日本のアニマルウェルフェアはどうなっている?

「5つの自由」は当たり前のように見える。

しかしながら日本の畜産では、これらの自由が満たされていないケースがまだまだ多い。

たとえば、牛はどうか。飼育しやすいよう角を除去され、管理しやすいように始終つながれて飼育される。

そのため、運動不足や日照不足などにおちいってしまい、関節炎や股関節脱臼を発症してしまう。不適切な栄養状態で蹄病にかかることもある。

豚の場合は、より悲惨と感じるかもしれない。子豚を産むための母豚は、「妊娠ストール(ストール)」という檻のような施設で拘束され続けるという。

母豚にかぎらず、人が扱いやすいようにという理由で、歯や尾を切断したり、去勢されていることも知っておくべきだろう。

養鶏を連想するとき、大きな鶏小屋(バタリーケージ)にずらりと並べられた画を浮かべる人もいるだろう。

過密な状態でいまも飼育されてるため、仲間同士が互いをつつき合わないよう、くちばしを切断する処置が行われるというから非常にショッキングだ。

さらに、気絶させないで生きたまま熱湯で処理されたり、短期間で出荷するために過度に太らされたりすることもあるのだという。

アニマルウェルフェアを無視してはいけない

放牧されている羊の群れ

Photo by Ethan Kent on Unsplash

人が扱いやすいという身勝手な理由で、動物を工業的に飼育することは、倫理に反すると同時に、人体への悪影響として跳ね返ってくる。

ストレスで健康を害することは、いまや常識だが、それは人に限ったことではない。ストレスフルな環境で育てられた動物は、抵抗力が落ち、心身の病気にかかりやすくなる。

病気を予防するため、ワクチンを接種させ、えさなどに抗生物質を混ぜるなどして投与する。結果、食物連鎖の常として、摂取する人間の安全性も脅かされてしまう。

また、薬剤投与を続けると、薬剤耐性菌を発生させることにもつながるのだ。

アニマルウェルフェアのメリットは?

アニマルウェルフェアがいいことだとわかっても、ついつい安価で容易に手に入る食材に手を伸ばしたくなる。アニマルウェルフェアのメリットをいま一度整理してみよう。

食の安全性につながる

先に述べたように、ストレスなく育った動物は健康だ。そのいのちをいただく私たちの体にとっても、当然ながら健康的である。添加物を気にしたり、オーガニック食材を選ぶように、「アニマルウェルフェア」を選びたい。

※掲載している情報は、2020年8月31日時点のものです。

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