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アップルレザーの原料には、廃棄されるはずのりんごが使用されている。廃棄部分をすべてアップサイクルできる製法は、アニマルウェルフェアやSDGsとも相性が良く、サステナブルなライフスタイルの実現に大きな一助をもたらしてくれる。
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エレミニスト編集部
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「アップルレザー」とは、りんごの芯・種・皮・果汁を使ってつくられるバイオベースの素材である。“アップルスキン”とも呼ばれる。
誕生はイタリア北部のりんご農園だ。大量のりんごの廃棄に悩んだ農園が試行錯誤を繰り返し、ついにアップルレザーの誕生に至ったのである。現在は日本の一大りんご生産地である長野や青森にも広がりを見せつつある。
従来であれば廃棄される部分をアップサイクルしてつくられるアップルレザーは、フードロス問題や資源保護にとって有益な新素材だ。SDGsのゴール12「つくる責任、つかう責任」で示されている持続可能な消費・生産形態を確実にするという目標を意識しやすい特徴もある。(※1)
また、動物由来の成分を使わずにレザーのテクスチャを出せることから、アニマルウェルフェアとファッションの両立を意識する層への訴求心も期待できる。アップルレザーは幅広い分野で活躍の可能性を秘めた新素材だといえるだろう。
エシカルな素材を求めれば、エコレザーやヴィーガンレザーも選択肢に入りやすい。いずれも優れたエシカル素材ではあるが、アップルレザーとは違う点も多い。
ヴィーガンレザーはアップルレザーと同様にバイオベースだが、合成皮革・人工皮革ももちいられる。素材もじつに豊富なバリエーションがあり、柔軟性を楽しめる特徴を持つ。
エコレザーは地球・自然環境に配慮した製法がとられる製品であり、素材はバイオベースではなく天然皮革である。
アップルレザーの具体的な性質を見てみよう。従来の合皮との違いや環境へのメリットが特徴的だ。
アップルレザーは撥水性にすぐれている。よほどぐっしょりと濡らしてしまえば別だが、多少の水濡れ程度であれば乾拭きで品質を保てる。
また、合成皮革は水に濡れると加水分解を起こしやすく、品質劣化を招きやすい。その点、アップルレザーは持ち前の撥水性で加水分解の懸念を減らせるのである。デイリーユーズのバッグやシューズなど、突然の雨で水に濡れやすい製品にうってつけだろう。
すぐれた撥水性に加え、耐久性の高さにも注目したい。ほかのヴィーガンレザーよりも頑丈であり、劣化の進行がゆるやかである。また、軽量であることも特徴的だ。製品のなかにはリュックの重さがたったのりんご2個分、耐久年数が8年というものもある。
その理由はアップルレザーの製法にある。まず廃棄される予定であったりんごを乾燥させ、パウダー状にする。パウダーを水性ポリウレタン樹脂(有機溶剤を含まない樹脂)と合成することにより、頑丈な性質と軽量化を実現した。
従来の素材や製法にくらべ、アップルレザーは製造過程における環境への負荷が小さいという大きなメリットがある。
おおもとの原料となるりんごに含まれるバイオ成分が樹脂の代わりを果たし、樹脂の使用量を減らせる。また、アップルレザーの生成に使われる樹脂は、有機溶剤を含まない水性ポリウレタン樹脂であり、石油樹脂よりも大幅に環境負荷を軽減させている。
アップルレザーは動物由来の原料をつかった製品と異なり、化学薬品を使用する工程がないことも特徴だ。動物由来の皮革製品はいわゆる「なめし」の過程があり、化学薬品の使用を避けにくい。しかしアップルレザーはなめしの工程がなく、化学薬品による水質汚染を遠ざけられる。これは間違いなく大きなメリットである。
アップルレザーは多くの製品に使われている。頑丈で軽量なアップルレザーは、幅広い製品に応用しやすいようだ。
革財布を好む人は少なくない。しかしエシカルな観点からセレクトを躊躇う場合があるのも確かだ。アップルレザーであればその問題はクリアされ、従来のレザーのようなテクスチャでつくられた財布を持ち歩ける。
頑丈さや耐用性が求められるバッグ、リュックなどにもアップルレザーは適している。やはりエシカルな観点から本革を避けて合成皮革品をセレクトする人は増えているが、合成皮革はどうしても耐水性や重量に難を感じがちだ。
アップルレザーは耐水性、軽量性にすぐれ、かつ頑丈である。デイリーユーズのバッグやトラベルバッグ、ビジネスバッグとして、日常のあらゆるシーンで実力を発揮してくれるだろう。
軽量、かつ丈夫であればあるほど嬉しいものにウォッチベルトがある。着脱で劣化が進むものだが、アップルレザーなら耐久性にすぐれ、同時に軽量であることから、長時間の着用でも大きな負担を感じにくい。
アップルレザー・アップルスキンはそのすぐれた特徴から数々のメリットをもたらしてくれる。ファーフリーやエコファーを考える人との融和性があるのも注目したい点だ。
エシカルなライフスタイルを意識し、日常生活のなかでもちいる素材を考えるとき、アップルレザーはベターな選択肢のひとつとしてぜひ取り入れたいものである。
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