生産におけるすべての過程で、環境や人に配慮してつくられる「エコレザー」。近年、人々の環境問題への意識が広がったことで、世界中でトレンドとなっている。おしゃれを楽しみながら環境保全に貢献できる素晴らしい素材だが、値段や機能面においてデメリットも解説する。
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エコレザーとは、製品の製造・輸送・販売・再利用といったすべての過程で、環境や人に配慮して生産された革製品のことを指す。
具体的には、環境に配慮した工場でつくられたもの、有害物質の出ない材料や、本革の端切れを再利用したものなどがエコレザーとして挙げられるが、その基準は認定機関によってさまざまだ。
日本エコレザー基準(JES)の主な認定要件は下記の3つとなる。
・天然皮革であること。
・排水、廃棄物処理が適正に管理された工場で製造された革であること。
・臭気、化学物質(ホルムアルデヒド・重金属・PCP・禁止アゾ染料・発がん性染料の使用制限)および染色摩擦堅ろう度に関する一定の基準を満たしていること。
このほかにもJESでは、製品表面積の60%以上に革を使用していること、肉(食料)の副産物であること、再利用においても革の機能を損なわないことなど、細かな条件を設けている。
エコレザーの認定基準としてはJESのほかにエコテックス、ドイツのSGラベル、EU靴ラベルなどが知られている。
エコレザーは、1990年代中期からヨーロッパを中心として普及・発展し、2002年には中国でも本革エコマーク基準が発表されるなど、世界中で広がりを見せている。
また2005年に京都議定書の発効、2016年にはSDGs(持続可能な開発目標)が採択され、環境問題に対する人々の意識が向上。ファッションにおいても生産や消費の方法が見直されるようになり、近年エコレザーは世界中でトレンドとなっている。
エコレザーと聞くと、「動物の皮を使用していない」という印象があるためか、天然皮革に似せてつくられたフェイクレザーと混同されがちだ。そのため、エコレザーと称してフェイクレザーが販売されているケースも多く見られる。
しかし実際にはエコレザーは、馬や牛などの動物の皮を使用した天然皮革であり、「環境や人に配慮して生産」されることを定義としている。
一方、フェイクレザーは合成皮革や人工皮革とも呼ばれ、一般的には基布上にポリアミドやポリウレタン、塩化ビニールなどの合成樹脂を塗り重ねてつくられる。動物の皮を使用していないことから、動物保護の観点から選ばれることも多い。
機能性にも大きな違いがある。エコレザーは一般製造の天然皮革と同じように経年劣化を楽しむことができるが、フェイクレザーには経年劣化がなく、上品さや耐久性はエコレザーと比較するとやや劣る。
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エコレザーのメリットは、先述の通り地球環境や人に配慮して生産されていること。本革特有の経年劣化や質感、風合いもそのまま使用できるのも評価されている点だ。またフェイクレザーよりも耐久性があり、手入れをしっかりとすれば長く使用できる。
一方で、フェイクレザーと比べると雨や湿気に弱く、定期的なメンテナンスが必要となる。水や汚れによるシミが付くと取れない場合もあるため、使用できる場面が限られるケースもあるだろう。
※参照サイト
エコレザーの認定基準|日本エコレザー基準認定基準
https://ecoleather.jlia.or.jp/kijun/index.html
https://ecoleather.jlia.or.jp/shinsei/index.html
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