動物の皮革を使わないレザー「ヴィーガンレザー」とは? 動物に配慮しながらおしゃれを楽しむヴィーガンファッションやサステナブルファッションに欠かせない「ヴィーガンレザー」について主な3種類を解説。「ヴィーガンレザー」について知り、自身のファッションの幅を広げよう。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
ヴィーガンレザーとは、動物性の皮は使わず、本革の繊維構造を人工的に再現した素材のこと。ヴィーガンレザーは軽量で比較的安価なことから、財布、バック、靴など、さまざまなファッションアイテムに使用されている。
近年はヴィーガンファッションやサステナブルファッションといった動物に配慮しながらおしゃれを楽しむ意識が高まっており、動物性の素材に頼らない選択肢として注目されている。
動物福祉への関心の高まりとともに、ファッション業界ではいま、美しさおよびラグジュアリーの定義を見直し、美しく希少価値の高い動物の毛皮を身に着けることよりも、素材やつくられた背景がクリーンであることこそ、真のラグジュアリーなのではないかというトレンドが広がりつつある。
おおよそ2018年頃、世界のハイブランドたちが動物由来の毛皮を使用しないというファーフリー宣言を発表したことは、ファッション業界におけるサステナブルおよびヴィーガンファッション台頭の大きな追い風となった。
これにより、動物の皮革を使用したレザー商品に対する取り扱いの見直しをおこなう機運も高まり、さまざまなブランドがヴィーガンレザーを使用した商品を発表し現在に至っている。ヴィーガンレザーは新しい美しさおよびラグジュアリーを象徴する新素材として注目を集めている。
ヴィーガンレザーと称される素材は主に3種類、それぞれに特徴を持っている。
本革の繊維構造でいくと動物の皮膚に当たる部分に"織物"を使用し、その上にポリウレタン樹脂を厚く塗ったり、貼り合わたりしたもの。
布地の表面は素材によってツルツルしていたりモチモチしていたりと細かな特徴の差はあるものの、おおよそは、本革の見た目に近づけるために人工的につくられたシワ加工が特徴。素材が安価なことから、アイテムの色やデザインも豊富な場合が多い。
一方で、耐久性とストレッチ性を考えると人工皮革にはかなわない場合も。※合成皮革の表面に使用される素材の種類はPVCやPUなど複数存在する。
合成皮革と大きく異なる点は、"特殊不織布"とよばれる、"ナイロンやポリエステル繊維を立体的に絡み合わせた素材に、ポリウレタン樹脂を浸透させたもの"を使用しているところ。その上に、ポリウレタン樹脂を用いた表面樹脂層を施している。
布地の表面には、本革が持つ独特な風合い・皮革調を表現するためにデザイン加工が施されているのが特徴。
製品によってはほとんど本革と見分けがつかないほどの見た目でありながら、素材の構造上、耐久性とストレッチ性にも優れている。一方で合成皮革と比べると値段が高いのが難点。
合成皮革、人工皮革ともに人工物が素材の原料となっているが、天然由来のヴィーガンレザーの素材には、主に植物質の原料が使われている。
原料はさまざまで、樹皮からはじまり、キノコや、果物、なかにはサボテンといったユニークな原料も。原料自体は自然由来ゆえ、土に還るので、サスティナビリティを実現するエコ素材として注目を集めている。
一方で革製品としての見た目のクオリティや、品質の部分に関しては未知数といったところ。天然由来のヴィーガンレザーを使用したアイテムの数もネット検索で少しづつヒットしてきている昨今。とはいえ、まだまだ少ないのが現状なので、これからに期待ができる素材となりそうだ。
動物の皮革を使わないヴィーガンレザー。自身のファッションを楽しむ際に動物を犠牲にしないという一つの選択肢として、あるいは、ヴィーガンレザーならではのデザイン性や機能性を日頃のファッションに取り入れてみては。
ELEMINIST Recommends