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台湾で、採卵用アヒルをバタリーケージ飼育する施設の建設を禁止した。アジアはアニマルウェルフェアでは遅れをとっていると言われるが、今回の決定が周辺国に影響を与えると期待される。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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台湾の行政院農業委員会は2021年12月30日、アヒルをバタリーケージで飼育する施設の建設を禁止する規則を公布した。バタリーケージとは、金網でできた小さなケージのこと。アヒルをはじめ採卵用の鶏の飼育にもよく使われるが、非人道的な飼育方法として世界中で問題視されている。
台湾では採卵用のアヒル飼育が盛んで、飼育数は200万羽以上にもなる。非営利団体の台湾環境動物協会(EAST)の調査によると、2019年時点で約40万羽がバタリーケージで飼育されているという。
調査に入った農場では、アヒルが狭いゲージの中で行動を制限され、水も自由に飲むことができない状態。金網で足を痛めたり、ストレスで暴れたりしている状況が確認された。
バタリーケージを禁止している他国でも、より面積の広い「改良型ケージ(エンリッチドケージ)」は許可されていることが多い。しかし、改良型でも十分な飼育面積が確保されていない場合もある。
現時点で台湾には、アヒル飼育用の改良型ケージに関するルールがない。そのため今回の規則は、事実上アヒルのケージ飼育を全面禁止するものである。
また、既存のアヒル飼育施設に関しても、バタリーケージを段階的に廃止していく予定で、EASTでは施設改善のための補助金や支援を求めている。
Photo by 台湾で、採卵用アヒルのバタリーケージ飼育が禁止された
台湾だけではなく、世界各国でアニマルウェルフェアの取り組みが進んでいる。1月には米国カリフォルニア州で、世界一厳しいとも言われる家畜の飼育ルールが施行された。
日本について見てみると、養鶏場の94.1%がケージ飼いを行っている。2012年にバタリーケージを禁止したEU諸国は5%前後と、対応は遅れをとっていると言える。
残念ながら日本では、この非人道的な飼育方法についての認知度も低い。アニマルライツセンターの2021年の調査によると、採卵用の鶏の多くがバタリーケージで飼育されている事実を「知っている」と答えた人は、わずか14.3%だった。
しかし近年、アニマルウェルフェアについて環境省や農林水産省など行政機関でも答弁が行われており、動物愛護の観点に目を向ける人も増えつつあるようだ。
台湾では非営利団体が声をあげて取り組んだことで、今回の規則が制定された。私たちができるのは、養鶏場の現状に関心を持つことではないだろうか。より多くの人が声をあげることが、この問題の改善を後押しするかもしれない。
※参考
Taiwan bans battery cages on duck farms in world first|Taiwan News
アニマルウェルフェアに配慮した 家畜の飼養管理の推進について|農林水産省
2021年畜産動物に関する認知度調査アンケート|アニマルライツセンター
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