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カリフォルニア州で2022年1月より、家畜の飼育環境の整備が義務づけられた。この基準に満たない環境で飼育されているものは、同州での販売が禁止される。世界でもっとも厳しいアニマルウェルフェアに配慮した同法律が、世界各地に影響を与えると期待される。
神本萌 |Moe Kamimoto
フリーランスライター
大学時代に南アジア文化を学んだことをきっかけに、環境や人権の問題に関心を持つ。それ以降、より自分と地球にやさしい暮らしを目指して勉強中。趣味は写真。
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アメリカ・カリフォルニア州で2022年1月、家畜を拘束して飼育することを禁止する法律が施行された。この法律は2018年に州の住民投票により可決。非人道的な従来の家畜産業を改善するべく、飼育環境に厳しい基準が設けられている。
同法律は議会での可決以降、段階的に導入されてきた。2020年1月からは、鶏1羽あたり0.09平方メートル、食肉用の牛1頭あたり4.0平方メートルの飼育面積を確保することが義務化された。
そして2022年1月には、豚1頭あたり2.22平方メートルの飼育面積の確保、鶏はケージフリーで飼育することが、新たなルールとして加えられた。この基準に満たない環境で生産された卵、牛肉、豚肉の販売は禁止される。他州から仕入れる場合も同基準を満たす必要がある。
同法律の施行により、州内では豚肉の値上がりが懸念されている。同州で販売されている豚肉はほとんどが他州から仕入れたものだ。しかし、基準を満たした商品しか仕入れられなくなるため、豚肉の供給不足が予想されている。
供給量が半分まで減少する場合、少なくとも1年間で一人あたり10ドル(約1,137円)から、最大60%値上がりする可能性がある。
また、畜産農家から反対の声もあがっている。いままでと同等の収入を得るには、飼育環境を整えるための十分な投資が必要となるからだ。それにともない、生産品の価格高騰は避けて通れないだろう。
同州への卸業で生計を立てている他州の畜産農家にも負担がかかる。短期的な解決策として新たな取引先を探すために奔走するか、同州の基準に合わせる動きが出てくると考えられる。
日本では、牛肉の消費量のうち約65%が、豚肉は約51%、鶏肉は約36%が輸入に頼っている。アメリカ産肉類の値上がりや輸入量の減少の可能性もある。減少した輸入量をまかなうため、日本国内における家畜の飼育環境が悪化するのは避けたい。カリフォルニア州の動きやアニマルウェルフェアの考えを、日本でもさらに広める必要があるだろう。
「世界でもっとも厳しい」と言われる、アニマルウェルフェアに関する同法律。世界中で問題視されている非人道的な家畜産業を改善する重要な動きになるはずだ。現段階で解決すべき課題は多いが、同州を中心に模索しながら世界に広まっていくことを願う。
※参考
California is late with rules for Prop 12, ‘world’s strongest’ animal welfare law | Successful Farming
お肉の自給率|農林水産省
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