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フランスで動物愛護に関する法改正案が可決された。これにより、ペットショップでの犬・猫の販売や、水族館でのイルカ・シャチのショー、サーカスでの野生動物の使用、ミンクの養殖などが禁止される。また動物虐待や遺棄について厳罰化されることが決まった。
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フランス上院は2021年11月18日、動物愛護に関する法改正案を賛成多数で可決した。マクロン大統領が近く署名し、この法律が施行される。
同法案では、ペットショップでの犬・猫の販売禁止のほか、多くの内容が盛り込まれている。
犬や猫のペットショップでの販売が2024年1月1日から禁止され、犬や猫を家族として迎え入れる場合は、保護団体や個人間での譲渡を利用することとなる。
また衝動買いを抑制するための措置も盛り込まれている。ペットの購入者には、飼育の責任に関する誓約書類の提出を義務付け、署名してから7日間の待機期間を設定。18歳未満の未成年者の購入には、親の同意が必要となる。
さらに、ウサギ、魚などはペットショップで販売できるが、動物をショーウィンドウに陳列して展示することは禁止される。
この法案では、アニマルウェルフェア(動物福祉)の観点から、動物虐待や遺棄を厳罰化。法律に違反しペットを虐待死させた場合は、最大で禁錮5年、罰金75,000ユーロ(約970万円)が科せられる。現在の法律の罰則は、最大で禁錮2年、罰金30,000ユーロ(約390万円)なので、かなり厳しくなる。
この法案では水族館でのイルカ・シャチなどのショーを禁止する。施行までは5年間の移行期間が設けられ、2026年より禁止される。なお、施行後も一部の施設では、許可を得たうえで、動物の飼育の継続が認められる。
移動型サーカスでの野生動物使用が2028年から禁止となる。パフォーマンスの強要や動物の輸送も禁じられる。イタリア、ベルギー、イギリスなどの近隣諸国では、すでに移動型サーカスでの野生動物の使用を禁止する法律を制定している。
毛皮を製造するためのミンクの養殖も禁止される。これにより、フランスで唯一残っていたミンクの毛皮製造施設が閉鎖することとなる。
フランスでは国民の約半数が犬や猫などと暮らしており、毎年約10万頭の動物が捨てられているという。そのような背景から、今回の法案では、責任を持って彼らと暮らすための施策が盛り込まれた。
動物保護団体のPETA(People for the Ethical Treatment of Animals)は、動物愛護の活動を数十年前から起こしており、今回の法案成立を評価している。
しかしこの法案では、ガチョウやアヒルの肝臓を肥大させてフォアグラを生産することや、闘牛、狩猟などについては取り上げられていなかった。そのため一部の動物愛護活動家からは、不十分であると指摘する声も上がっている。
だが、フランスが動物愛護に向けた動きを示したことは、世界に大きな影響を及ぼすとみられる。ペットショップでの犬・猫販売や、イルカ・シャチのショーを禁止する動きは、国や地域のほか、企業レベルでも生まれつつある。今後は、これがさらに大きな動きとなっていくことを期待したい。
参考
Bans on Circuses, Fur Farms, Dolphinariums, Pet Stores: Progress for Animals Is Passed Into Law in France!|PETA
French Parliament approves law banning use of wild animals in circuses|The Washington Post
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