近年、企業の社会的責任を重視する傾向が強まっている。そんななか注目されているのが「エコアクション21」という認証制度だ。エコアクション21とは、どのような制度なのか。認証手順やメリットとデメリットを解説する。
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「エコアクション21」とは、環境省が策定した日本独自の環境マネジメントシステムのこと。中小事業者など幅広い事業者に対して自主的に「環境への関わりに気づき、目標を持ち、行動することができる」方法を提供するために1996年に策定された。
エコアクション21への取り組みはそれぞれの企業が行う必要がある。環境への負荷の自己チェックや環境への取組みを自己チェックし、それを元に自社の事業活動が環境にどのような影響を与えているか、そして将来どのような取り組みができるかを構築していくことが求められる。
環境経営システムの構築では、PDCAサイクルを基本として継続的な改善を図っていく。
環境省のエコアクション21とよく似たものに、ISO14001がある。どちらもPDCAサイクルを用いた環境マネジメントシステムであり、認証、登録制である点は共通しているが、大きな違いが2つある。
1つ目の違いは、エコアクション21が国内規格であるのに対し、ISO14001は国際規格である点だ。世界基準であるISOの認証を持っているということは、ISOの要求事項に則った経営ができていることの証拠となる。ISOは第三者認証制度によって不正なしに審査されるため、信頼性が高い。また、製品やサービスの品質や労務環境の改善がなされていく企業であるというメッセージにもなりうる。
2つ目は、認証費用や中間年のランニングコストの違いだ。企業規模によっても異なるが、従業員100人ほどの企業の場合、エコアクション21でかかる初回認証費用は30万円ほど。中間年は10万円ほどかかる。
一方、ISO14001の初回認証費用は100万円を超える。中間年の認証を維持するためのコストも50万円ほど必要だ(※1)。費用の安さを重視する企業にとっては、エコアクション21が向いていると言えるだろう。
エコアクション21の認証登録者は2004年の事業開始から順調に増加し、2018年1月末時点で7,900件あまりとなっている(※2)。
認証を取得した事業者の9割以上が従業員規模100人以下だ。認証を取得するには、まず、審査人による環境経営相談を受ける。
環境省が作成したガイドラインに基づいて環境経営の目標や環境経営の策定と、実施体制の構築を求められる。認定後も定期的に取り組み状況の確認や評価を受けることが条件だ。
中小事業者向けに想定されているエコアクション21の認証・登録を受けると次のようなメリットがある。
・大手企業の取引条件に対応できる
・自治体によっては入札参加資格審査で加点を受けられることがある
・経費削減や生産性・歩留まりの向上
・経営者と従業員、従業員間の相互理解と交流が進んだ
・従業員の能力、経験、意欲が向上し、組織が活性化した
エコアクション21の認証を受けるための取り組みは、環境だけでなく経営面でもメリットが大きいものだ。あえてデメリットを挙げるとすれば、次のような点が考えられる。
・国際規格ではない
・知名度が低く、わざわざ認証を受ける費用対効果を感じにくい
・認証・登録、更新に費用がかかる
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認証取得の手順は次のとおり。
1. 審査の申込み
2. 担当審査員の通知
3. 必要書類送付
4. 審査(書類審査・現地審査)の実施
5. 審査結果報告
6. エコアクション21地域事務局から中央事務局に判定結果報告
7. 中央事務局から判定結果通知
8. 認証・尊く契約の締結/認証・登録料の納付
9. 認証・登録証の送付、ロゴマーク使用承認
審査にかかる費用は、エコアクション21事務局のホームページに掲載されている標準審査工数表を元に決まる。審査員1人当たりの費用は5万円(税別)で、審査を事業所で行う場合には別途交通費が必要だ。
審査の結果、ガイドラインに適合していると認められた事業者は契約締結の際に2年分の認証・登録料を支払う。認証・登録料は事業所の従業員数によって異なる。
たとえば、従業員数10人以下の事業者は5万円(税別)、11人以上300人以下は10万円(税別)となっている。
認証を取得したら終わりではない。策定した環境経営目標は実施していくことが必要だ。毎年環境経営レポートを作成、公表し2年毎に取り組み状況の確認と評価と、それに基づいた全体の見直しを行うことになる。
認証取得後は2年毎に更新を迎えるが、登録時に支払ったのと同じ額の更新登録料がかかる。
エコアクション21は大企業向けのISO14001の簡易版として、環境省が策定した環境マネジメントシステムです。
エコアクション21の認証を取得することで直接的な利益を得られることはないかもしれませんが、環境経営に取り組んだ結果として生産性の向上を実感している事業者も多く見られます。
また、近年は事業者の社会的責任であるCSRに取り組む企業が評価されています。認証取得が社会からの信頼獲得につながるという副次的効果も見逃せないでしょう。
※1 板橋エコアクションとISO14001等との比較
https://www.city.itabashi.tokyo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/005/811/attach_11059_4.pdf
※2 よくある質問|エコアクション21
https://www.ea21.jp/starter/faq/
※参照サイト
エコアクション21
https://www.ea21.jp/starter/faq/
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