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近年よく耳にする「エシカル消費」だが、ふだんの生活のなかで私たちにできることは沢山ある。少しでも商品の背景や廃棄後の未来を考えてモノを選択するだけで、社会は大きく変化していくだろう。改めて「エシカル消費」について解説するとともに、今日からきる15の簡単なアクションを紹介する。
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エレミニスト編集部
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「エシカル消費」とは、地域の活性化や雇用などを含む、人や社会、地域、地球環境に配慮した消費行動のこと。安心・安全・品質・価格に次ぐ第4の尺度とも言われ、持続可能な消費のひとつの物差しとして注目されている。「エシカル消費」は、環境だけでなく、貧困や児童労働、福祉、食品ロス、生物多様性の損失、地域の課題などの社会全体に関わる問題を、倫理的な消費行動によって解決していこうという点が特徴だ。
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「エシカル消費」を行うことによって貢献できる社会課題は、環境問題や人権問題など多岐にわたる。ここでは代表的な3つを取り上げよう。
商品やサービスがつくられ、消費者の手元に届くまでには、多くの人が関わっている。驚くほど低価格で販売されている商品やサービスの裏側では、途上国における労働搾取や児童労働、障がい者への不当な低賃金労働などの問題が存在する可能性が高い。
私たち消費者がこれらの労働問題や人権問題に意識を向け、価格だけに踊らされるのではなく、正当な生産過程でつくられたものや、生産背景がクリアであるものを選択するなど、「エシカル消費」を行うことが大切だ。それによって、これらの問題が少しずつ解決へと向かっていくと期待できるだろう。
商品を大量に生産して、それらを大量に消費し、不要になったら大量廃棄する……。そんな消費サイクルは、資源を枯渇させ、廃棄物の増加につながる。焼却処分する廃棄物が増えれば、それにともない温室効果ガスの排出量が増加し、私たちの環境悪化につながるのだ。
「安いから」と必要以上のモノをどんどん買い物していては、環境に負荷がかかるだけだ。一人ひとりが必要なものを必要なだけ購入し、できるだけ廃棄量を減らす意識を持つだけでも、これらの問題は解消へと向かうだろう。これも「エシカル消費」の大切な考え方のひとつだ。
過剰な経済活動は自然環境に負荷をかけているだけでなく、地球で暮らす生物にも大きな被害を与えている。「大規模な伐採による森林資源の枯渇」や「海洋プラスチック問題における海洋生物への悪影響」など、地球全体において生物多様性が失われつつある。生態系が崩れることは、私たちの暮らしのサイクルや資源の確保にも大きな影響を及ぼす。
私たち人間は、豊かな陸や海の恵みを享受しながら生きていることを忘れてはならない。地球に生きるすべての生物がこれからも暮らしていけるよう、個人単位で価値観や生活を見直していく必要がある。環境に配慮した認証マークを意識した買い物など、「エシカル消費」を行うことは、これら生態系だけでなく、私たちの将来に関わる社会問題を解決へと導くだろう。
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エシカル消費とは、具体的にどのようなものがあるのだろうか?私たちがすぐに始められるアクションを紹介する。
フェアトレードとは、発展途上国でつくられた農作物や製品などを適正な価格で継続的に購入することで、生産者の生活を支える仕組み。フェアトレード製品には認証ラベルが付いており、日本ではコーヒーやチョコレート、コットン製品などで多く目にすることができる。フェアトレード商品を優先して購入することで、途上国における労働搾取や児童労働など、社会的課題の解決へとつながる。
ネットで商品を購入するだけでなく、地元のお店や商店街で地域の特産品を購入することは、地域経済の活性化につながる。また、地域の特産品を購入することで、移動や配送にかかるエネルギーを抑えることができ、環境の保護にもつながる。
クルエルティフリーとは、化粧品や日用品の開発・製造工程で動物実験を行わないこと。私たちが使う商品の安全性を確認するために、動物たちに残酷な実験を強いないことが一般的になりつつある。化粧品や日用品を選ぶときは、動物実験を行っていない商品を手にするよう心がけたい。
日本の伝統工芸品は、後継者不足や需要の減少により失われつつあるのが現状だ。そのため、各地域の工芸品を購入することは、日本の文化を守り、持続していくことにつながる。また、工芸品の多くは天然素材を用いてつくられているため、環境への負荷が少なく、サステナブルな商品とも言える。
オーガニック製品とは、化学成分を使用せずに自然由来の原材料からつくられ、環境に配慮された製品のこと。化学成分のなかには、健康に悪影響を及ぼすものもあり、排水を通じて海に流れ出た成分が自然界に戻され環境に悪影響を及ぼすこともある。そのため、オーガニックの食品や衣類、化粧品を選択することは、消費者だけでなく生産者の健康を守ることにもつながる。
エシカル消費の目安になるのが、環境や人に配慮した認証ラベルやマーク。環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられる「エコマーク」や、農林水産大臣が定めた品質基準や表示基準に合格した農林物資の製品につけられる「有機JASマーク」、社会的・経済的・環境的基準を満たし、公平な取引が行われていることを認証する「国際フェアトレード認証ラベル」などがある。
「応援消費」とは、人や地域、企業を応援するためにその商品を購入すること。もともとは被災地支援のためのものだったが、最近ではさまざまな応援の形が出てきている。例えば、被災地でつくられた商品を購入することや、売上の一部が寄付にあてられる商品を選ぶこと、伝統工芸品を購入するなど、応援の方法は多岐にわたる。
可燃ごみやプラスチック、ビン・カンなど、ごみの分別は日頃から心がけなくてはならない。一方で、市町村によってルールが異なるため、そのルールをしっかりと把握する必要がある。暮らしのなかで、一人ひとりがこまめな分別を心がけ、実行することが非常に重要だ。
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農林水産省によると、日本では食品ロスが年間523万トンある。これらを減らすために、必要な量だけを購入することや、食材を使い切るためのエコレシピを参考にすること、フードシェアリング(飲食店で余った食品を低価格で提供するサービス)を利用するとよい。
使い捨てのプラスチックバッグやカップの代わりに、マイバッグやマイボトルを使用しよう。使い捨てではなく、あるものを繰り返し使用することは、天然資源の保護にもつながるエシカルなアクションの一つだ。
日々の暮らしのなかで、3Rであるリユース(再利用)・リデュース(ごみを出さない工夫をするなど)・リサイクルを心がけることも重要なアクション。不用品をすぐに廃棄せず再利用する方法を考えること、ものを大切に長く使用することなど、3Rを見据えた商品の選択や消費活動を一人ひとりが心がけることが大切だ。
食品だけでなく、日用品や衣類など、必要以上に物を買うことも控えよう。買いだめや買い占めは、大量廃棄につながりかねない行動だ。本当に必要な物を、必要なタイミングで、必要な分だけ購入するというエシカル消費を心がけよう。
プラスチックごみ問題は、国際的な問題として深刻化している。破片になったプラチックを食べた鳥や魚、さらにそれを食べた人間への影響が懸念されている。ペットボトルやプラスチック商品の消費を抑えることや、代替素材の製品を使用するなど、脱プラスチック消費を心がけよう。
エネルギーや資源は有限であるため、効率的に無駄なく使用することが大切。例として、こまめに電気を消すことや、水道の蛇口を止めること、省エネ家電を利用するなど、エネルギー消費量を抑えることなどが挙げられる。
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・バイオマスなどのエネルギーのこと。地球温暖化の原因である温室効果ガスを排出せず(もしくは増加させず)に発電でき、資源が枯渇しないことから、世界中から注目を集めている。現在はさまざまな電力会社があり、積極的に再生可能エネルギーを扱っている会社も登場している。このような会社に切り替えることも、エシカル消費のひとつである。
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エシカル消費がSDGsにどのようにつながっているのだろう。たとえば、ジェンダー平等について考えてみよう。女性が仕事やビジネスにおいて男性と平等な機会を持つことは、女性の労働力や生産性の向上につながる。また、女性の経済的自立をはじめ、男女の社会的な不平等を減少させることは、貧困層の削減につながるなど、あらゆる社会的課題を解決に導くことができると考えられる。
そのようなジェンダー平等を実現している企業、実現を目指している企業の商品を選ぶことは、そのような企業の姿勢を応援することになる。社会・経済・環境の持続可能な発展につながるため、SDGs目標5である「ジェンダー平等を実現しよう」の達成に寄与するだろう。
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日常生活で商品やサービスを購入する際には、価格だけでなく、生産背景をはじめ、その商品やサービスが社会や環境へ及ぼす影響にも目を向けることが重要だ。そこにある課題について知ることや、解決につながるものを選択することが、「エシカル消費」への一歩となる。
心から気持ちよく使用できる商品やサービスを選択することは、持続可能な生産や消費、サーキュラーエコノミーの実現に近づくだけでなく、心地よい暮らしにもつながるだろう。
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