世界では毎年800万tの海洋プラごみが生まれ、海ごみの問題は年々大きくなっている。それもそのはず、2050年にはプラごみの量が魚の量を上回るという。そこで知っておきたいのが、海のプラごみの8割は、街で生まれているということ。では、都市で出たごみがどうやって海まで流れつくのだろう。
監修者: 日本財団
The Nippon foundation
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現在、海に存在する海洋プラスチックごみは、およそ1億5,000万t。ここに、毎年800万tもの新たなごみが増え続けている。800万tというと、ジェット機5万機分の重さに相当する。それほどの膨大なごみが、どこからやってくるのか、考えたことはあるだろうか。
その答えは「人々が生活する街中」であり、海洋ごみの7~8割が陸で生まれたものだ。さらにその原因は、これまで言われてきたポイ捨てだけでなく、町内のごみ集積所からあふれ出たごみなども一因となっていたとことが、日本財団と日本コカ・コーラが2020年に実施した調査で明らかになっている。
では、都市などの街中で生まれたごみが、どうやって海まで流れつくのだろう? そのプロセスを見ていこう。
例えば、次のようなシーンで、適切に収集されないごみが街で生まれる。
・道端にポイ捨てされたごみ
・ごみ集積所からあふれたごみ
・自動販売機横の空容器回収箱からあふれたごみ
・車から投げ捨てられたごみ
雨や風によって、それらのごみが排水溝に流れつく。川に直接流れるものもある。
排水溝に流れたごみは、やがて下水道を通り、川に流れる。
川の流れにのって、ごみが最終的に海まで流れつく。そして海洋生物が、そのごみに絡まって傷ついたり、誤って摂取して命を落としたりするケースが起きている。
海に大量に流れつくごみ。これらは、海から離れた街中で生まれたものだと、よくわかるだろう。つまり、「街の排水溝は、海につながっている」ということ。たとえ海の近くの街ではなくても、そこで生まれたごみが最終的には海にたどりつく可能性が高いのだ。
さらに、微細になったプラスチックごみは海洋生態系に取り込まれ、それを摂取した魚を私たちが口にしていることも考えられる。だから街で私たちが出したごみは、まわりまわって自分たちに戻ってきているのかもしれない。
近い将来、魚の量よりも増えると言われている海のごみ。これをできる限り増やさないために、私たちには何ができるだろう。
・ごみをポイ捨てしない
・ごみはごみ収集箱に捨てる
・リサイクルできるものはリサイクルに出す
・できるだけごみを出さないモノを使う
・街でごみを見つけたら拾う
・ごみ拾いのイベントや活動に参加する
私たちの小さな心がけが、きれいな海や地球を守ることにつながる。自分ができることからで、大丈夫。今日から始められることを行動に移そう。
イラスト/Masami、記事監修/日本財団
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