世界では、毎年20億トンという途方もない量のごみが生まれている。しかしリサイクルに回されているのはわずかしかない。解決の糸口が見えないごみ問題に対して、各国がこれまでにない斬新な切り口でごみを減らす方法を模索している。そこで、ELEMINISTで取り上げてきた海外ニュースのなかから、ごみ減量に向けた先進的な事例を7つピックアップ。記事の要約と注目すべきポイントをまとめた。このなかに、近い将来日本でも当たり前になる製品や取り組みがあるだろう。
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NY市を中心に展開するフードデリバリー「DeliverZero」が、シカゴとアムステルダムへの展開を発表。再利用可能な容器で配達をおこなっている点が支持されている。これは、日本人になじみが深い出前文化と同様の仕組みだ。環境負荷の軽減に向けて、利用者の拡大を狙う。
フードデリバリーサービスを利用していると、使い捨てプラスチック容器が使われている場合がほとんどだ。紙製だとしても使い捨てタイプであれば、決して環境にいいとは言えない。提供したリユーサブル容器をレストランに利用してもらうことで、環境への負担を軽減させる。これが「DeliverZero」の狙いだ。
食器の返却は次の配達時にスタッフに手渡すだけ。まさに日本の出前と同様のシステムを採用している。このような視点で海外のニュースを読んでみると、日本文化には多くのサステナブルなティップスがあることに気づけるかもしれない。
世界初の100%堆肥化可能なスマホケースを販売する「Pela」が、家庭用コンポスター「Lomi」の販売を発表。スイッチ一つで生ごみを処理することが可能だ。自社の堆肥化可能なスマホケースを含むバイオプラスチックの分解にも適応しているという。
「Pela」といえば、土に還るスマートフォンケースを販売する世界で唯一のメーカーだ。脱プラスチックの新風を吹かせるPelaの次なるプロダクトは、一般家庭で使えるコンポスター(生ごみ堆肥化容器)。
「Lomi」と名付けられたこの商品、スイッチひとつで家庭で出た生ごみを堆肥に変えてくれるすぐれものだ。生ごみは二酸化炭素の84倍も温室効果が高いメタンガスを発生させてしまうため、堆肥にしたほうが圧倒的に環境にやさしい。
全国で排出される家庭ごみのうち、約半数を生ごみが占めるといわれている。どうしても出てしまう野菜の皮や種を再活用するのには最適だろう。
スウェーデンのアルコールメーカー「Gotland Spirits」が、食品廃棄物からつくったジン「SPILL」を発売した。従来のアルコール製造方法を参考に、さまざまな食品からお酒をつくる。今後、廃棄食品を再資源化する技術はさらに注目を集めるだろう。
国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界中で生産される食料のうち、約3分の1が廃棄処理されている。EUでは、毎年8,800万トンの食べ物が捨てられており、一人あたりに換算すると173kgにものぼるという。
食品廃棄問題に光明を差すプロダクトとして、食品廃棄物から生まれた「SPILL」は大きな期待を集めている。
果物や野菜など足の早い商品は、寄付をしたくてもできず、捨てられてしまうことが多い。食品を再資源化する取り組みは日本でも着実に増えてきている。
記事の要約/トルコ・イスタンブールを拠点に活動するデザイナーElif bulutさんが、靴のパッケージに関する無駄をなくすエコなプロダクト「Standbox」を開発した。従来のアイデアに少しのスパイスを加えることで、資源の削減はもちろん、スペースや工程の効率化をも可能にする。
ボックスに入った新品をバックヤードから持ってきてもらい、プラスチックのビニール袋に入れて持ち帰るーー。お店で靴を購入する際、多くの人が経験するシチュエーションだろう。たいていの場合、帰宅後にビニール袋は役割を終え、ボックスも靴箱の奥にしまわれるだけだろう。
「Standbox」には持ち手つきのシューキーパーが採用されている。箱のまま簡単に持ち運びができるため、販売側がビニール袋を用意する必要がない。ボックスには斜めの切れ込みが入っており、靴箱での縦収納が可能となる。そもそも包装を必要としなければ、過剰包装問題が起こることはない。
世界最大のテクノロジー展示会「CES 2021」で注目を浴びた、世界初の家庭用リサイクルマシン「Lasso(ラッソ)」。分別から洗浄、粉砕までを一台でまかなえる画期的な製品だ。サステナブルなアクションを促すプロダクトは、今後もさまざまな分野で発明されそうだ。
リサイクルの難しさは、資材に異素材が混ざると分別が不可能になるという点だ。とはいえリサイクルの分類はかなり細かく、正確な分別が難しいのも事実。家庭でやるとなるとなおさらだ。重要さはわかっているものの、その種類の多さで諦めてしまったという人もいるだろう。
どんな人でも正しくリサイクルできる「Lasso」がもたらす価値は、環境問題の解決に向けた一歩を踏み出しやすくしてくれる“仕掛け”にある。一般家庭でサステナブルなアクションを起こせるプロダクトは、今後もさまざまな場面で発明されそうだ。
フランスの研究所「Fondation Jacques Rougerie」が主催したコンペティションのグランプリが発表され、スロバキアのデザイナーが構想した巨大なフローティングステーション「The 8th Continent」が受賞した。海洋ごみを回収し、分解できる施設だ。
「The 8th Continent」では、自家発電したエネルギーによって海洋ごみを回収し、リサイクル素材として分解をする仕組みを持つ。海洋学や環境学の研究所としても活用できるようにデザインされている。
この施設はまだコンセプト段階だが、回収した海洋ごみをリサイクル素材へと変える必要があることを実感させてくれたアイデアだろう。
昨年、バリ島(インドネシア)の「クタビーチ」で地元住民たちが約30tの漂着ごみを回収したというニュースが報道された。そのうちの約70%がプラスチックごみだったという。海に流れ着くごみの多くが、適切に処理されなかった容器包装やペットボトルだ。
2040年までに、海へのプラスチックごみの流出量が3倍に増えるという予測もある。私たちたちは、すぐにでも消費スタイルを変える必要に迫られているのだ。
カナダのスターバックスが、同国を拠点とする建築事務所「Nexii Building Solutions」と共同で、サステナブルな店舗をつくることを発表。通常と比べて30%も二酸化炭素排出量が少なく、人体に悪影響を与える可能性のある化学物質を99%使用していないとのこと。
カナダのスターバックスが、同国を拠点とする建築事務所「Nexii Building Solutions」と共同で、サステナブルな店舗をつくることを発表した。驚くべきことにほとんど廃材が出ないそうだ。
パートナーに選んだのが環境にやさしい建築を得意とする建築事務所「Nexii Building Solutions」。コンクリートよりも環境にやさしく、強度や耐久性はほぼ同じという独自の素材「Nexiite」を用いて、サステナブルな社会をつくろうとしている。
廃材も出さずにスピーディーに建設ができるため、自然災害が起きてしまった地域を復興させる際に、彼らの技術が活かされる可能性も大いにありそうだ。
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