世界最大のテクノロジー展示会「CES 2021」で注目を浴びた、世界初の家庭用リサイクルマシン「Lasso(ラッソ)」。分別から洗浄、粉砕までを一台でまかなえる画期的な製品だ。サステナブルなアクションを促すプロダクトは、今後もさまざまな分野で発明されそうだ。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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分別から粉砕まで、リサイクルの全行程を行う世界初の家庭用リサイクルマシン「Lasso(ラッソ)」。
アメリカで開催される世界最大のテクノロジー展示会「CES 2021(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」にも出展し、いま注目を集めている。
使い方はいたって簡単。リサイクルしたい物品を本体内部にセットすると、資源の種類を識別するセンサーが反応し、自動で分別してくれるのだ。
なんとこのセンサー、カメラとAIを使ってガラスの色まで判別可能な優れものだ。もしリサイクルできないものを誤って入れてしまっても、自動で取り除いて戻してくれる。
識別のあとは物品の洗浄へ。蒸気洗浄を搭載しているため、手洗いよりも水使用量を抑えつつ効率的に洗える。
不純物を取り除いたら、最後は細かく粉砕され最下層のストレージに種類別に溜まっていく。ストレージのサイズは、一般的な資源別利用頻度の統計から計算されており、約2ヶ月に1回、専門業者の回収で運用できるようになっているという。
専用のアプリを使えば、ストレージのキャパシティの確認や、残量に合わせた臨時の集荷依頼などが利用できる。ほかにもリサイクルでもらえる報酬や削減した二酸化炭素量の確認もでき、環境への貢献度を数値で可視化してくれる。
リサイクルの難しさは、資材に異素材が混ざると分別が不可能になるという点だ。とはいえ、リサイクルの分類はかなり細かく、正確な分別が難しいのも事実。重要さはわかっているものの、その種類の多さで諦めてしまったという人もいるだろう。
しかし、環境汚染は待ったなしの状況にある。世界中で生産されたプラスチック製品の総量63億tのうち、リサイクルされたのはたったの9%。残りの91%はリサイクルされずに、埋め立て地に送られているか、自然界にそのまま蓄積しているという(※)。
どんな人でも正しくリサイクルできるーー。「Lasso」がもたらす価値は、環境問題の解決に向けた一歩を踏み出しやすくしてくれる“仕掛け”にある。サステナブルなアクションを誰でも起こせるようにするプロダクトは、今後もさまざまな場面で発明されそうだ。
参照サイト/Lasso
https://www.lassoloop.com/
※ Production, use, and fate of all plastics ever made|AAAS
https://advances.sciencemag.org/content/3/7/e1700782
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