ごみは、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ……と区分される。でもそれは本当に“ごみ”なのか。ごみのない社会をめざすゼロ・ウェイスト活動を計画、実施してきたゼロ・ウェイスト・ジャパンの坂野晶さんに聞く。
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坂野晶 Sakano Akira
一般社団法人ゼロ・ウェイスト・ジャパン代表理事。兵庫県西宮市出身。4歳でインコと出会い、絶滅危惧種のオウム「カカポ」(ニュージーランドにのみ生息)への思いが高じて環境問題に興味を持つ。大学で環境政策を学び、卒業後、モンゴルのNGO、フィリピンの物流企業などを経て、2015年、徳島県上勝町NPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーに参画。2019年世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)の共同議長を務める。2020年から現職。
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-------はじめに「ごみ問題」って何でしょう?
坂野 私は自治体や企業、学校などでワークショップを開いたり講演したりすることも多いのですが、ごみ問題について話す前に、私はこうたずねます。「ごみって何だと思いますか?」と。
たいがいの方は、ちょっと考え込んでしまいます。ある人は、こんなふうに答えます。「もう使わない物」。または「ごみ袋に入れて、ごみ集積場まで持っていくもの」。その人にとって、ごみの定義は「もう使わない物で、ごみ集積所にまで持って行く物」です。
では、「もう使わない」とか「使えない」と判断しているのは誰でしょうか? その人自身です。
少し哲学的な話になるかもしれませんが、ごみはすべて主観で決められるのです。あなたが不要と思えば、それがごみになります。同じ物が、別の人にとっては「まだ使える」「まだ必要」であれば、それはごみではありません。
-------資源ごみも主観的になりますか?
坂野 資源ごみの分類は自治体によって異なりますが、制度的に決まっています。プラ容器やペットボトルをはじめ、紙、布、アルミ、スチールなどなどの分類があります。「ウチの地域ではこれは資源、これはごみ」とわかっているわけですが、一方で、それを実際に分別しているのは誰でしょうか? これも、自分です。
これは資源ごみとわかっていても、面倒だからと分けない人もいるでしょうし、今日は可燃ごみで出してしまおうということもあるでしょう。
ごみゼロを考えるにあたり、まずごみは主観的な物であるということを押さえておいてください。
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