スウェーデンのアルコールメーカー「Gotland Spirits」が、食品廃棄物からつくったジン「SPILL」を発売した。従来のアルコール製造方法を参考に、さまざまな食品からお酒をつくる。今後、廃棄食品を再資源化する技術はさらに注目を集めるだろう。
染谷優衣
フリーランスライター
YouTubeのThrift Filp動画をきっかけにサステナブルに興味を持つ。最近は洋服のリメイクを勉強中。リサイクルショップで掘り出し物の古着を見つけるのが好き。
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スウェーデンのアルコールメーカー「Gotland Spirits」が、食品廃棄物からつくったジン「SPILL」を発売した。
同社が出したリリースによると、現在EUでは毎年8,800万トンの食べ物が捨てられており、一人あたりに換算すると173kgにものぼる。食べ物が無駄になるだけでなく、製造過程で消費したエネルギーも無駄になり、地球温暖化を加速させる一因にもなっているという。
「Gotland Spirits」の創設者であるJohan Johanssonさんは、新しい材料からつくるのではなく、すでにあるものを活用できないかと考えた。試行錯誤を重ねたすえ、食品廃棄物からつくる「SPILL」が生まれた。
従来のアルコール製造方法に少し手を加えることで、パスタやクラッカー、果物などさまざまな食品から醸造する技術を開発。行程にさらに磨きをかけ、アルコール度数45%の良質なジンをつくり上げた。
その後、スウェーデンの大手食品メーカーの一つである「Coop」に協業の話を持ちかけたところ、二つ返事で快諾。毎週送られてくる数トンにもおよぶ賞味期限切れ食品を、より長持ちするお酒に変えている。
今回の取り組みについて、「Coop Gotland」店長のMarkus Wahlgrenさんは「資源の循環的流れに貢献し、カーボンフットプリントを削減するすばらしい機会です」とコメントしている。
実際、国連の食糧農業機関の調査によると、世界中で生産された食料のうち3分の1が廃棄されているという。その分、栽培や加工、配送に使われたエネルギーを含めて無駄になっている(※)。
正直、廃棄になる食品がなくなるシステムに変わるのがもっとも理想ではあるが、100%なくすのが難しいのも事実だ。とくに果物や野菜など足のはやい商品は、寄付をしたくてもできず、捨てられてしまうことも多い。
そんなとき、「SPILL」のような商品で食品を再資源化し、第二の道を与えることができる技術は今後さらに注目を集めるだろう。
※ Food wastage: Key facts and figures|The Food and Agriculture Organization (FAO)
http://www.fao.org/news/story/en/item/196402/icode/
参照サイト/Gotland Spirits
https://www.instagram.com/gotlandspiritsab/
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