Photo by © Francesco Alesi / Greenpeace
深刻化の一途を辿るごみ問題。約20年後には日本国内にあるごみの最終処分場が満杯になるとの予測も出ているが、これは氷山の一角に過ぎない。環境問題に詳しい国際環境NGOグリーンピース・ジャパンに、ごみ問題を取り巻く4つの予測を聞いた。現実味を帯びる最悪のシナリオとは。
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エレミニスト編集部
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私たちが最優先で取り組まなければいけないプラスチックごみ問題とは、使い捨てにされるプラスチック、つまり容器包装を指します。全世界で生産されるプラスチックのうち、容器包装が全体の4割ほど。これらが海に流出すれば海洋汚染につながりますし、つくればつくるほど原料となる石油が必要となります。
エレン・マッカーサー財団がまとめた資料によると、2050年にはプラスチック容器包装の量がいまの4倍に増えると報告しています。しかしながら日本を含めた先進国では、解決策として期待されてきたプラスチックごみをリサイクルする仕組みはうまくいっていません。
公表されているリサイクル率の約4割が途上国などに輸出され、現地で処理されてきました。“リサイクルのため”に輸出されている先進国のプラスチックごみは、環境被害だけでなく、大気汚染などによって現地に住む人の健康被害も引き起こしてきたのです。
これは、国際環境法センター(CIEL)が発表したデータです。その背景には、化石燃料業界の動きも影響しています。エネルギーの脱炭素化が進む一方で、石油産業はプラスチックへの投資を推し進めています。新たにプラスチック工場を建設したり、プラスチックの分野でもっと石油を使うようにと働きかけているわけです。
私たちが思っている以上に、使い捨てのプラスチックは減る状況にありません。抜本的な解決策が必要です。
昨年7月にレジ袋有料化がスタートしました。最近では、プラスチック製のストローやスプーンの有料化も政府内で検討されはじめています。しかしこれはあくまで部分的な規制です。日本よりも明らかに進んでいるEUのプラスチック規制にしても、包括的ではありません。
このまま何もしなかった場合、海洋へ流入するプラスチックの量は、2040年までにほぼ3倍に増える可能性がある。アメリカのNGO「PEW」の発表は、未来をそう予測しています。さらに企業や政府が現在計画している対策がうまくいったとしても、毎年世界中で海洋に流入するプラスチックごみの量は、3倍からわずか7%しか減りません。
国をあげてプラスチックのリサイクル率を上げるための施策を動かしていますが、出てしまったごみに対する施策ばかりで、そもそもごみを発生させないための対策は圧倒的に少ない。いま必要なのは、使い捨てが生まれない仕組みづくりです。「リユースこそソリューション」であり、それを実現すべく、私たちは世界中でキャンペーンを展開しています。
原子力発電の燃料であるウラン燃料は、燃やしたあとには使用済み核燃料となり、プルトニウムのような非常に危険な放射性物質を含む高レベル放射性廃棄物となります。日本では使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すために、青森県六ケ所の再処理工場に運ぶことになっていますが、まだこの工場は完成していません。
そこで高レベルの放射性廃棄物である使用済み核燃料は、それぞれの原発の使用済み核燃料プールで保管することになっています。しかしいま、その保管容量に限界がきています。
柏崎刈羽原発(新潟)の6号機7号機を例に出すと、保管の上限に達するまでそれぞれ0.9年と0.4年。2018年の数値ですが、なんと一年を切っています。現在は稼働していないので保管状況は変わっていませんが、そう遠くないうちに全国各地で燃料プールが満杯になる見込みです。
非常に強い放射線を出す核のごみは、人が絶対に近づけない場所に処分する必要があります。どの国も、自国の地下300mよりも深い位置にある岩盤に埋めて処分するという方法を採っていますが、どの場所に埋めるかなどはまったく決まっていません。まずは原発の稼働を止めて、核のごみの量を決めるところからスタートする必要があるでしょう。
取材協力・写真提供/国際環境NGOグリーンピース・ジャパン、取材・文/ELEMINIST編集部
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