日本の絶滅危惧種を紹介 絶滅の背景や保護するための取り組みも解説

海で泳ぐウミガメ

Photo by Jakob Owens on Unsplash

日本には9万種以上の生き物が生息しているが、そのうちの3,772種が絶滅危惧種。なかには、ラッコやイリオモテヤマネコなど、なじみのある動物も含まれている。本記事では、日本の絶滅危惧種の代表例を分類群ごとに紹介。野生生物が絶滅の危機に陥る背景や世界的な取り組みについても解説する。

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2023.09.28
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絶滅危惧種とは

こちらをじっと眺めるヤマネコ

Photo by Sean Kinnear on Unsplash

絶滅危惧種とは、絶滅のおそれが生じている生物種のこと。現段階では生息しているが、個体数が減少しており、将来的に地球上から姿を消してしまう可能性がある野生生物を指している。

日本では現在9万種以上の生物種が確認されており、日本ならではの固有種も多く存在している。国土面積が狭いにも関わらず、豊かな生物相を有しているのが日本の特徴だ。以下では、日本の絶滅危惧種についてより詳しく見ていこう。

絶滅の危機にある生物が載っている「レッドリスト」

レッドリストとは、絶滅の危機に瀕している野生生物がまとめられたもの。世界的には「国際自然保護連合(IUCN)」が作成しており、日本では環境省がIUCNの基準に準じた形でまとめている。掲載対象は、日本に生息または生育する野生生物であり、世界版とは掲載生物が異なっている。

環境省が作成する日本のレッドリストはおおむね5年ごとに見直され、必要に応じて改訂される。最新の改訂版は、2019年度に公表された「レッドリスト2020」である。

絶滅のおそれに応じてカテゴリー分けされている

レッドリストでは、専門家で構成される検討会によって生物種の絶滅の危険度が評価されている。危険度に応じたカテゴリーは、以下の9つだ(※1)

・絶滅(EX)
日本ではすでに絶滅したと考えられる種

・野生絶滅(EW)
飼育・栽培下、あるいは自然分布域の外側で野生化した状態でのみ存続している種

・絶滅危惧I類(CR+EN)
絶滅の危機に瀕している種

・絶滅危惧IA類(CR)
ごく近い将来、野生での絶滅の危険性が極めて高いもの

・絶滅危惧IB類(EN)
IA類ほどではないが、近い将来、野生での絶滅の危険性が高いもの

・絶滅危惧II類(NT)
絶滅の危険が増大している種

・準絶滅危惧(NT)
現時点での絶滅危険度は小さいが、条件によっては絶滅危惧に移行する可能性がある種

・情報不足(DD)
評価するだけの情報が不足している種

・絶滅のおそれのある地域個体群(LP)
地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの

上記のカテゴリーのうち、「絶滅危惧I類(絶滅危惧IA類・絶滅危惧IB類)」と「絶滅危惧II類」に評価された生物種を絶滅危惧種としている。また、「絶滅のおそれのある地域個体群」は独自に設けられており、独自の基準によって評価されている。

【日本】絶滅危惧種一覧

アラスカの海を泳ぐラッコ

Photo by Grace Simoneau on Unsplash

「レッドリスト2020」では、動物・植物に関しては3,716種が絶滅危惧種に分類された。海洋生物に関してまとめられた「環境省版海洋生物レッドリスト」に絶滅危惧種として掲載された56種と合わせると、日本の絶滅危惧種は合計で3,772種という結果だ。(※2)

以下では、日本ではどんな生物が絶滅危惧種に指定されているのか、分類群ごとに代表例を見ていこう。

哺乳類

・イリオモテヤマネコ
絶滅危惧種IA類(CR)

・ラッコ
絶滅危惧種IA類(CR)

・ジュゴン
絶滅危惧種IA類(CR)

・アマミノクロウサギ
絶滅危惧種IB類(EN)

・ヤマコウモリ
絶滅危惧II類(VU)

哺乳類の代表例を見てみると、なじみのある動物もいるだろう。ここで挙げた動物たちはあくまで一部に過ぎない。日本では、34種の哺乳類が絶滅の危機に瀕している。

鳥類

・コウノトリ
絶滅危惧種IA類(CR)

・トキ
絶滅危惧種IA類(CR)

・ヤンバルクイナ
絶滅危惧種IA類(CR)

・シマアオジ
絶滅危惧種IA類(CR)

・シマフクロウ
絶滅危惧種IA類(CR)

・イヌワシ
絶滅危惧種IB類(EN)

・ウズラ
絶滅危惧II類(VU)

・マナヅル
絶滅危惧II類(VU)

鳥類は98種が絶滅危惧種として分類されている。現在絶滅危惧種と評価された種数が多いだけでなく、メグロやミヤコショウビンなど、すでに絶滅した鳥たちが15種類と多いのも特徴だ。

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爬虫類

・ミヤコカナヘビ
絶滅危惧種IA類(CR)

・アカウミガメ
絶滅危惧種IB類(EN)

・アオウミガメ
絶滅危惧II類(VU)

・オキナワトカゲ
絶滅危惧II類(VU)

爬虫類は37種が絶滅危惧種という結果だ。アオウミガメは、IUCNが作成する世界版のレッドリストにも載っている。世界の絶滅危惧種については以下の記事から確認できる。

【2023年最新版】絶滅危惧種を一覧で紹介 現状や取り組みについても解説

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両生類

・アベサンショウウオ
絶滅危惧種IA類(CR)

・サドガエル
絶滅危惧種IB類(EN)

・トウキョウサンショウウオ
絶滅危惧II類(VU)

両生類は47種。「レッドリスト2019」において絶滅危惧種と評価されていたのは29種だったが、1年間で大幅に増加していることがわかる。

汽水・淡水魚類

・ベニザケ(ヒメマス)
絶滅危惧種IA類(CR)

・ニホンウナギ
絶滅危惧種IB類(EN)

・キンブナ
絶滅危惧II類(VU)

・シロウオ
絶滅危惧II類(VU)

汽水・淡水魚類では、169種の生物が絶滅危惧種とされた。ここでは挙げていない「準絶滅危惧(NT)」のカテゴリーには、ドジョウやヤマメなどのなじみ深い生物も含まれている。

昆虫類

・オガサワラシジミ
絶滅危惧種IA類(CR)

・ミヤマシロチョウ
絶滅危惧種IB類(EN)

・オオクワガタ
絶滅危惧II類(VU)

・タガメ
絶滅危惧II類(VU)

昆虫類は、約32,000の評価対象のうち367種が絶滅危惧種。トンボ目・ガロアムシ目・カワゲラ目・バッタ目・カメムシ目・コウチュウ目・ハチ目・ハエ目・チョウ目など、さまざまな種類の昆虫が評価され、分類されている。

陸・淡水産貝類

・マメタニシ
絶滅危惧種IA類(CR)

・キュウシュウササノハガイ
絶滅危惧種IB類(EN)

・クロカワニナ
絶滅危惧II類(VU)

陸・淡水産貝類では、629種と非常に多くの種数が絶滅危惧種と評価された。

その他無脊椎動物

・カブトガニ
絶滅危惧I類(CR+EN)

・ヤシガニ
絶滅危惧II類(VU)

・ニホンザリガニ
絶滅危惧II類(VU)

その他無脊椎動物で絶滅危惧種に分類されているのは65種。日本唯一のザリガニの在来種であるニホンザリガニも絶滅の危機に瀕している。

絶滅危惧種の背景

生い茂る森林

Photo by Sebastian Unrau on Unsplash

世界的に絶滅危惧種は年々増加傾向にあり、日本でも増えてきている。過去を振り返ってもこれまで多くの生物が絶滅したのは事実だが、現代は、絶滅のスピードが過去にないほど加速しており、その点も含めて問題視されている。

生物が絶滅する原因は複数あるが、なかでも人間の活動や環境破壊が大きく関わっている。生物種の絶滅は1975年以降急速に増え続けており、環境問題の深刻化にともなっているといえるだろう。以下では、世界中で生物の生命を脅かす原因となっている理由を3つ挙げる。

密猟・乱獲

人間による捕獲や乱獲は、直接的に生物の生存を脅かす。世界中で、ペットや装飾利用などを目的とする野生生物の取引が行われている。過去には、東南アジアから日本へカワウソが密輸される事件が発生したこともあった。カメやヘビをはじめとする南西諸島の固有種が、捕獲が禁止されているにも関わらず取引されている現状もある(※3)。人間の需要があることで野生生物が捕獲され、売買・譲渡されているのだ。

また、世界的には、国際組織犯罪グループによるアフリカゾウの密猟が行われている。環境省では、近年、国内における象牙製品の密輸事例は確認されていないとしているが(※4)、世界的に見ると密猟のために犠牲になる野生生物が多く存在している。

密猟や乱獲は、野生生物を絶滅に追いやる行為である。過去にはそれを理由に大きく数を減らした生物がいるということを肝に銘じておきたい。

森林伐採

絶滅危惧種の多くは、生息地の環境が悪くなったり変化したりすることで、生命を脅かされる。森林は野生生物の宝庫であり、森林伐採が行われると、多くの生物たちが行き場を失ってしまう。日本を含め、さまざまな国で開発や生産のための森林伐採が行われてきた事実がある。

日本は国土の67%が森林であり、森林率が高い国のひとつである。森林の恵みによって野生生物や固有種が多く生息していることもわかっている。野生生物の宝庫である森林が減少し、生物環境が悪化すると、生態系が大きく崩れる可能性も考えられる。

地球温暖化

IUCNが発表しているレッドリストでは、野生生物を苦しめる要因のひとつとして「気候変動」が挙げられている。気候変動による影響を受けている絶滅危惧種は、2000年時点で15種、2015年には2,000種、2020年には4,000種超と、ものすごいスピードで推移しており、地球温暖化による気候変動が野生生物を絶滅に追いやる要因のひとつであることを裏付けている(※5)。地球温暖化が進むと、生息環境が変化する。生物たちは生きていくために適応できなければ、絶滅してしまうだろう。

絶滅危惧種を保護するための取り組み

堂々と歩くアフリカゾウ

Photo by Nam Anh on Unsplash

では、絶滅危惧種を保護するための世界的な取り組みについて見てみよう。代表的な条約と団体を3つ紹介する。

ワシントン条約

ワシントン条約は、正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」という。世界一丸となって野生動植物種の絶滅を防止するために、1973年に採択された。ワシントン条約の附属書では、国際取引において規制が必要と考えらえる野生動植物が絶滅の危機度合いに応じて3区分に分けてリストアップされており、それぞれにおいて規制内容が定められている。輸出入国が協力して取引規制を行うことで、野生生物の保護をはかる目的だ(※6)

生物多様性条約

生物多様性条約は、1993年に発効した生物の生態系を守るための国際条約。1975年に発効したラムサール条約とワシントン条約を補完するために採択された。生物が過去にないスピードで絶滅していく背景を懸念し、より包括的に保全の取り組みを進めるための内容が盛り込まれている。

日本では、生物多様性条約に基づく取り組みとして、各地での啓もう活動や民間事業者の取り組みを促進するための「生物多様性民間参画パートナーシップ」プロジェクトが行われている。

生物多様性条約とは? 目的・概要・COP15・日本の取り組みをわかりやすく解説

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国際自然保護連合(IUCN)


国際自然保護連合(IUCN)は、1984年に設立された世界最大の自然保護ネットワークだ。正式名称は「自然及び天然資源の保全に関する国際同盟」。日本を含め、世界160カ国以上の国で活動している。

絶滅危惧種をまとめた国際的なレッドリストの作成をはじめ、野生生物の保護や調査研究など、自然環境分野における活動を行っている。ワシントン条約の附属書改正提案を検討する際には情報提供を行い、ラムサール条約においては事務局業務を担当した(※7)

絶滅危惧種とSDGs

SDGsの目標15「陸の豊かさも守ろう」には、自然生息地の劣化を抑えること・生物多様性の損失を止めること・絶滅危惧種を保護して絶滅を防ぐことなどがターゲットとして盛り込まれている。つまり、絶滅危惧種を守ることは、SDGsを達成するためのアクションのひとつなのだ。

陸の豊かさを守るためにすべきことは、大きく括ると森林管理や砂漠化の防止、生態系の保全など。ここに、絶滅危惧種の保護も含まれる。地球規模の話に聞こえるかもしれないが、地球で暮らす一個人としてできることもたくさんある。例えば、ビジターセンターで環境について学ぶと地球についての知識を深められる。環境に配慮した認証マークを意識して買い物をするのもいいだろう。

私たち人間は、豊かな陸の恵みを享受しながら生きていることを忘れてはならない。絶滅危惧種をはじめとする、地球に生きるすべての生物がこれからも暮らしていけるように、個人単位で価値観や生活を見直していく必要がある。

日本の絶滅危惧種と共生するために

日本の絶滅危惧種には、日本にしかいない固有種も多く含まれている。私たちがこれからも野生生物たちと共生するためには、生息地を汚さず、保全することが大切だ。そのためには、日本に生息している絶滅危惧種を知ることが第一歩。そのうえで、野生生物の絶滅を防ぐために、できることからはじめよう。

※掲載している情報は、2023年9月28日時点のものです。

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