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SDGsの達成度を可視化できるSDGsランキング。2022年の日本の順位は19位と、前年に比べて一つ後退した。この記事では、SDGs達成度ランキングが示す意味やランキング上位30か国を一挙紹介する。上位国の強さの秘密や日本の弱点も学んでいこう。
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2022年のSDGs達成度ランキングにおいて、日本の順位は19位であった。2016年に初めてランキング情報が公開されたときからの順位変動は、以下のとおりである。
2016年 | 18位 |
2017年 | 11位 |
2018年 | 15位 |
2019年 | 15位 |
2020年 | 17位 |
2021年 | 18位 |
2022年 | 19位 |
もっとも順位が高かったのは、2017年。しかし翌年以降、少しずつ順位は低下している。そして、2021年から2022年にかけては「ランキングを下げ、なおかつ点数も下げる」という結果になった。
2018年から2021年にかけては、ランキングこそ下げているものの、点数は上昇。これは「他国のスピードには及ばないものの、日本なりにSDGs達成に向けて取り組んでいた」証拠と言えるだろう。今回見られた「点数の低下」は、SDGs達成に向けた国内での取り組みが、停滞もしくは後退しているという事実を示している。
では、日本の取り組みのいったいどこに問題があるのかを、具体的に見ていこう。まずは今回のランキング情報とともに公開された、「17の目標別の達成状況」を紹介する。
まず、2022年時点で「達成済み」と判断されたのは、以下の3つの目標である。
ゴール4「質の高い教育をみんなに」
ゴール9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
ゴール16「平和と公正をすべての人に」
そして、「課題が残る」は以下の5つだ。
ゴール1「貧困をなくそう」
ゴール3「すべての人に健康と福祉を」
ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」
ゴール8「働きがいも経済成長も」
ゴール11「住み続けられるまちづくりを」
さらに、「重要な課題がある」は以下の3つである。
ゴール2「飢餓をゼロに」
ゴール7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」
ゴール10「人や国の不平等をなくそう」
SDSNでは、各目標への達成度を4つに分けて診断しているが、もっとも下のレベルにあたる「深刻な課題がある」と判断された項目は、全部で6つあった。
ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」
ゴール12「つくる責任つかう責任」
ゴール13「気候変動に具体的な対策を」
ゴール14「海の豊かさを守ろう」
ゴール15「陸の豊かさも守ろう」
ゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」
2021年の結果と比較してみると、ゴール12「つくる責任つかう責任」が「重要な課題がある」から「深刻な課題がある」へと降格している。近年世界中で関心が高まっている、「プラスチックごみ」の排出量や輸出量の影響と考えられるだろう。また「電子機器のごみ」の多さも、日本が抱える課題の一つである。
また、もう一点注目したいのが、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」の項目である。ランキング上位国が軒並み高評価を得ているのに対して、日本の状況はSDGsへの取り組みスタート当初から、それほど大きくは変わっていない。
2022年9月1日時点での衆参両院での女性国会議員の比率は、わずか15.4%にとどまっている。2022年のランキングで3位となったスウェーデンの女性国会議員比率は46.1%。その差は比べるまでもないだろう。また「賃金のジェンダー格差」に十分な改善が見られない点も、評価を下げる原因の一つだ。(※2)
毎年公表されるSDGsランキング。2022年は日本が一つ順位を下げたことにより、その立ち位置ばかりに注目が集まりがちだ。しかしSDGs達成に向けたヒントは、ランキングの裏にある「理由」のほうに隠されている。
今回のランキングを見れば、日本が今後積極的に取り組むべき課題は明らかである。ジェンダー対応や消費活動の改善、そして気候変動対策に環境保護など、まずは個々が課題に意識を向けることが重要だ。一人ひとりの意識を高め、具体的な行動につなげられれば、順位上昇は夢ではないはずだ。
※1
Rankings The overall performance of all 193 UN Member StatesOVERALLSPILLOVERS|SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT
Rankings The overall performance of all 193 UN Member State|SUSTAINABLE DEVELOPMENT REPORT
※2
1-3図 諸外国の国会議員に占める女性の割合の推移|男女共同参画局
国会議員の女性比率|立憲民主党
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