Photo by SaiKrishna Saketh Yellapragada on Unsplash
SDGsの達成度を可視化できるSDGsランキング。2022年の日本の順位は19位と、前年に比べて一つ後退した。この記事では、SDGs達成度ランキングが示す意味やランキング上位30か国を一挙紹介する。上位国の強さの秘密や日本の弱点も学んでいこう。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の頭文字からつくられた言葉である。2001年策定のミレニアム開発目標の後継として、世界が一体となって取り組むべき課題を示したものだ。2015年9月の国連サミットで策定され、加盟国全会一致での決定だった。
SDGsには、環境問題や貧困問題、ジェンダー平等に質の高い教育といった内容が盛り込まれている。17のゴールと169のターゲットは、そのすべてが「持続可能でよりいい世界」を目指すために欠かせないものだ。また、「誰一人取り残さない」ことが、SDGsの重要なテーマである。地球上のすべての人や団体による、具体的な取り組みが求められている。
SDGsに明記された目標達成時期は「2030年まで」だ。時間的な余裕が十分とは言えない中、「誰がどの程度、どのような取り組みをしているのか?」が重要なポイントと言えるだろう。とはいえ、こうした姿勢は、わかりやすく数値になって現れるものではない。
そこで誕生したのが、SDGs達成度ランキングである。持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)による国別ランキング情報で、2016年から毎年発表されている。各国のSDGs達成度合いを目標別にわかりやすい形で示し、各国による取り組みの、より一層の推進を目標としている。
SDSNが発表するSDGs達成度ランキングは、各国のSDGsの取り組みを100点満点で点数化した「SDGs達成度」によって決定される。17の目標すべての達成に向けた進捗状況を、国連や研究機関などの統計資料をもとに総合的に判断。国別の点数は、そのまま「SDGs達成のパーセンテージ」と解釈できるだろう。
2022年のランキングは、以下のとおりである。
順位 | 国名 | スコア | 前年スコア |
1位 | フィンランド | 86.51 | 85.90 |
2位 | デンマーク | 85.63 | 84.86 |
3位 | スウェーデン | 85.19 | 85.61 |
4位 | ノルウェー | 82.35 | 81.98 |
5位 | オーストラリア | 82.32 | 82.08 |
6位 | ドイツ | 82.18 | 82.48 |
7位 | フランス | 81.24 | 81.67 |
8位 | スイス | 80.79 | 80.10 |
9位 | アイルランド | 80.66 | 80.96 |
10位 | エストニア | 80.62 | 81.58 |
11位 | 英国 | 80.55 | 79.97 |
12位 | ポーランド | 80.54 | 80.22 |
13位 | チェコ共和国 | 80.47 | 81.39 |
14位 | ラトビア | 80.28 | 79.15 |
15位 | スロベニア | 79.95 | 81.60 |
16位 | スペイン | 79.90 | 79.46 |
17位 | オランダ | 79.85 | 81.56 |
18位 | ベルギー | 79.69 | 82.19 |
19位 | 日本 | 79.58 | 79.85 |
20位 | ポルトガル | 79.23 | 78.64 |
21位 | ハンガリー | 79.01 | 78.78 |
22位 | アイスランド | 78.87 | 78.17 |
23位 | クロアチア | 78.79 | 80.38 |
24位 | スロバキア共和国 | 78.66 | 79.57 |
25位 | イタリア | 78.34 | 78.76 |
26位 | ニュージーランド | 78.30 | 79.13 |
27位 | 大韓民国 | 77.90 | 78.59 |
28位 | チリ | 77.81 | 77.13 |
29位 | カナダ | 77.73 | 79.16 |
30位 | ルーマニア | 77.72 | 74.97 |
「Sustainable Development Report 2022」「Sustainable Development Report2021」より(※1)
2022年のランキングでの上位国の顔ぶれは、前年とほぼ変わっていない。また、上位5か国中4か国で、前年よりもスコアを上げた結果となった。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による影響はまだまだ根強く、またロシアによるウクライナ侵攻など、新たな問題も勃発している。食料供給の安定性やエネルギー価格上昇に対する不安も根強いにもかかわらず、上位国ではSDGs達成に向けた取り組みが着実に進められていると言えるだろう。
上位国には、フィンランドやデンマークなどの北欧諸国がランクイン。2021年に続く傾向である。
北欧諸国の特徴は、充実した公的福祉制度と言えるだろう。たとえば、2021年に続いて2年連続で1位に輝いたフィンランドでは、就学前から大学院まで、あらゆる教育を無償で受けられる。教育だけではなく、介護や障がい者の就労支援にも積極的だ。また、2017年の「同性婚の合法化」や2019年の「世界最年少の女性首相誕生」なども話題となった。
SDGsのうち、下記の3つの目標については、世界トップクラスの達成度である。
・ゴール3「すべての人に健康と福祉を」
・ゴール4「質の高い教育をみんなに」
・ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」
フィンランド以外の上位国においても、「公的福祉の充実」「ジェンダー平等」「環境問題」は極めて重要なキーワードとして扱われている。
とくに北欧諸国(デンマーク・スウェーデン・ノルウェー・フィンランド・アイスランド)は、2015年のSDGs策定後、いち早く「2030世代プログラム」を立ち上げている。2017年からスタートしたこのプロジェクトでは、ただ単純に「目標を確認する」だけではなく、目標達成のために重要な役割を担うであろう子どもや若者世代に強く訴えかけている。
国がリーダーとなり、世代を問わず「当事者意識」を持たせることに成功している点が、上位国ならではの特徴と言えるだろう。
ELEMINIST Recommends