Photo by Zbynek Burival
世界中が積極的に導入を進めている、再生可能エネルギー。再生可能エネルギーと一口にいっても、太陽光発電、水力発電などいくつか種類がある。本記事では再生可能エネルギーの種類を一覧表で紹介しながら、それぞれの発電方法やメリットも解説していく。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
Photo by American Public Power Association on Unsplash
再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱、そのほかの自然界に存在する熱、バイオマス(動植物に由来する有機物)などによって生み出されるエネルギーのこと。
石油や石炭、天然ガスのような限りのある資源とは違い、枯渇しないこと、どこにでも存在すること、CO2を排出しないことが特徴だ。
2022年度のデータによると、日本の発電電力量に占める再生エネルギー発電の割合は24.6%(※1)。
再生可能エネルギーは、環境への負荷が少ないエネルギーとして世界中で積極的に導入されており、2022年の「世界の再生可能エネルギー発電割合 国際比較統計・ランキング」で1位のデンマークは88.7%を記録している(※2)。
日本の再生可能エネルギー普及率はまだまだ高いとはいえないが、2014年から2022年にかけて、約12%から24%以上までに増加(※3)。今後さらなる普及率の増加が求められている。
再生可能エネルギーと一口にいっても、いくつもの発電方法がある。具体的な種類は、以下、一覧の通りだ(※4)。
エネルギー名 | 特徴 | 割合 (※5) |
---|---|---|
太陽光発電 | シリコン半導体などに太陽の光を当てて発電する | 9.9% |
風力発電 | 風のエネルギーを電気エネルギーに変えて発電する | 0.9% |
バイオマス | 生物資源を「直接燃焼」または「ガス化」するなどして発電する | 4.6% |
水力発電 | 水を落下させる勢いで水車を回し、発電する | 7.1% |
地熱発電 | 地中深くから取り出した蒸気でタービンを回し発電する | 0.2% |
太陽熱利用 | 太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集め、給湯や冷暖房などに活用する | - |
雪氷熱利用 | 雪や冷たい外気を使って凍らせた氷を保管し、冷熱が必要となる時季に利用する | - |
温度差熱利用 | 地下水、河川水、下水などの水源を熱源としたエネルギー。夏場は水温の方が温度が低く、冬場は水温の方が温度が高い。この熱をヒートポンプを用いて利用したもの | - |
地中熱利用 | 外気温度と地中温度の温度差を利用して効率的な冷暖房等を行う | - |
ここからは、それぞれの発電方法を詳しく解説していく。
Photo by Sungrow EMEA on Unsplash
太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池により直接電気に変換する発電方法である。
日本における導入量は近年着実に伸びており、世界第3位の発電設備容量を誇っている(※6)。
Photo by Mike Setchell on Unsplash
風力発電とは、風のエネルギーを電気エネルギーに変えて発電する方法のこと。陸上と洋上で発電が可能なエネルギー源だ。
欧米諸国に比べると導入が遅れているものの、2000年以降導入件数は急激に増え、2023年12月時点で2,626基を導入している(※7)。
バイオマス発電では、バイオマス(動植物などから生まれた生物資源の総称)を「直接燃焼」または「ガス化」するなどして発電している。燃料には、さまざまな生物資源が有効活用されており、地域環境の改善や自然循環環境機能の維持増進に寄与するとして注目されている。
たとえば、家畜排泄物や生ごみ、稲ワラなど、捨てていたものを資源として活用することも可能。また、光合成によりCO2を吸収して成長するバイオマス資源を燃料とした発電は「京都議定書」における取り扱い上、CO2を排出しないものとされている(※8)。
Photo by Joshua Sukoff on Unsplash
水を落下させて、その位置エネルギーを利用して発電するのが水力発電である。具体的には、高い所に貯めた水を低い所に落とし、その力で発電機がつながった水車を回す。水車が回ることで発電機も回転し、電気を生み出すのだ(※9)。
水資源に恵まれた日本では、国内でまかなうことのできる貴重なエネルギー源となっており、電源構成において再生可能エネルギーのなかでは、太陽光発電に次いで高い割合を占めている。
地熱発電とは、地球の内部から発生する熱を利用した発電方法のこと。地中深くから取り出した蒸気でタービンを直接回して発電する。
太陽熱利用とは、太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集め、熱媒体を暖め給湯や冷暖房などに活用するシステムのこと。
簡単なシステムであるため、特別な知識や操作が必要なく、手軽に導入できる点がメリットである(※4)。
雪や冷たい外気を使って凍らせた氷を保管し、冷熱が必要となる時季に利用することを雪氷熱利用という。
雪が降る地域や寒い地域など、利用地域は限定されるが、資源は豊富にあることから注目されている(※4)。
地中の温度は、地下10~15mの深さになると地表の気温変化の影響を受けにくく、おおむね一定に保たれる。この熱エネルギーを「地中熱」と呼ぶ。
夏場は外気温度よりも地中温度が低く、冬場は外気温度よりも地中温度が高い。この温度差を利用して、効率的な冷暖房等を行うことを地中熱利用という(※4)。
世界中が積極的に導入を進めている、再生可能エネルギー。再生可能エネルギーが社会にもたらすメリットには、どのようなものがあるのだろうか。
再生可能エネルギーが社会にもたらすメリットのひとつが、エネルギー源が枯渇しないことである。現在、日本をはじめ多くの国が依存している火力発電では、石油や石炭、天然ガスといった有限の資源を利用している。
一方、再生可能エネルギーでは、太陽光や風力、水力、地熱、太陽熱といった自然界に存在するものを利用するため、エネルギー源が枯渇しないのだ。
Photo by Bermix Studio on Unsplash
世界が積極的に再生可能エネルギーを導入している背景のひとつに、地球温暖化をはじめとする深刻な環境問題がある。
石油や石炭などの化石燃料は、燃焼時に温室効果ガスであるCO2を多く発生するが、再生可能エネルギーは利用時にCO2を排出しない。そのため、化石燃料による発電を再生可能エネルギーに代替できれば、温室効果ガスを削減することができるのだ(※10)。
このように地球温暖化対策の重要な施策として、世界中が導入を進めている。
現在、日本の発電電力量の多くは火力発電が占めている。しかし、日本はエネルギー源となる石炭や石油が乏しいため、多くを海外からの輸入に頼っており、エネルギー自給率が低い状態にある。
ロシアによるウクライナ侵略の影響で、国際エネルギー市場の混乱が起きたことからもわかるように、国際情勢の構造的な変化は、日本を始めとするエネルギーを輸入に頼っている国にとってエネルギー安全保障を大きく揺るがすものであり、対策が必要だ。
その点、再生可能エネルギーは自国でエネルギー源を賄えるため、エネルギー自給率の向上につながるというメリットがある。
地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化から、世界中で導入が進んでいる再生可能エネルギー。日本のように発電をCO2を多く排出する火力発電に依存している国も少なくない。しかし、持続可能な未来のためには、再生可能エネルギーの導入加速は急務である。国としてだけでなく、太陽光発電のように家庭で取り入れられるものもあるため、自分にできることから行動してみてはいかがだろうか。
※1 国内の2022年度の自然エネルギー電力の割合と導入状況(速報)|ISEP 環境エネルギー政策研究所
※2 世界の再生可能エネルギー発電割合 国別ランキング・推移|GLOBAL NOTE
※3 2021年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)|ISEP 環境エネルギー政策研究所
※4 なっとく!再生可能エネルギー|資源エネルギー庁
※5 2022年の自然エネルギー電力の割合(暦年・速報)|ISEP 環境エネルギー政策研究所
※6 7.再エネ|資源エネルギー庁
※7 2023年12月末時点日本の風力発電の累積導入量:5,213.4MW、2,626基|JWPA一般社団法人 日本風力発電協会
※8 バイオマス発電|資源エネルギー庁
※9 水力発電の特徴と仕組み|九州電力
※10 再生可能エネルギー導入加速化の必要性など(2ページ目)|環境省
ELEMINIST Recommends