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カナリア諸島最小の島であるエル・イエロ島で、28日間連続で風力および水力発電のみを使用するという記録を達成した。この島はユネスコの生物圏保存地域および世界ジオパークに指定されており、政府と1万人の住民とが協力して島のサステナビリティに取り組んでいる。
岡島真琴|Makoto Okajima
編集者・ライター・キュレーター
ドイツ在住。自分にも環境にも優しい暮らしを実践する友人たちの影響で、サステナブルとは何かを考え始める。編集者・ライター・キュレーターとして活動しつつ、リトルプレスSEA SONS PRE…
Photo by Karsten Würth on Unsplash
アフリカ北西部に位置し、スペインに属するカナリア諸島。エル・イエロ島は、カナリア諸島のなかでもっとも面積の小さな島で、およそ1万人が暮らしている。このエル・イエロ島では先日、28日間連続で風力と水力のみの電力でまかなった。
島の主要な発電源となっているのは、ゴローナ・デル・ビエント発電所。風力発電と水力発電を組み合わせ、風力発電で得たエネルギーの一部を利用して上流の貯水池に水を汲み上げ、その水を利用して水力発電タービンを動かすことで、再生可能エネルギーによる発電を最大限に活用しているのだ。
エル・イエロ島では1948年に干ばつが発生。しかし島が小さく遠すぎたことから、水を供給する船が島を見過ごすという事態が発生し、人々は苦しい思いをしたという。それ以来、島では外部の助けに頼るのではなく、自分たちで電力などをまかなう大切さを実感し、時給自足を目指している。
ゴローナ・デル・ビエント発電所ができる以前の2014年には、自然エネルギーは島の電力需要のわずか2.2%しか供給していなかったが、発電所が2015年7月からフル稼働を開始すると、2015年8月9日には島全体の電力を再生可能エネルギーだけで2時間まかなうことに成功。
さらに2018年1月25日から18日間連続で、島の電力需要のすべてを供給することに成功した。今回は、その記録を大幅に更新し、28日間の再生可能エネルギーによる自給自足を達成したのだ。
電力の自給自足が可能になったことで、住民の生活レベル、および自然地域の保全の質が大幅に改善されたという。
エル・イエロ島には、貴重な生態系、および絶滅危惧種の動物が生息していることから、2000年に60%の土地がユネスコの生物圏保存地域に指定され、また2014年には全域が世界ジオパークに指定されている。
豊かな自然と生物多様性を保護していくために、再生可能エネルギーをはじめ、地元政府や住民たちが協力して島のサステナビリティに取り組んでいるのだ。また再生可能エネルギーの使用によって得られた利益は、より効率的な配水システム、太陽光発電パネル、教育プログラムの開発に還元されている。
エル・イエロ島における再生可能エネルギーは、孤立した地域に住む人々の生活を豊かにし、またそれらの地域に残る自然や生物多様性を保護するための実行可能な解決策であることを世界に向けて証明しているだろう。
※参考
Powered by wind and water: The Canary Island proving it is possible to run on renewables|euronews.green
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