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化石燃料や鉱物、水や木材などの地球上に存在する資源は無限ではなく、人間の使い方しだいでは近い将来、枯渇してしまう。そして、結果的に地球環境の悪化や、経済成長の停滞を引き起こす。資源の枯渇の現状と問題、いまからできる対策についてみていこう。
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資源の枯渇とは、人間が地球上の資源を過剰に消費することで資源の量が減少していく状態。
地球上の資源には、化石燃料やミネラル、金属・鉱物など地球上に限られた量しかなく、自然のプロセスによる再生にも時間がかかる再生不能資源(=枯渇性資源)と、水や木材のような自然や人間の活動により再生・回復が可能な再生資源がある。
いずれの資源も、地球や自然が補充するよりもはやく、人間が過剰に消費することによってその量が減少してしまうこと、それが資源の枯渇であり問題となっている。
資源が枯渇すると、人々の生活や経済活動はすべて止まってしまう。私たちの豊かな生活は、電気やガス、ガソリンなどのエネルギーによって成り立っている。これらのエネルギーは石油や天然ガス、石炭などの天然資源によって生み出されている。
火力発電所では化石燃料を燃やして電気をおこしている。プラスチックの製造にも化石燃料が使われる。飲み水が枯渇すれば私たちは生きていくことができないし、工業用水や農業用水が不足すれば生産量が減少し、必要なものの流通が滞る。
また、枯渇した資源を追い求めて森林伐採や鉱物発掘を行えば、生態系への悪影響も出てくる。結果的に、持続可能な社会の発展が難しくなり、環境悪化や社会不安を引き起こしてしまう。
枯渇している資源には、どのようなものがあるのだろうか。枯渇している資源の種類や原因について詳しく解説する。
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地球には多くの水が存在するが、その大部分が海水であり、淡水の割合はわずか2.5%。そのほとんどが北極や南極の氷河で、残りの大半も地下水だ。現実的に人間が利用しやすい川や湖の水は、全体の0.008%ととても少ない。
しかしながら、一方で近代になってからの人口増加や大規模農業、近代化による工業用水のニーズなどにより、その必要量は増している。世界人口は2021年に80億人に到達し、予測では2050年には約97億人に増加する(※1)。国連によると、2050年までには世界の4人に1人が水にアクセスできなくなると言われている(※2)。
さらに平均気温の上昇による小雨と渇水、気候変動による洪水や干ばつといった生活基盤の破壊、水源の汚染、地震といった水そのものの枯渇をもたらす災害も原因となっている。
そして、過度な都市開発を目的とする森林伐採が進むことで、水を蓄える機能を持つ森林が減少し、水資源の枯渇の原因となる。
人口増加と経済成長により、世界のエネルギー資源の枯渇も問題だ。
近代以降の人類の発展は、石炭や石油などの化石燃料や、ウランなどの核燃料からつくられるエネルギーに大きく依存してきた。採掘技術の進化や新たな埋蔵量の発見などにより、化石燃料の推定枯渇時期自体が後ろ倒しになっているという事実はあるが、限りある資源であることには変わらない。
化石燃料は、古代の植物や動物の化石が数百万年以上の時間をかけて高温・高圧下で分解されることによってできる。長い時間をかけてつくられた化石エネルギーには限りがある。今後、現状のペースで消費し続けると、石炭は約130年、天然ガス・石油は約50年で枯渇するといわれている(※3)。太陽光や風力など化石燃料に頼らないエネルギーの利用も増えているが、いまだ多くは化石エネルギーに頼っている現状だ。
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資源の枯渇に直面している鉱物資源とは、以下が挙げられる。
ベースメタル:埋蔵量・産出量ともに多く、精錬が比較的簡単な鉄、アルミ、銅、亜鉛、錫など
金属レアメタル:産出量が少なく、抽出がむずかしい希少なチタンやリチウム、コバルト、ニッケルなど
地下に埋まっている鉱物資源も、他の資源と同様に、使いすぎてしまうと枯渇してしまう。いまと同じスピードで発掘し続けると、鉄鉱石は70年、銅が35年などと多くの鉱物は100年以内に採掘できなくなると言われている。(※4)
上でも述べたとおり、資源の枯渇の原因は、人間の経済活動や人口増加だ。生活に必要な製品やエネルギーをつくるためには資源が必要であり、人口が増えれば増えるほど、必要量も増えていく。
経済発展には産業の成長が不可欠であり、多くの資源を消費することで国や地域、人々が豊かになる。これまでのような経済活動と資源の消費を続けた場合、資源エネルギー庁の「エネルギー白書2022」によると、石油の採取は約54年、石炭は139年で枯渇すると言われている(※5)。資源の枯渇を食い止めるためには、持続可能な成長や効率的な資源利用が求められる。
限られた資源の枯渇を防ぐためには、効率的な使い方をすること、代替可能な方法で消費量を減らすことが求められる。結果的に環境への負担を減らし、未来を見据えた持続可能な社会を築くことができる。
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再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの持続可能なエネルギー資源のこと。環境にやさしく、二酸化炭素を排出しない。
資源エネルギー庁によると、2019年度に占める再生可能エネルギーの割合は、18%だった。そして、2030年度までには、22~24%程度を再生可能エネルギーでまかなうことを目指している(※6)。
化学燃料の依存から再生可能エネルギーへの切り替えは、資源の枯渇を防ぎ、地球環境を保護してくれる。
SDGsでは2030年までに、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させると目標設定している。目標を達成するためには、毎年約3%の改善が必要だ。
エネルギー効率とは、国ならGDP、企業なら生産・製造数、売上高など、生産量を示す値(=生産活動量)あたりのエネルギー消費量のこと。
日本ではエネルギー効率向上を推進する製品やサービスに対して、補助金や税制優遇策が用意され、エネルギー効率の改善に貢献している。個人や企業では、エネルギー効率の高い製品の開発や購入、建物内の省エネ対策を進めるなどが具体的な方法だ。
資源を枯渇させないために、私たち一人ひとりの生活にもできることがある。生活の中でできる工夫をご紹介する。
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電気、ガス、水道を使う時は、節電・節水を心がけて生活するのが有効だ。
使用しない電化製品のコンセントを抜く、エアコンを使う時には、外気が入らないよう窓の開閉を少なくし、扇風機を併用して空気を循環させる、お風呂の水を洗濯などに再利用する、洗面所では水を流したままにしないようこまめに止めるといった些細なことが、資源の保護につながる。
身の回りのあらゆる製品は、限りある資源でつくられたもの。それをすぐにごみとして捨ててしまうことは、資源の無駄遣いになってしまう。また、ごみを焼却するにも化石燃料を使用している。
レジ袋やお店でのきれいな梱包や紙袋は、家に帰るとすぐにごみになってしまうことも。マイバッグを利用して、過剰な梱包を断ることもごみを減らすひとつの方法だ。家庭でのごみの量を減らすことが、焼却による化石燃料の消費削減にもつながる。
エネルギー効率の高い(省エネ)家電を使用することも電気やガスの使用量削減につながる。紙製のストローをはじめとする、プラスチックに代わる持続可能な素材を使用したアイテムを利用するのも効果的だ。
地球環境に配慮された製品にはエコラベルや認証が記載されている場合がある。二酸化炭素排出量を厳しく規定した「クライメイト・ニュートラル認証ラベル」などもある。製品に貼られているラベルを意識して購入してみるのもいい。
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石油由来のプラスチックは、製造時もごみとして処分するときも資源を消費する。リサイクルすることで資源の再利用となり、新たに製品を生み出すための原材料として活用できる。また、着なくなった洋服や日用品は必要としている人に譲ったり、売ることでごみにならず、有効活用できる。
公共交通機関や自転車、徒歩で移動することで、自動車でのガソリンの使用を削減することができる。渋滞軽減にもなり、自動車による二酸化炭素の排出量も減らすことができる。自転車や徒歩は健康促進にもつながり、一石二鳥だ。
再生可能エネルギーを導入している電力会社に変更することもひとつの方法だ。
太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスなどの持続可能なエネルギーは、石油や石炭などの化石燃料を用いる火力発電に比べて、二酸化炭素排出量が少ない。
これまで私たち人間が無計画に資源を使用してきたことで、資源の枯渇のタイムリミットが迫っている。このままのペースで消費し続けるといつ枯渇してしまうのか、私たちはあらゆる研究データを基に知ることができる。
知らずに使い続けてきてしまった過去は取り戻せないからこそ、これからどうしたらいいのか、何ができるのか、考えていく必要がある。再生エネルギーの活用やエネルギー効率を向上させること、あらゆる限りある資源の使い方を見直すことで、現時点で残された資源を守ることができる。
私たち自身が消費行動によって国や企業に働きかけることもひとつの方法であるし、生活の中でできることを見つけ、心がけることも資源の保護につながる有効な手段だ。
※1 817. 2023年・世界人口デー|JIRCAS国際農林水産業研究センター
※2 国連広報センター|目標6
※3 天然ガスのしくみ|東京ガス株式会社
※4 環境省|4. 資源循環
※5 資源エネルギー庁|令和3年度 エネルギーに関する年次報告
※6 2030年に向けた今後の再エネ政策P.7|資源エネルギー庁新エネルギー課
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