アース・オーバーシュート・デーとは? 資源枯渇のスピードが加速する原因と解決策

アースオーバーシュートデー

アース・オーバーシュート・デーとは、国際NPOのグローバル・フットプリント・ネットワークが定めた「生物資源をどのくらいの速さで消費しているかを示す日」。アース・オーバーシュート・デーがいつなのか、またどのように決まるのか、詳しく紹介しよう。さらに年々早まる理由と解決策を解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2023.06.06
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

目次

アース・オーバーシュート・デーとは

宇宙から見た地球

Photo by Elena Mozhvilo on Unsplash

「アース・オーバーシュート・デー」とは、人間が消費する生物資源の量が、地球が1年に再生できる生物資源の量を越える日のこと。オーバーシュートとは、英語で「度を越す」や「行き過ぎる」という意味。国際NPOのグローバル・フットプリント・ネットワーク(以下GFN)が提唱している。

例えば、2023年のアース・オーバーシュート・デーは8月2日だ。つまり、1年分の資源を8月2日までに全部使い切っているということ。残りの約5ヶ月は、将来のために残しておくべき資源に手をつけるしかない。私たちは知らず知らずのうちに、未来の貯蓄分を切り崩しながら生活しているのだ。

アース・オーバーシュート・デーはいつ?

アース・オーバーシュート・デーは、「その年に地球が再生できる生物資源を、人類がすべて使い果たしてしまった日」を指し、その日付は毎年変わる。具体的には、次の計算式で算出される。 

アース・オーバーシュート・デー=(地球が再生できる生物資源)÷(人類のエコロジカルフットプリント)×365

※エコロジカルフットプリントとは、人類が地球環境に与えている負荷を測る指標のこと。数値が高いほど資源への負担が大きく、低ければ資源への負担が小さい。

地球資源への依存度を測る指標 日本と海外の「エコロジカルフットプリント」の状況とは 

関連記事

過去11年のアース・オーバーシュート・デーの日付

GFNのデータによると、過去11年間のアース・オーバーシュート・デーは以下のとおりだ。

2012年~2023年のアース・オーバーシュート・デー

2023年8月2日
2022年7月28日
2021年7月29日
2020年8月22日
2019年7月26日
2018年7月25日
2017年7月30日
2016年8月3日
2015年8月3日
2014年8月2日
2013年8月1日

国ごとのアース・オーバーシュート・デー

またGFNでは、世界各国ごとのアース・オーバーシュート・デーを算出している。これは、世界中の人々がその国の人のように生活・消費した場合、地球に訪れるアース・オーバーシュート・デーがいつなのか表している。

一人あたりのエコロジカルフットプリントが多い国は、アース・オーバーシュート・デーが早まるというわけだ。この算出方法で、2023年の世界各国のアース・オーバーシュート・デーを見てみると、以下のようになる。

2023年の世界各国のアース・オーバーシュート・デー

アメリカ・カナダ3月13日
韓国4月2日
スウェーデン4月3日
ドイツ・イスラエル5月4日
日本5月6日
ギリシャ5月21日
中国6月2日
アルゼンチン6月24日
ブラジル8月12日
メキシコ8月31日
エジプト11月11日

先進国ほどアース・オーバーシュート・デーの日付が早い。そのような消費スタイルが世界中に広がった場合、地球の資源がすぐに枯渇していくことがわかる。

2023年 世界各国のアース・オーバーシュート・デー

Photo by Global Footprint Network

2023年 日本のアース・オーバーシュート・デーは5月6日

日本のアース・オーバーシュート・デーは、2020年は5月12日、2021年~2023年は5月6日だった。私たちが貴重な天然資源を消費するスピードは、世界平均より3ヶ月近くも早いということだ。

公共交通機関を活用せずに、ちょっとの距離でも自家用車で移動したり、冷暖房を使いすぎたりと、いまの日本のライフスタイルは、全くもってサステナブルではないということだ。

快適な生活の代償に苦しむのは、紛れもない私たち自身。それに未来を生きる子どもたちだ。どうしてアース・オーバーシュート・デーは、こんなにも早まってしまっているのだろうか。

アース・オーバーシュート・デーが毎年早まる原因

過去のアース・オーバーシュート・デー一覧

Photo by Global Footprint Network

過去10年のアース・オーバーシュート・デーを見ると、その日付が年々前倒しになってきていることがわかるだろう。さらに遡ると、1970年時点では12月30日だった。世界中で近代化が進み、消費が増えるのにともなって、たった50年間で資源を使い果たすスピードが5ヶ月も早くなっている。

日本は、火力発電によって多量のCO2を排出している。地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量が増えると、大気中を漂って地球を温めたり、海に吸収されたりする。近年は、海に取り込まれる分が増えているので、海の酸化が進み、海洋生物への影響が懸念されている。

日本政府は、地球環境保護のため、2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す方針だ。私たちも、自分の未来を守るために、個人レベルでできることは少しずつ始めたほうがよさそうだ。

アース・オーバーシュート・デーを遅らせるための対策

テーブルのサラダと飲み物

Photo by Brooke Lark on Unsplash

GFNの研究者によると、エコロジカルフットプリントをいまの半分に減らせれば、アース・オーバーシュート・デーを約3カ月遅らせることができるそうだ。そのためには、例えば次のような行動を起こしてみてはどうだろう。

・肉よりベジタリアンメニューを増やす
・マイバックやマイカトラリーを使う
・蜜蝋ラップを普段使いに取り入れる
・プラスチックフリーを意識する
・近距離の移動なら自動車ではなく自転車を使う

ミツロウラップの使い方とお手入れ方法 “使い捨ての罪悪感”にさようなら

関連記事

プラスチックフリーとは 今日からできる20の小さな取り組み

関連記事

世界の消費動向を変えられるのは、他の何でもない私たち自身だ。日々の買い物の一つひとつが、自分たちの未来へとつながっている。地球は一つしかないから、限りある資源を有効活用したいものだ。

※参考
Overshoot Days

※掲載している情報は、2023年6月6日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends