アース・オーバーシュート・デーとは、国際NPOのグローバル・フットプリント・ネットワークが定めた「生物資源をどのくらいの速さで消費しているかを示す日」。アース・オーバーシュート・デーがいつなのか、またどのように決まるのか、詳しく紹介しよう。さらに年々早まる理由と解決策を解説する。
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「アース・オーバーシュート・デー」とは、人間が消費する生物資源の量が、地球が1年に再生できる生物資源の量を越える日のこと。オーバーシュートとは、英語で「度を越す」や「行き過ぎる」という意味。国際NPOのグローバル・フットプリント・ネットワーク(以下GFN)が提唱している。
例えば、2023年のアース・オーバーシュート・デーは8月2日だ。つまり、1年分の資源を8月2日までに全部使い切っているということ。残りの約5ヶ月は、将来のために残しておくべき資源に手をつけるしかない。私たちは知らず知らずのうちに、未来の貯蓄分を切り崩しながら生活しているのだ。
アース・オーバーシュート・デーは、「その年に地球が再生できる生物資源を、人類がすべて使い果たしてしまった日」を指し、その日付は毎年変わる。具体的には、次の計算式で算出される。
アース・オーバーシュート・デー=(地球が再生できる生物資源)÷(人類のエコロジカルフットプリント)×365
※エコロジカルフットプリントとは、人類が地球環境に与えている負荷を測る指標のこと。数値が高いほど資源への負担が大きく、低ければ資源への負担が小さい。
GFNのデータによると、過去11年間のアース・オーバーシュート・デーは以下のとおりだ。
2023年 | 8月2日 |
---|---|
2022年 | 7月28日 |
2021年 | 7月29日 |
2020年 | 8月22日 |
2019年 | 7月26日 |
2018年 | 7月25日 |
2017年 | 7月30日 |
2016年 | 8月3日 |
2015年 | 8月3日 |
2014年 | 8月2日 |
2013年 | 8月1日 |
またGFNでは、世界各国ごとのアース・オーバーシュート・デーを算出している。これは、世界中の人々がその国の人のように生活・消費した場合、地球に訪れるアース・オーバーシュート・デーがいつなのか表している。
一人あたりのエコロジカルフットプリントが多い国は、アース・オーバーシュート・デーが早まるというわけだ。この算出方法で、2023年の世界各国のアース・オーバーシュート・デーを見てみると、以下のようになる。
アメリカ・カナダ | 3月13日 |
韓国 | 4月2日 |
スウェーデン | 4月3日 |
ドイツ・イスラエル | 5月4日 |
日本 | 5月6日 |
ギリシャ | 5月21日 |
中国 | 6月2日 |
アルゼンチン | 6月24日 |
ブラジル | 8月12日 |
メキシコ | 8月31日 |
エジプト | 11月11日 |
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先進国ほどアース・オーバーシュート・デーの日付が早い。そのような消費スタイルが世界中に広がった場合、地球の資源がすぐに枯渇していくことがわかる。
Photo by Global Footprint Network
日本のアース・オーバーシュート・デーは、2020年は5月12日、2021年~2023年は5月6日だった。私たちが貴重な天然資源を消費するスピードは、世界平均より3ヶ月近くも早いということだ。
公共交通機関を活用せずに、ちょっとの距離でも自家用車で移動したり、冷暖房を使いすぎたりと、いまの日本のライフスタイルは、全くもってサステナブルではないということだ。
快適な生活の代償に苦しむのは、紛れもない私たち自身。それに未来を生きる子どもたちだ。どうしてアース・オーバーシュート・デーは、こんなにも早まってしまっているのだろうか。
Photo by Global Footprint Network
過去10年のアース・オーバーシュート・デーを見ると、その日付が年々前倒しになってきていることがわかるだろう。さらに遡ると、1970年時点では12月30日だった。世界中で近代化が進み、消費が増えるのにともなって、たった50年間で資源を使い果たすスピードが5ヶ月も早くなっている。
日本は、火力発電によって多量のCO2を排出している。地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出量が増えると、大気中を漂って地球を温めたり、海に吸収されたりする。近年は、海に取り込まれる分が増えているので、海の酸化が進み、海洋生物への影響が懸念されている。
日本政府は、地球環境保護のため、2050年までにCO2排出実質ゼロを目指す方針だ。私たちも、自分の未来を守るために、個人レベルでできることは少しずつ始めたほうがよさそうだ。
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GFNの研究者によると、エコロジカルフットプリントをいまの半分に減らせれば、アース・オーバーシュート・デーを約3カ月遅らせることができるそうだ。そのためには、例えば次のような行動を起こしてみてはどうだろう。
・肉よりベジタリアンメニューを増やす
・マイバックやマイカトラリーを使う
・蜜蝋ラップを普段使いに取り入れる
・プラスチックフリーを意識する
・近距離の移動なら自動車ではなく自転車を使う
世界の消費動向を変えられるのは、他の何でもない私たち自身だ。日々の買い物の一つひとつが、自分たちの未来へとつながっている。地球は一つしかないから、限りある資源を有効活用したいものだ。
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