地球資源への依存度を測る指標 日本と海外の「エコロジカルフットプリント」の状況とは 

砂浜についた足跡(フットプリント )

エコロジカルフットプリントは、人間の社会生活が地球環境に及ぼす影響を示す数値だ。過剰な資源利用や温暖化物質の排出は悪影響となり、地球環境に負荷をかけることになる。エコロジカルフットプリントを減らす試みが世界中で行われている。

2020.11.30

エコロジカルフットプリントとは?

エコロジカルフットプリントとは、人間が社会生活で消費する資源量を分析し、評価する方法である。人口×1人あたりの消費×生産・廃棄効率=エコロジカルフットプリント(Ecological footprint、EF)となる。人間が社会生活を維持するのに必要、かつ生産可能な土地面積、または陸水面積として表される。

化石燃料から排出される二酸化炭素吸収に必要な森林面積、道路や建築物の建設で使われる土地面積、食料生産に必要な土地面積、紙や木材生産に必要な土地面積などがエコロジカルフットプリントの対象となる。

エコロジカルフットプリントの数値が高いほど資源への負担が高く、数値が低ければ資源への負担が低いという考え方だ。資源を提供してくれる自然環境への影響を考えるにあたって大きな意味を持つ指標だと言える。

世界と日本のエコロジカルフットプリント

レトロな地球儀

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人間は地球上でどの程度の資源を利用しているのだろうか。世界と日本に分け、エコロジカルフットプリントを見てみよう。

海外のエコロジカルフットプリント

海外の主要な国々とエコロジカルフットプリントについて見てみると、EUが約8gha(ghaはエコロジカルフットプリントの単位)である。環境に対して高負荷であることがわかる。中東・中央アジアでも8~10ghaになっており、やはり高負荷だ。

海外では先進国と開発途上国の間でエコロジカルフットプリントの数値に差異が見られる。先進国ほどエコロジカルフットプリントが高く、開発途上国は低い傾向だ。経済的に恵まれない国で構成されるアフリカでは約4ghaであり、先進国で構成されるEUの半分程度である。

エコロジカルフットプリントが高い地域では、オーバーシュートが問題視されている。オーバーシュートとは、地球の環境が1年で生産できる資源の量(バイオキャパシティ)を超えた利用量になっている状態を示す。つまり先進国は、地球の環境に大きな負荷を与えていることになる。

日本のエコロジカルフットプリント

日本のエコロジカルフットプリントは、2010年に3.9ghaが算出されている。同年の世界平均のバイオキャパシティが1.7ghaという結果も出ていることにも注目したい。

バイオキャパシティ1.0ghaは地球1個分という概念だ。日本と同じ生活をするとなると、地球が1.7個分必要になる。世界の先進国同様、オーバーシュートは明らかだ。

もともと日本ではエコロジカルフットプリントが認知され始めた1990年代から、エコロジカルフットプリントとオーバーシュートの関係に注目している。国や自治体、民間、学術レベルでエコロジカルフットプリントのデータを蓄積し、政策に反映する方針をとっている。

環境負荷を減らすために必要なこと

ふたつの新芽

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オーバーシュートを起こし、地球の環境に負荷を与え続けていては、いつか資源が枯渇する。限られた資源を持続して利用していくためにはエコロジカルフットプリントを低くすること、オーバーシュートを解消することが必須となる。オーバーシュートに関しては以下に詳しい。

エコロジカルフットプリントからわかるオーバーシュートを解消し、持続可能な社会としていくためには、ライフスタイルに関わる経済活動について意識しなければならない。すでに国や自治体ではエコロジカルフットプリントを意識した活動を始めている。

例としては「生物多様性国家戦略2012-2020」が挙げられる。今後の自然との共生に重点を置いたロードマップだ。自然との共生は環境への負荷を減らす結果につながる。花王、富士通でも2012年を境に環境問題への意識をよりいっそう強めている。

世界的な指針としてはWWF(世界自然保護基金)の「地球1個分で暮らすための3本の矢(Identify Three Directions for Sustainable Living)が挙げられる。個人や民間でも意識できる内容であることが特徴だ。

3本の矢の1本は認証製品利用の推奨である。環境負荷の少ないエコラベルの認証商品を購入することは個人、家庭でも可能だろう。例えば魚ならMSCのラベル、林産物ならFSCのラベルがついた商品をできるだけ選ぶ。いずれも世界で共通するエコラベルだ。

2本目は商品生産時に投入する資源の量や廃棄物の量を減らすことが推奨されている。真っ先に食料廃棄を思い浮かべる人も多いだろう。とくに日本では年間500万~800万トンにものぼる大量の食品ロスがある。この減少は国や自治体だけではなく、個人でも改善に取り組みたい方法である。

3本目では資源利用の効率化を目指した技術革新や支援が取り上げられている。例としては再生可能エネルギーの新たな導入だ。資源を消費する石油や火力による発電を減らし、太陽光発電や風力発電の導入が考えられる。資源の消費を減少させるとともに二酸化炭素の排出も減らせるため、環境改善にも効果的な方法だと言える。

エコロジカルフットプリントが資源を守る

エコロジカルフットプリントは地球の資源が無限ではないことを意識させてくれる。国や自治体、企業で啓蒙と改善に取り組む時代に入っている。そして個人でもできることがある。限りある資源を適切に利用し、次代に継続していくためには、エコロジカルフットプリントの活用が期待されるところだ。 

※ 参考資料
地球1個分の暮らしの指標|WWF
https://www.wwf.or.jp/activities/lib/lpr/20180825_lpr_2015jpn.pdf

※掲載している情報は、2020年11月30日時点のものです。

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