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グリーンエネルギーは環境負荷の少ないエネルギーを指す言葉だが、最近耳にするクリーンエネルギーや新エネルギー、再生可能エネルギーとはどう異なるのか。種類や定義、日本におけるグリーンエネルギー導入促進に向けた国や企業の動きについてみていこう。
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グリーンエネルギーとは、太陽光や風力、水力、地熱など、地球環境に負荷を与えることなく生成できる「再生可能エネルギー」と同義で使われる言葉だ。グリーンエネルギーは自然界に常に存在する力を活用するため、化石燃料のように枯渇する恐れがないこと、温室効果ガスの排出が抑えられ、地球温暖化や気候変動への影響が少ないことなどから、持続可能なエネルギーとして期待されている。
グリーンエネルギーは、資源エネルギー庁と環境省が運営する「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」において、その発電方法について定義付けがなされている。(※1)
同制度によると、グリーン電力(エネルギー)の発電方式は、以下の条件をすべて満たす再生可能エネルギーによるものと定められている。
1.石油・石炭・天然ガス等の化石燃料による発電でないこと。
2.原子力による発電でないこと。
3.発電過程における温室効果ガス及び硫黄酸化物・窒素酸化物等有害ガスの排出がゼロか、または著しく少ないこと。
なお、「グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度」とは民間で取引されているグリーン電力・熱証書について、証書のCO2排出削減価値を国が認証するというもの。資源エネルギー庁と環境省が設置する認証委員会がCO2排出削減量の認証を行い、認証を受けたグリーンエネルギー証書の購入者は、その証書のCO2排出削減価値を地球温暖化対策のための報告や公表制度に活用することができる。(※2)
また、グリーンエネルギーの種類を以下に定めている。(※3)
・風力発電
・太陽光発電
・バイオマス発電(鶏糞、バガス等)
・バイオガス発電
・木質バイオマス発電
・河川に設置する新設水力発電
・既設設備等に付加して設置される水力発電
・地熱発電
・太陽熱(強制循環式給湯用ソーラーシステム(単独供給方式))
・太陽熱(強制循環式給湯用ソーラーシステム(複数供給方式))
・太陽熱(太陽熱利用セントラルシステム(給湯・暖房))
・バイオマス熱(木質バイオマス熱利用システム)
・バイオマス熱(木質バイオマス蒸気供給施設(熱電供給システム))
・雪氷エネルギー(熱交換冷水循環式雪氷エネルギー施設)
太陽光や風力、水力、地熱などが有名だが、バイオマスや雪氷なども含まれる。
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近年では、再生可能エネルギーやクリーンエネルギーなど、類似した言葉が誕生している。グリーンエネルギーは、他のエネルギーとどのように異なるのだろうか。
グリーンエネルギーと再生可能エネルギーはほぼ同義で使われる。再生可能エネルギーには、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱(地中熱、雪氷熱)、バイオマス(動植物に由来する有機物)、海洋エネルギー(波力、潮流、海洋温度差)などが該当する。(※4)先述したグリーンエネルギーの種類とも相当する。
再生可能エネルギーはグリーンエネルギーと同様、環境に対する負荷が少なく、どこにでも存在し、枯渇しない、CO2を排出・増加させない、というのが特徴だ。
クリーンエネルギーは、二酸化炭素や窒素酸化物など、大気汚染や地球温暖化の原因となる物質を排出しない、もしくは排出が少ないクリーンなエネルギー全般を指す言葉。再生可能エネルギーやグリーンエネルギーが自然由来のものである一方、自然由来のエネルギーに限らない点に違いがある。
原子力など、化石燃料由来の火力発電に比べ大気汚染物質が排出されないという点でクリーンエネルギーだとする見方もある。しかしながら、放射性物質を生み出してしまうという大きな問題がある。クリーンエネルギーは定義が曖昧で判断が難しい。
日本では「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法施行令」の第1条にて定められており、次の10種類が該当する。
1.バイオマス(動植物に由来する有機物)を原材料とする燃料製造
2.バイオマス(動植物に由来する有機物)熱利用
3.太陽熱利用
4.河川水などを熱源とする温度差熱利用
5.雪氷熱利用
6.バイオマス(動植物に由来する有機物)発電
7.地熱発電(バイナリー発電)
8.風力発電
9.水力発電(出力1,000kW以下)
10.太陽光発電
再生可能エネルギーと類似していることからわかるように、新エネルギーは、再生可能エネルギーのうち技術的に実用段階だが経済的な理由から普及が十分進んでいないエネルギーと定義されている。(※5)
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日本では、グリーンエネルギーを促進するためにさまざまな制度が施行されている。
グリーン電力証書制度は、再生可能エネルギーによって発電された電力の環境付加価値を証明する制度だ。日本品質保証機構による第三者認証が施され、証書に記載された電力量に相当するグリーン電力価値が移転される。グリーン電力証書を獲得した企業は、再生可能エネルギーの利用を広く公表し、環境対策に貢献できる。
グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度は、資源エネルギー庁と環境省が運営する制度だ。民間で取引されているグリーン電力・熱証書のCO2排出削減効果を国が認証し、地球温暖化対策推進法に基づく国内認証排出削減量として活用できるようにする。証書購入者は、環境に配慮した電力の使用を公表し、その効果を広くPRできる。
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グリーンエネルギーには、どのようなメリットがあるのだろうか。
グリーンエネルギーは、化石燃料に比べて二酸化炭素の排出量が少ない。また温室効果ガスの削減も可能であるため、地球温暖化を抑止し、持続可能なエネルギーを実現できる。
グリーンエネルギーは、自然の力が生み出すものであるため、条件が大幅に変わらなければ半永久的に利用可能だ。グリーンエネルギーが普及すると、従来の火力発電のような石油や石炭などの有限資源への依存から脱却することが可能になる。このことは、化石燃料を他国からの輸入に頼っている日本にとっては、エネルギーの自給が可能となり、エネルギーの安定的な確保と安全保障につながるというメリットがある。
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グリーンエネルギーの導入を促進するために、日本はどのように取り組んでいるのだろうか。
固定価格買取(FIT)制度は、再生可能エネルギーで発電した電気を国が一定期間、一定価格で買い取る制度だ(※6)。電力会社はこの買い取り費用の一部を賦課金として電気料金に上乗せし、再生可能エネルギーの導入を支援している。
またFIP(Feed-in Premium)制度は、再エネ発電事業者が売電した際に基準価格(FIP価格)に対してプレミアムが支払われる制度だ(※7)。FIP制度の基準価格は供給コストを基に設定され、市場価格(参照価格)との差額がプレミアムとして再エネ事業者に支払われる。固定価格買取制度(FIT)・FIP制度のような制度が、グリーンエネルギーの導入を促進している。
2016年4月1日以降、電力小売業の全面自由化が実施され、家庭や商店を含む全消費者は自由に電力会社と料金プランを選択できるようになった(※8)。さまざまなセット割引やポイントサービス、省エネ診断などが提供され、再生可能エネルギーに特化した事業者からの電気購入も選択肢に加わった。
グリーン成長戦略は、2020年に日本政府が発表した「2050年カーボンニュートラル宣言」を達成するため、温室効果ガス排出を削減する重要分野である14の分野に基づき制定された成長戦略だ(※9)。
エネルギー関連では、洋上風力、燃料アンモニア、水素、原子力などが挙げられている。それぞれの分野で具体的な工程表を策定し、実行計画を進めている。
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グリーンエネルギーの導入には、どのような企業が携わっているのだろうか。
これまで地域の電力会社のみ電気を販売できたが、電力小売業の全面自由化により消費者が自由に選択できるようになった。このことは、電力会社によるグリーンエネルギーの技術開発や実用化に向けた研究を加速させる。再生可能エネルギーでの発電を中心に行う電力会社を積極的に選びたいと考える消費者が増えるほど、その分野の普及が活発になるというメリットが期待できる。
大手石油関連企業「ENEOS」の関連会社ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社は、日本政府が設立した「洋上風力の産業競争力強化に向けた官民協議会」のメンバーとして洋上風力の普及を目指している(※10)。
洋上風力は陸上と同様に風を利用して発電するが、海上での設置により風が安定し、大型風車の設置が可能となる。また、海底に敷設された送電線を通じて発電した電力を陸上に送り、クリーンで温室効果ガスを排出しない。このように電力会社は、グリーンエネルギーの導入に寄与している。
グリーンかつ自立可能なエネルギー・システムを構築している株式会社レノバは、大塚商会とのバーチャル電力販売契約(PPA)に基づき、新規に開発した太陽光発電所の第一号を完成させた(※11)。また石巻ひばり野バイオマス発電所も、営業運転を開始している。
また、パシフィコ・エナジー株式会社は2012年以来、日本において太陽光発電プロジェクトを推進し、合計1GW以上のメガソーラープロジェクトで経済産業省の設備認定を受けている。また2021年からはESS事業も開始し、国際的な専門知識と技術を活かしたエンドツーエンドのビジネスサポート能力で、顧客と社会に価値を提供している。このように再生可能エネルギー企業も、グリーンエネルギーの導入に寄与している。
丸紅洋上風力開発株式会社は、洋上風力発電事業を開発するため、福島県楢葉町の沖合に「浮体式洋上ウィンドファーム」を、北九州市の沖合に「浮体式洋上風力発電システム」を設置した(※12)。このように総合商社も、グリーンエネルギーの導入に寄与している。
大林組は2012年以来、日本国内外で太陽光、バイオマス、洋上風力、陸上風力などを含む34ヵ所の発電所を稼働させている(※13)。とくに2021年からは、大分県九重町とニュージーランドで地熱発電を活用し、グリーン水素の製造と供給網の構築に取り組んでいる。このように総合建設業者も、グリーンエネルギーの導入に寄与している。
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自宅にグリーンエネルギーを導入するためには、何をすればいいのだろうか。
グリーンエネルギーを扱っている電力会社に切り替えることで、グリーンエネルギーで電気を供給してもらえるようになる。グリーンエネルギーを利用する場合も、通常どおりの契約手続きで、電気メーターに影響を与えずに切り替えられる。
太陽光パネルを屋根に設置することで、自宅で消費する電力の一部または全体をグリーンエネルギーで賄うことが可能だ。システムの設置には費用が発生するが、環境負荷を減らし、エネルギーの自給自足や余剰電力の売電なども実現できるようになる。
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ここまでグリーンエネルギーの定義や種類をみてきた。再生可能エネルギーやクリーンエネルギー、新エネルギーなど、エネルギー分野における環境負荷の低減の必要性に伴って、関連する環境用語も次々と登場している。
それらのエネルギーについて知り、普及や技術の進歩に注目すること、そして自宅への導入などできることから始めることが、やがて大きなインパクトへとつながっていく。
※1 グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度_運営規則|資源エネルギー庁
※2 グリーンエネルギーCO2削減相当量認証制度 概要|資源エネルギー庁
※3 グリーンエネルギーCO2削減等計画書(実績)|資源エネルギー庁
※4 再生可能エネルギー導入加速化の必要性|環境省
※5 新エネルギーについて|関西電力
※6 制度の概要|資源エネルギー庁
※7 再エネを日本の主力エネルギーに!「FIP制度」が2022年4月スタート|資源エネルギー庁
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