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バイオ燃料とは、生物由来の有機物を原料として製造される燃料の総称だ。再生可能な資源を利用するため、地球に負荷をかける二酸化炭素の排出が少ない。バイオ燃料の種類やメリット、デメリット、今後の課題について解説する。
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バイオ燃料とは、バイオマスと呼ばれる農作物や食品廃棄物などを原料とする再生可能な燃料である。
石炭や石油などの化石燃料は、燃焼の際に二酸化炭素を排出し、地球温暖化につながる。一方、バイオ燃料を燃焼した際に放出される二酸化炭素は、もともと植物が成長過程において吸収したものであり、バイオマスを燃焼しても大気中の二酸化炭素の収支はゼロになると考えられる。そのため、地球への負担が少ないと考えられている。
バイオ燃料は、1900年にディーゼルエンジンの生みの親とされるルドルフ・ディーゼルが、落花生油を使用したことをきっかけに始まったと言われている。日本では1970年代の石油ショックをきっかけに石油の代替としてエタノールの利用が始まり、1997年のCOP3での京都議定書合意後に温暖化対策としてバイオ燃料が注目されるようになった。
バイオ燃料の種類について詳しく解説する。
主にトウモロコシをはじめとする植物や、木材などからつくられる再生可能燃料をバイオエタノールと言う。
植物や木材に限らず、わら、もみ殻、家畜糞尿なども燃料のエネルギー源だ。製造過程でアルコールに変換することから、バイオエタノールという名称がつけられた。アルコールに変換された成分は、水分や不純物を取り除き、燃料として用いられる。
バイオディーゼル燃料は、ディーゼルエンジンで使用する燃料の一種だ。
家庭や飲食店から出る使用済みの食用油が、主な原料だ。バイオディーゼルの製造は、従来の石油由来のディーゼル燃料に比べて、有害な硫黄酸化物をほとんど出さない。植物性の廃食油を使用するので、廃棄物のリサイクルになり、環境にもやさしい。
バイオガスは、家庭の生ごみや畜産廃棄物などを原料とする気体燃料だ。
微生物が原料となる有機物を食べて分解する過程で、メタンと二酸化炭素が生成される。バイオガスの主要成分であるメタンは、燃えやすい性質だ。主に発電や暖房、料理の燃料などに使用される。
バイオガスは再生可能エネルギーであり、石油や石炭に比べて燃焼時の二酸化炭素排出量が少ないため環境にやさしいと言える。
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バイオジェット燃料は木材チップや製材廃材、微細藻類などで製造される航空機向けの燃料だ。
バイオジェット燃料は従来の航空燃料に混ぜて使用することができ、既存のエンジンにも適応する。
ICAO(国際民間航空機関)によると、2027年から航空分野のCO2排出削減が義務化されるため、バイオジェット燃料に注目が集まっている。日本では2017年以降、政府のサポートを受けながら、バイオジェット燃料の製造技術の開発が本格的に進んでいる(※1)。
バイオ燃料の3つのメリットをご紹介する。
バイオ燃料は、枯渇の心配がない再生可能なエネルギーだ。再生可能なエネルギーとは一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり、資源が枯渇せず繰り返し利用できるエネルギーを指す。再生可能エネルギーはバイオ燃料の他に、太陽光や風力、水力、地熱などがある。
石油や石炭をはじめとする化石燃料は地球上に限られた量しか存在せず、再生にとても長い年月がかかる。化石燃料を現状のペースで使い続けると枯渇するのは明らかなため、再生可能エネルギーに切り替える必要がある。
さらに再生可能エネルギーのなかでも、バイオ燃料は太陽光発電や風力発電のように、天候に左右されないのが特徴だ。太陽光発電や風力発電は、雨天や曇天時には、エネルギーをつくることができないが、バイオ燃料は液体や固体、気体として保存できるため、必要な時に必要な量を利用できる。安定的な供給ができるのも大きなメリットと言えるだろう。
バイオ燃料を燃焼して発生する二酸化炭素は、植物が光合成で吸収する二酸化炭素の量と相殺する。
植物が成長する時に光合成を行い、大気中の二酸化炭素を取り込む。バイオ燃料が燃焼する際は、植物が自ら吸収した二酸化炭素を排出しただけなので、大気中の二酸化炭素を増やさない。
大気中の二酸化炭素量には影響ない考えを「カーボンニュートラル」と呼ぶ。
バイオ原料となる廃材や家畜糞尿などの資源は、元々は地域の農村に存在するものだ。
廃材や家畜糞尿などはバイオ燃料の概念が広まる前までは、廃棄物として処理されていた。しかし、廃棄物ではなく新たなエネルギーを生み出す資源となり、地域の自然資源として有効活用される。
資源の回収からエネルギー供給施設の運営まで、これらのプロセスを地域が担うことで、新たな産業が生まれ、雇用増加し、地域経済が活性化する。
バイオ燃料の3つのデメリットをご紹介する。
環境省によると一般的なガソリンと比較して、約1.2〜3.8倍のコストが高いことがわかっている(※2)。
コストが高くなる原因として、資源を収集するコストや、発電場所までの運搬のコストがかかることが挙げられる。さらに、バイオ燃料の製造技術が発達途上で、新しい技術開発にコストがかかるのも原因だ。
バイオ燃料の材料になる穀物や食物資源は、私たちの食料や家畜の資料にも使用されている。
バイオ燃料の需要が高まると、スーパーの食品価格にも影響を与えてしまう。2008年の洞爺湖サミットでは「バイオ燃料の持続的な生産・使用に関する施策と食料安全保障の両立を確保」とG8首脳声明が出ている(※3)。
食料とならない原料から生産されるバイオ燃料の開発が急務だ。
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燃料作物の生産拡大が、森林伐採や生物多様性の損失、土壌劣化、水質汚濁といった環境破壊を引き起こす恐れがある。実際に、ブラジルやマレーシアで燃料作物生産に起因する森林破壊が報告されている。
現在研究が進んでいる次世代バイオ燃料は、より多様な原料を使用する。これには、廃棄物、藻類、微生物由来の原料、非食用の植物などが含まれる。次世代バイオ燃料は、食料と競合しない原料を重視している。また、従来のバイオ燃料と違い、石油由来と同じ構造のため、100%バイオ燃料成分として一般車両に使用可能だ。
燃料として主流になるためには、効率的かつ低コストでの製造方法の確立が求められる。また、原料調達において、動植物の生態系や生産に悪影響を与えないことが重要だ。
現状ではバイオ燃料のコストが高く、生態系破壊につながる可能性もある。こうした従来のバイオ燃料に代わるのが次世代バイオ燃料だ。次世代バイオ燃料の開発と普及が進めば、地球温暖化の防止と、持続的な経済発展が両立するだろう。
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