再生可能エネルギーを提供する10の電力会社を紹介 導入するメリットや選ぶときのポイントも解説

ソーラーパネル

Photo by Antonio Garcia on Unsplash

いまや、電力も環境にやさしいものを選ぶ時代となっている。この記事では、再生可能エネルギーを提供している電力会社を紹介し、導入するメリットや選ぶときのポイントも解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2024.10.11

再生可能エネルギーとは

太陽光発電

Photo by Andreas Gücklhorn on Unsplash

再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱などの自然界に存在する力を利用してつくられるエネルギーのことである。この再生可能エネルギーには、枯渇の心配がない、どこにでも存在する、CO2を排出しない(増加させない)のが特徴だ。

再生可能エネルギーの種類

日本では、再生可能エネルギーの定義と具体的な種類について「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」と「同施行令」において定められている。

再生可能エネルギーの法における定義は「非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用できると認められるもの」とされている。種類には、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱・その他の自然界に存在する熱、バイオマス(動植物に由来する有機物)の7つがある。(※1)

グリーンエネルギーとは? クリーンエネルギーとの違いや種類、促進の動きについて解説

関連記事

再生可能エネルギーを導入するメリットとは

風力発電

Photo by Zbynek Burival on Unsplash

再生可能エネルギーを使って発電した電力を使うメリットのひとつは、CO2の排出量が抑えられることが挙げられる。火力発電では、石油、石炭、天然ガスといった化石燃料を使って電気がつくられるが、このときCO2を排出する。しかし太陽光や風力などの再生可能エネルギーによる発電であれば、CO2はほとんど発生しない。

また地球に存在する自然エネルギーを活用するため、国内でエネルギーを作れることや、エネルギーが枯渇する心配がないのもメリットといえる。(※1)

日本の発電割合は? 現状と再生可能エネルギーについても詳しく解説

関連記事

再生可能エネルギープランを提供しているおすすめの電力会社

hydroelectric power

Photo by Collab Media on Unsplash

日本国内には、100%再生可能エネルギーのプランを提供している電力会社がある。「100%再生可能エネルギー」とは、実質的に再生可能エネルギー100%で発電された電気を提供しているという意味だ。それぞれの電力会社とプランの特徴、料金について紹介する。

TOKYO GAS「さすてな電気」

東京ガスは、CO2排出量が実質ゼロで、環境に配慮した電力「さすてな電気」を提供している。再エネ指定の非化石証書の使用により、実質的に再生可能エネルギー100%の電気を使えるようになるのが特徴だ。供給エリアは東京電力供給エリアのみで、料金は東京電力エナジーパートナーと同水準の電気料金メニューがある。現在使用している設備情報(A,kVA)に応じた料金メニューが適用される(※2、※3)

コスモ石油「コスモでんきグリーン」

コスモ石油が提供している「コスモでんきグリーン」は、再生可能エネルギー由来の非化石証書の活用により、実質的に再生可能エネルギー100%のCO2フリー電気の調達を実現している。また売り上げの一部から契約者1人あたり年間500円の寄付金をCOSMOエコ基金に拠出し、地球環境保全プロジェクトの支援に使われるのが特徴だ。(※4)

料金は地域大手電力会社と同じ料金設定になっており、それに加えて独自特典がつく。(※5)

GREENaの「GREENa RE100」

小売電気事業者である「GREENa」は、日本で初めての100%自然エネルギープラン「GREENa RE100」を提供している。自然エネルギー(FIT電気)とグリーン電力証書を活用することで、このプランを実現。料金の一例を挙げると、30A(30A未満を含む)で東京電力エリアの場合、基本料金が858円、1kWhあたりの電力量料金が最初の120kWhまで19円88銭となっている。(※6)

東京電力エナジーパートナーの「アクアエナジー100」

東京電力エナジーパートナーの「アクアエナジー100」は、水力100%とみなされるプラン。水力発電所での発電量が、利用者が使用する電力量を常時上回ることをもって水力100%とみなされる。FIT制度を利用しておらず、CO2フリーでエコな電気であることが特徴だ。料金の一例を挙げると、30Aの基本料金が1,760円25銭、1kWhあたりの電力量料金が最初の300kWhまで23円66銭となっている。(※7)

シナネン「あかりの森でんき」

シナネン株式会社は、風力発電、太陽光発電、電力販売、石油製品販売を展開しているエネルギー商社だ。このシナネンが提供しているのが「あかりの森でんき」だ。供給する電気に非化石証書を付与することで、実質的に再生可能エネルギー100%を実現している。(※8)

料金は、JEPX(一般社団法人 日本卸電力取引所)において取引される市場価格を用い、30分ごとに電力量料金の単価が変動するのが特徴的だ。市場価格が高い時間を避ければ、電気料金を節約できる。(※9)

ソフトバンク「自然でんき」

ソフトバンクは、非化石証書の仕組みを利用して、実質的に再生可能エネルギー比率100%、CO2排出量実質ゼロの電気を提供している。そのプランが「自然でんき」だ。特徴的なのは、電気料金の基本料金が0円であること。なお東京電力エリアの場合の1kWhあたりの電力量料金は、税込み36円55銭となっている。(※10、※11)

オクトパスエナジー「グリーンオクトパス」

エネルギー技術のリーディングカンパニーであるオクトパスエナジーが提供しているのが、非化石証書を組み合わせることでCO2排出量実質ゼロを実現する、実質再生可能エネルギー100%の電気料金プラン「グリーンオクトパス」だ。料金体系は現在「2部料金、3段階従量単価」の構成となっており、オクトパスエナジーの料金プランのなかでもっとも安い価格設定であることが特徴といえる。(※12)

アイ・グリッド・ソリューションズ「スマ電CO2ゼロ」

株式会社アイ・グリッド・ソリューションズは、電力エネルギー需要の最適化を推進する企業。この企業が提供する電気プラン「スマ電CO2ゼロ」は、再生可能エネルギー指定の非化石証書の活用により、再生可能エネルギー100%かつ、実質的にCO2排出ゼロの電気を実質的に供給している。特徴としては、全国各地に設置した屋根上太陽光発電所で生み出された電気を活用し、売上の一部を投資して、新たな屋根上太陽光発電所を設置していることだ。料金は基本料金が0円、使用した分だけ支払うようになっており、東京電力エリアで従量電灯B相当の場合、昼間時間が26.90円、そのほかの時間が29.90円となっている。(※13、※14)

エバーグリーン「低圧プラン」

エバーグリーンは、再生可能エネルギーのリーディングカンパニーであるイーレックスと、東京電力エナジーパトナーの共同出資により創設した企業だ。エバーグリーンの個人向けプランに「低圧プラン」がある。このプランでは、再エネ指定の非化石証書の活用により、実質的に再生可能エネルギー電気100%を実現している。また無料の宅内駆けつけサービス「でんきレスキュー」が利用できるのも特徴といえるだろう。料金は、基本料金、電力量料金、国が定めている再生可能エネルギー発電促進賦課金を合計したものとなっている。(※15)

みんな電力「プレミアム100プラン」

みんな電力は、株式会社UPDATERが運営する脱炭素領域・再生可能エネルギー事業だ。提供する電力プランには「プレミアム100プラン」があり、FIT電気60%・再生可能エネルギー40%に、非化石証書(再エネ指定)を組み合わせた、CO2排出量0のプランとなっている。使用量や使用時間に関わらず従量料金は変動しないのが特徴のひとつ。料金の一例を挙げると、従量電灯B、30Aで関東エリアの場合、基本料金が956.72円、1kWhあたりの従量料金が28円79銭となっている。(※16、※17、※18)

脱炭素に向けた新しい発電方法を紹介 注目される理由やメリット・課題も

関連記事

再エネ100%プランを選ぶときのポイント

illumination

Photo by Armando Castillejos on Unsplash

前項で紹介した、再生可能エネルギープランを提供しているおすすめの電力会社の説明のなかで、「実質再生可能エネルギー100%」や「FIT電気」、「非化石証書」といった用語が登場した。これらの用語の意味を知っておけば、電力会社を選ぶときに役立つ。ここではFIT電気や環境価値の3種類の証書の意味、電力会社を選ぶときのポイントを解説する。

再生可能エネルギーとFIT電気の違い

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスといった自然界に常に存在するエネルギーを指す。一方、FIT電気は、再生可能エネルギーで発電した電気を、国が定めた価格で買い取る「固定価格買取制度(FIT制度)」の対象となる電気のことだ。対象となる再生可能エネルギーには、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスがある。

FIT電気も再生可能エネルギーであるが、固定価格買取制度のもとで電気を買い取られていなければ、FIT電気には該当しない。(※19)

FIT制度・FIP制度とは? 制度が生まれた背景や仕組み、両者の違いを解説

関連記事

環境価値について

非化石証書とは

「非化石証書」は、石炭や石油などの化石燃料を使わない「非化石電源」からつくられた電気であることを証書として可視化したものだ。非化石証書により「非化石価値取引市場」での取引が可能となり、電気を販売できるようになる。(※20)

グリーン電力証書とは

「グリーン電力証書」は、再生可能エネルギーで発電された電気から、省エネルギーやCO2排出削減といった「グリーン電力環境価値」を切り離して証書にしたものを指す。認証しているのは一般財団法人日本品質保障機構で、証書を保有することにより、再生可能エネルギーによって発電されたものとみなせる(※21)

J-クレジット制度とは

J-クレジット制度とは、国が、省エネ設備の導入、再生可能エネルギーの活用によるCO2などの排出削減量や、適切な森林管理によるCO2などの吸収量を「クレジット」として認証する制度のことである。創出されたクレジットを活用することにより、日本の温室効果ガス排出の削減や、低炭素投資の促進につながる取り組みを実施できる。(※22)

J-クレジット制度とは 仕組み・メリット・課題をわかりやすく解説

関連記事

「実質再生可能エネルギー100%」とは

各社が取り扱う「再生可能エネルギー」を扱うプランに「実質」という言葉がつく理由には、「非化石証書」や「グリーン電力証書」が関連している。

日本には、小売電気事業者や発電事業者などが電気の売買をおこなう「卸電力取引所」がある。小売電気事業者はこの取引所から電気を調達し、住宅や企業に電気を販売しているが、この取引所に集められた電力は「化石電源」も「非化石電源」も種類を問わずひとつになって扱われる。

つまり、再生可能エネルギー由来の電気のみを購入したい場合でも、発電方式を選ぶことができない。そこで再生可能エネルギーの持つ「CO2を排出しない」という環境価値を「非化石証書」として取り出し、環境価値を電気そのものとは別々に取り扱うという仕組みになった。

この「非化石証書」を購入し、電気と組み合わせて供給することにより、どのような発電方式の電気であったとしても”実質的に再生可能エネルギーの電気を供給している”とみなすことが、2018 年から国の制度として認められるようになったのだ。(※20・23)

契約できる地域とできない地域がある

再エネ100%プランを選ぶときに注意したいのが、供給エリアだ。再エネ100%プランを提供する電力会社のなかには、特定の地域に限定して電力供給を行っている場合がある。そのため、住んでいる地域が供給エリアに該当しているかどうかを確認しなければならない。

世界の発電方法の現状は? 種類別の割合や国ごとの特徴を解説

関連記事

再生可能エネルギーの電力プランの切り替えを検討しよう

renewable energy

Photo by Camila Fernández León on Unsplash

再生可能エネルギーの電力プランにはさまざまなものがあり、特徴や電気料金、提供エリアが異なる。再生可能エネルギーの電力プランに切り替えれば、環境負荷の少ないエネルギーを使うことができ、脱炭素化やCO2削減に個人として貢献できる。再生可能エネルギーの電力プランの切り替えを検討してみてはいかがだろうか。

※掲載している情報は、2024年10月11日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends