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食品ロスとは、まだ食べられる食品や食材を廃棄することを言う。食品ロスは、日本をはじめ世界各国で問題視されているが、どのような原因があって問題となっているのだろう。世界と日本の現状について知ったうえで、各国の削減の取り組みも紹介しよう。
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エレミニスト編集部
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食品ロスとは、本来まだ食べられるのにもかかわらず、なんらかの理由によって捨てられてしまう食品や食材を指す。たとえば、次のようなものが食品ロスにあてはまる。
・一般家庭で、食べないうちに傷んでしまった食品
・飲食店で、注文しすぎて食べきれずに残してしまった食事
・買い過ぎて食べられずに残してしまった総菜
・コンビニやスーパーで仕入れすぎて売れ残ってしまった食品
「食品ロス」と似た言葉に、「フードロス」や「フードウェイスト」がある。これらは似ているが、厳密には意味が異なる。国連食糧農業機関(FAO)では、それぞれを次のように定義している。
生産、製造、流通まで、小売業者のサプライチェーンにおいて、製造や加工の段階で出るロスを指す。
スーパー、コンビニなどの小売、一般家庭で出るロスを指す。
フードロスとフードウェイストをすべてあわせたものを指す。
食品ロスはどのくらい生まれているのだろう?世界と日本の現状を見てみよう。
UNEPが発表した「食品ロス世界ランキング」によると、2021年に世界で生じた食品ロスは9億3,100万トンにもなる。国別にみると、食品ロスが多い国には、中国、インド、ナイジェリア、インドネシア、アメリカなどの国が連なる。もっとも多い中国は、9164万トンにもなる。詳しくは、最新の「食品ロスランキング」を参照してほしい。
日本でも食品ロスが多く生まれている。農林水産省のデータによると、2021年に日本で出た食品ロスは約523万トン。2017年は612万トンだったので、若干減っているが、それでも多い。
523万トンは、日本人1人あたり約42キロ。毎日114グラムのごはんを捨てている計算になる。114グラムというと、お茶碗にかるく一杯分程度。まだ食べられるのに、これだけの量の食品を捨てていることになる。
日本の食品ロスの量は、世界では14番目に多い。
国連WFP(世界食糧計画)では、現在の食品ロスは、世界で生産された食品の約3分の1にあたると見積もっている。先進国では食品ロスが大量に生まれる一方で、十分な食事をとれずに飢餓に見舞われる人もいる。いま世界で生産されている食品は、全世界の人々をまかなうのに十分な量。それにも関わらず「食の不均衡」が生まれているのだ。
ごみとして捨てられた食品は、焼却処分される。その際、二酸化炭素が排出することになる。ご存知のとおり、二酸化炭素は地球温暖化の要因だ。焼却処分するものの量が増えれば、排出される二酸化炭素の量も増えて、ますます温暖化が加速してしまう。
食品ロスの量が増えていけば、地球温暖化や気候変動を加速させ、その結果、世界の農業に影響をもたらすことも考えられる。頻発する自然災害で、農作物の収穫量が減ったり、洪水や干ばつなどで住む場所を追われる人が増えたり。それによって、貧困や飢餓に苦しむ人々をさらに増加させる可能性もある。
まだ食べられるものを捨ててしまうことは、家庭の経済状況にも悪影響を及ぼす。また、「もったいない」「生産者に申し訳ない」といった心理的なダメージもあるだろう。
周囲に気づかれにくいが、日本でも貧困に直面している人が増えているという。2018年、日本で大多数より貧しい状態にある「相対的貧困」率は、15.4%にも達した。とくに、ひとり親家庭で相対的貧困率が高く、子どもの貧困が増えていることが問題となっている。食品ロスが生まれるなか、同じ社会では貧困の人がいるという現実があるのだ。
海外では、食品ロスを削減しようとさまざまな取り組みが行われている。
世界でトップレベルの生ごみリサイクル率を誇るのが、韓国だ。2013年に生ごみのコンポスト化が義務化されており、事業者も同様に食品ロスの削減が求められている。現在の生ごみリサイクル率は95%というから驚きだ。
メルボルンには、消費期限が近い・賞味期限切れの商品だけを販売するスーパーがある。定価の半額から、9割近くまで値引きして、食品ロスの削減に一役買っている。取り扱っている商品は、飲料、調味料、冷凍食品、菓子類などの食料品から、洗剤、シャンプー、歯磨き粉などの日用品までバラエティ豊か。
スペインでは、食品ロスを削減するための法律が制定された。飲食店では、客が食べきれなかったものは持ち帰り可能になり、スーパーや飲食店で期限が切れそうな食材はフードバンクなどに寄付を行う。期限が切れたものは、動物のエサなどに活用するなど、廃棄しない仕組みが整えられている。
スイスのジュネーブでは、あまった食材をシェアできる「地域の冷蔵庫」が街中に設置されている。賞味期限が近づいたが食べる予定のない食品、食べきれないものを自由に持ち込んだり、無料で持ち帰ったりできる。この冷蔵庫ができて、2023年は3トンの食品ロスを削減できたそうだ。
イギリスの大手スーパーでは、食品ロス削減対策の一環として、賞味期限のラベル表示を廃止する動きがでている。賞味期限の表示があれば、期限が切れてしまうと、まだ食べられるとしても廃棄される食品が多くなってしまう。そこで、生鮮食品などについて賞味期限の表示をなくすという。また、売れ残ったフランスパンを「冷凍ガーリックブレッド」にして手頃な価格で販売したり、あまった食品を地域コミュニティに寄付したりする取り組みもある。
日本で行われている食品ロスを削減する取り組みも、いくつか紹介しよう。
環境省をはじめ、さまざまな自治体などで呼びかけられているのが「3010(さんまるいちまる)運動」だ。これは、宴会で最初の30分と最後の10分は、自分の席で料理を食べようという呼びかけ。つい周囲の人との話に夢中になって、出された料理に手をつけないまま宴会が終了することがあるが、料理も楽しんで食べ残しを減らそうという運動だ。
豊かな国では食料が十分にあり、肥満や生活習慣病の人が増えている一方で、貧しい国では飢餓に直面している人がいる。そんな食の不均衡を解消するために、日本で始まったのが「TABLE FOR TWO(テーブルフォーツー)」。先進国で、生活習慣病予防の健康的な食事が提供されると、1食につき20円が開発途上国の子どものために寄付される仕組みで、賛同する日本企業が増えている。
スターバックスコーヒーでは、その日の在庫状況に応じて、商品を割引価格で販売。売上の一部は、こども食堂の普及をおこなう「NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ」に寄付するなど、食品ロスの削減を目指している。
イオンは、2025年までに食品廃棄物の量を半減させる目標を掲げ、少量サイズで販売する商品を増やしたり、賞味期限を年月表示に変更したり、魚介類を真空パックで販売して賞味期限を延ばしたり、さまざまな取り組みを進めている。
食品ロスは、飲食店やスーパーなどの事業者だけではなく、一般家庭でも多く生まれている。食品ロスを減らすためにできることを紹介する。
・冷蔵庫や冷凍庫を整理して、いま家になにがあるか確認する
・買うものをリストアップして買い物に出かける
・大容量のものは買わない(食べきれる量だけ買う)
・冷凍できるものは冷凍保存する
・食材を無駄にしないレシピを試す
・期限が近い食品を冷蔵庫の手前に置く
・食べられる分だけ注文する
・宴会ではとくに注文しすぎない
・食べきれないものはフードドライブなどに寄付する
・近所の人や知り合いにおすそわけする
食品ロスを減らすためには、私たち1人ひとりの心がけが欠かせない。ここであげたようなことを、できることから始めていこう。
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