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「TABLE FOR TWO(テーブルフォーツー)」とは、開発途上国で進む飢餓や栄養不足の問題と、先進国が抱える肥満や生活習慣病の問題について、同時に解決を目指す仕組み。1食につき20円分が寄付され、開発途上国の子どもたちの学校給食になる。「おにぎりアクション」とともに紹介する。
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エレミニスト編集部
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世界では、飢餓に直面し十分な食べ物にアクセスできない人々がいる。その一方で、食生活が豊かになるあまり、肥満や生活習慣病の人が増えている国もある。そんな食の不均衡を解消するため日本で生まれたのが、「TABLE FOR TWO(テーブルフォーツー)」だ。
「TABLE FOR TWO」を直訳すると「2人のための食卓」。貧しい国と、豊かな国の双方の問題を同時に改善することを目指している。運営は、特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」が行っている。
具体的には、先進国で肥満や生活習慣病を予防するためにカロリーを抑えた食事が提供されると、1食につき20円が開発途上国の子どもに寄付される。「TABLE FOR TWO」が支援する地域では、20円は学校給食のおよそ1食分に相当する。つまり、その20円が、開発途上国の子どもの学校給食になって提供されるのだ。
「TABLE FOR TWO」が支援しているのは、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、ケニア、マラウイ、フィリピンの6か国だ。
「TABLE FOR TWO」の目的は、上述したように、開発途上国の子どもの飢餓や栄養失調と、先進国の健康上の問題を同時に改善すること。世界規模で広がる食の不均衡を解消して、人々の健康を改善することを目的としている。
十分な食事がとれず飢餓になると、人は物事に集中したり、やる気を出したりすることができなくなる。しかし学校給食で、子どもたちが、できるだけ地元産の食材を使った栄養価の高い食事をとることができれば、子どもの体力や免疫力の向上につながり、毎日学校に元気に通ったり、活動できたりするようになる。
「TABLE FOR TWO」の取り組みは、国連が採択したSDGs(持続可能な開発目標)にも通じる。例えば、目標1「貧困をなくそう」、目標2「飢餓をゼロに」に直接的に貢献できるほか、目標3「すべての人に健康と福祉を」や目標4「質の高い教育をみんなに」にもつながるだろう。
「TABLE FOR TWO」の歴史は、今から15年以上さかのぼることになる。2006年、カナダのバンクーバーで行われた世界経済フォーラムで、同団体創設メンバーなどが「TABLE FOR TWO」のアイデアを発表したのだ。その後、賛同する複数の企業の社員食堂でテストプログラムを実施。2007年にNPO法人として発足することになった。
その後は、ひたすら賛同してもらえる企業を集め、2011年には支援食数が1000万食を突破。参加する企業が増加するにともない、世界にもその活動が広がっていった。
日本から生まれた「TABLE FOR TWO」のアクションは、いまや世界に広がっている。アメリカ、台湾、ヨーロッパなど、各地に拡大している。
「TABLE FOR TWO」の取り組みに賛同する企業が増加中だ。ここでは、主な日本の企業や大学をいくつか紹介しよう。日本の大手企業・大学が数多く参加していることがよくわかる。
日本を代表する大企業、トヨタ自動車は「TABLE FOR TWO」の活動理念に賛同。2011年より、国内にある同社のすべての工場、事業所の従業員食堂で「TABLE FOR TWO」プログラムを実施している。カロリーを抑えた寄付付きのヘルシーランチを食べると、1食あたり、従業員から10円、トヨタ自動車から10円の合計20円が寄付される仕組みになっている。
パナソニックグループは、国内12か所にある社員食堂で「TABLE FOR TWO」のプログラムに参加。社員食堂がない14の拠点では、自動販売機の売上の一部を寄付し、2022年は約146万円を寄付した。これは、海外途上国の学校給食73,000食に相当する。
三井物産では東京の本店の社員食堂で、「TABLE FOR TWO」を実施。会社が購入者と同額を寄付するマッチングギフト方式を採用しており、対象メニューの購入につき、購入者が20円を、三井物産が20円を負担し、合計40円を「TABLE FOR TWO」に寄付している。
日本旅行では、日本全国のホテル宿泊について、「TABLE FOR TWO」にも寄付できるプラン「旅でSDGs体験!食べて、学ぼう!」を設けている。対象のプランを申し込むと、「TABLE FOR TWO」に寄付できる。さらに、JRや航空セットプランの場合は、交通機関の利用で排出されるCO2をオフセットできるという。
グルメサイトの「ヒトサラ」では、同サイトから飲食店を予約すると、予約1件につき20円が「TABLE FOR TWO」に寄付される。自分がレストランなどの予約をするだけで、途上国の子どもたちの食事もサポートができるとは、うれしい仕組みだ。
「TABLE FOR TWO」に賛同して、食堂で導入している大学や、学内で推進している大学は日本国内に数多くある。
東京大学/一橋大学/京都大学/大阪公立大学/岡山大学/東京外国語大学/国際基督教大学/青山学院大学/上智大学/津田塾大学/中央大学/日本大学/立命館大学/関西学院大学など
「TABLE FOR TWO」と同じく、「TABLE FOR TWO International」が2015年から始めたのが「おにぎりアクション」だ。国連が定めた10月16日「世界食料デー」に、おにぎりアクションの取り組みに賛同した人が、おにぎりの写真をSNSや特設サイトに投稿すると、1枚あたり100円が恵まれない子どもたちの給食に寄付される仕組みだ。「TABLE FOR TWO」と同じように、「おにぎりアクション」の活動も年々、広く知られるようになってきている。
「TABLE FOR TWO」は、賛同する企業を増やしているが、私たちにもできる方法もある。たとえば、「TABLE FOR TWO」に賛同している企業を応援したり、「おにぎりアクション」に参加したり。また、個人サポータープログラムもある。
日本では食品ロスがたくさん出るなか、十分な食事を食べられない子どもたちもいることを忘れず、私たちにできることについてもぜひ考えてみよう。
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