毎年秋に実施されている「おにぎりアクション」は、誰でも気軽に参加できる寄付活動として、年々その注目度を高めている。具体的にどのような活動なのか、わかりやすく解説する。SDGsとの関連性や参加方法についても、詳しく学んでいこう。
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
おにぎりアクションとは、「おにぎりで世界を変える」をテーマにした、寄付活動である。特定非営利活動法人「TABLE FOR TWO International」が2015年からスタートした取り組みで、国連が定めた10月16日「世界食料デー」を記念して毎年実施される。
日本の食の象徴とも言える「おにぎり」。おにぎりアクションの取り組みに賛同した人々は、そんなおにぎりの写真をSNS・特設サイトに投稿する。すると、1枚あたり100円を協賛企業が提供、アフリカやアジアの子どもたちに「給食」という形でプレゼントされる仕組みだ。
寄付金100円は、給食5食分に相当する。2021年には27万3,876枚もの写真が投稿され、139万7,795食の給食がアフリカ・アジアの子どもたちのもとへと届けられた。この試みの認知度は年々高まっており、2021年には31企業・団体が参加。協賛企業も増加傾向にある。(※1)
おにぎりアクションは、指定された期間中に「条件を満たした写真」を該当SNS上に投稿することで寄付できる仕組みだ。用意するものはたった2つで「おにぎり」と「スマートフォン」のみである。ちなみにおにぎりは、手づくりでも購入したものでも構わない。
おにぎりや、おにぎりを食べている様子を写真に収めよう。「人物なし・おにぎりのみ」で撮影した写真も、おにぎりアクションの対象になる。撮影した写真は、以下のいずれかの方法でサイトに投稿する。
1. おにぎりアクション特設サイト上に投稿する
2. Instagram、Twitter、Facebookに「#OnigiriAction」をつけて投稿する
ふだんSNSを使っている人はもちろん個人のアカウントからの投稿で構わない。投稿回数に制限はなく、期間中であれば何度でも参加できる仕組みだ。投稿された写真の数に合わせて協賛企業が寄付金を提供。集まった寄付金は、主催団体であるTABLE FOR TWO Internationalを通じて、アジア・アフリカの子どもたちのもとへ「給食」という形で届けられる。
おにぎりアクションへの注目度が高まっている理由に、SDGsとの関連が挙げられる。おにぎりアクションは、以下5つの目標達成のための具体的な手段として、注目されている。
目標1. 貧困をなくそう
目標2. 飢餓をゼロに
目標4. 質の高い教育をみんなに
目標10. 人や国の不平等をなくそう
目標17. パートナーシップで目標を達成しよう
アジアやアフリカ地域には、貧困状態にあり、日々の食事を満足に取れない人々が多く暮らしている。子どもたちも例外ではなく、栄養状態の悪化により幼い時期に命を落としてしまうケースも少なくない。貧困と飢餓のなか、子どもたちが十分な教育を受けるのは難しい。結果として、貧困の連鎖は次の世代にまで受け継がれてしまう。
こうした負の連鎖を断ち切るため、TABLE FOR TWO Internationalが注目したのが「学校給食」である。子どもたちにとって、「1日にたった1食でも、学校で十分な栄養を補給できる」という事実が持つ意味は非常に大きい。栄養状態の改善につながるだけではなく、「明日も学校へ行こう」という意欲を向上させられるのだ。
実際に、学校給食によって貧困エリアで暮らす子どもたちの栄養状態は飛躍的に改善した。TABLE FOR TWO Internationalの発表によると、東アフリカにあるルワンダ・バンダ村では、給食の提供によって子どもたちの学校出席率が大幅に向上。給食提供前は60%台であった出席率が100%近くに改善し、学業成績の向上にもつながった。(※2)
SDGsの認知度向上も受け、「アジア・アフリカの子どもたちのために何かしたい」と願う人々は決して少なくないだろう。とはいえ日本国内から、自分のできる範囲で何が実行できるのか判断するのは容易ではない。
おにぎりアクションでは、こうした人々の想いと企業をつなぎ、未来へとつながる支援制度を確立した。SDGs達成に向けて、おにぎりアクションが果たす役割は非常に大きいと言えるだろう。
2019年にこの支援制度は「第3回ジャパンSDGsアワード外務大臣賞」を受賞。これは、SDGS達成に向けて、とくに優れた取り組みを行う企業や団体などを表彰するための制度である。2015年のスタートからわずか5年間で450万食もの給食をアジア・アフリカの子どもたちに届けたことや、おにぎりという身近な食事をテーマに、誰もが参加できるわかりやすいアクションを提案したことなどが評価された。
おにぎりアクションは、毎年10月16日の「世界食料デー」に合わせて行われている。世界食料デーの目的は、世界中の人が食べものや食料問題について考えること。考えた結果の行動を、おにぎりアクションにつなげてもらおうという狙いだ。
おにぎりアクションの実施期間は、その年によって異なる。2021年の「おにぎりアクション2021」は、2021年の10月5日から11月5日までの期間で実施。前年の「おにぎりアクション2020」は2020年10月1日から同月31日まで開催された。
2022年に実施予定の「おにぎりアクション2022」は、2022年10月6日(木)から11月6日(日)までの1ヶ月間で実施される予定だ。NPOや企業はもちろん、自治体や学校など、幅広い組織がさまざまな形で参加する。各種オンラインイベントや企業間・自治体間でのコラボレーション企画も実施予定である。ぜひ注目してみよう。
2015年からスタートした「おにぎりアクション」。我々日本人にとってなじみ深い「おにぎり」を中心に、非常に多くの人や団体が寄付活動を行っている。大人から子どもまで、あらゆる年代の人々が楽しみながら実践できる点も魅力だ。
2021年、おにぎりアクションのメディア掲載数は175件にのぼった。回数を重ねるごとにその注目度は増しており、より多くの人が参加しやすい土壌が形成されている。参加人数が増えれば増えるほど、アジア・アフリカの子どもたちをサポートする力は大きくなるだろう。身近な場所でスタートできるSDGs達成のための取り組みとして、ぜひおにぎりアクションにも注目してみよう。(※3)
ELEMINIST Recommends