10月16日は「世界食料デー」 SDGsとの関連と取り組み事例

世界食料デー

Photo by Dan-Cristian Pădureț on Unsplash

「世界食料デー」は世界の食料問題について考える日として、国連によって制定された。SDGsの目標のひとつである飢餓問題と、どのようなつながりがあるか解説する。また国連WFPをはじめ、さまざまな団体がこれまでに行った世界食料デーの取り組み事例を紹介する。

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2022.10.11

世界食料デーとは

世界食料デーの日に考えたいリンゴなどの果物

Photo by Priscilla Du Preez on Unsplash

毎年10月16日の「世界食料デー」は、世界の食料問題について考える日だ。食料を得ることは、もっとも基本的な人権であり、私たちにとって当たり前のことだ。しかし、世界にはそれが簡単にできない人がいる。そこで栄養不良や飢餓、貧困などの解決を目的に、この日が定められた。

世界食料デーが制定されたのは、1945年10月16日。この日は国連食糧農業機関(FAO)が創設された日だ。そして1979年のFAO総会の決議にもとづき、国連が毎年10月16日を「世界食料デー」と定め、1981年より世界共通の日として制定された。また、毎年10月は「世界食料デー月間」に定められている。

FAOの加盟国は2019年8月時点で、196か国とEU(欧州連合)。(※1)毎年世界食料デーには、これらの国々で食料問題を考えるさまざまなイベント等が開催されている。

SDGsの目標のひとつ「飢餓問題」の現状

2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)」。全部で17ある開発目標のうち、目標2に「飢餓をゼロに」がある。

現在、安全で栄養価の高い食料を十分に入手できない人が、世界には20億人以上いる。さらに2020年から世界規模で大流行した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、飢餓問題はさらに加速。飢餓に陥っている人は約6億9000万人だが、これに1億人以上が増えると言われている。(※2)

また、食料危機対策グローバルネットワークの報告書によると、2020年は紛争や新型コロナウイルスがもたらした経済への影響で、55の国・地域で1億5500万人が危機的レベルで食料不安を抱えている。(※3)

世界の食料問題

世界食料デーで問題となる腐ったバナナなどのフードロス

Photo by Giorgio Trovato on Unsplash

フードロス

飢餓で苦しむ人がいる一方で、同じ地球には、まだ食べられるのに廃棄される食品がある。日本では、つくりすぎてあまって捨てられる食品、形が不揃いといった理由で廃棄される規格外の野菜・果物、販売期限が切れた売れ残りの食品などで、フードロスが発生している。

日本では毎年2,531万tの食品廃棄物が出ており、まだ食べられるのに廃棄される「フードロス」は年間およそ600万tになる。この量は、日本の国民一人が毎日ごはん1杯(約130g)を捨てている計算になる。

しかも、2019年の世界の食料援助量は約420万tだから、これを優に超える量が日本では捨てられている現実がある。(※4)さらに廃棄された食品の焼却によって温室効果ガスが排出されるなど、環境への懸念もある。

食料不足・食料価格の高騰

気候変動によって、農作物が不作になるほか干ばつなどが発生し、世界で食料不足の問題が起きている。とくに2020年は新型コロナの影響があり、食料不足はさらに深刻化しているという。

さらに世界の食料価格が年々、値上がりをみせている。経済的に貧しい人ほど、家計に占める食費の割合が高い傾向があり、そのような人々は食料価格が上がることで食べる量を減らしたり質を悪くしたりする懸念がある。

2021年の世界食料デーは

2021年10月16日の世界食料デーは、新型コロナウイルスの影響で大規模なイベントは行われないケースが多いが、自宅で参加できるキャンペーンなどがある。

2021年世界食料デーの募金

日本国際飢餓対策機構が、飢餓のない世界の実現を目指し取り組んでいる「ハンガーゼロ」運動。2021年の世界食料デーでは、2000万円の募金額を目指している。

ゼロハンガーチャレンジ(国連WFP)

国連WFPは、毎年「ゼロハンガーチャレンジ 食品ロス×飢餓ゼロ」のキャンペーンを実施している。一般消費者が食品ロス削減につながる行動をとり、それをSNSに投稿すると、協力企業から寄付が行われ、飢餓に苦しむ途上国の子どもたちへ学校給食が届けられる取り組み。

2021年のイベント等

「ハンガーゼロ」のサイトでは、オンラインイベントやチャリティイベントなど、多彩な行事の予定が掲載されている。

世界食料デーのこれまでの取り組み

ゼロハンガーチャレンジ(国連WFP)

2019年に行われた、国連WFP協会主催の「ゼロハンガーチャレンジ」では、野菜の皮や種、古くなった乾物や調味料など、捨てられがちな食材を使ったレシピの投稿を呼びかけた。SNSでの投稿によって、協力企業から寄付が行われ、アフリカの子どもたちに学校給食が届けられた。

おにぎりアクション(TABLE FOR TWO International)

世界食料デーのイベント「おにぎりアクション2022」

世界の食料問題解決に取り組む特定非営利活動法人TABLE FOR TWO Internationalが、2015年から始めたキャンペーン。おにぎりにまつわる写真をSNSに投稿すると、協賛企業が寄付を行い、アフリカ・アジアの子どもたちに給食が届けられる。2022年も「おにぎりアクション2022」が開催される。

おにぎりアクションとは 寄付の仕組み・期間などを解説

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映画『0円キッチン』・続編『もったいないキッチン』

映画『0円キッチン』(2015年公開)は、“食料救出人”が廃油で走るキッチンカーで廃棄食材クッキングの旅に出る、食品ロスをテーマにしたストーリー。またその続編『もったいないキッチン』が2020年に公開され、世界食料デーにあわせて上映会などが行われた。

世界食料デーは食べ物について考えよう

日本では多くの人が食事に不自由することなく、豊かな生活を送っている。しかしその豊かさによって、フードロスのような矛盾する問題が起きていることも事実だ。世界食料デーは食べ物の大切さを改めて考える日にしてはどうだろう。

※1 FAOについて|国連食糧農業機関
http://www.fao.org/japan/about-fao/jp/
※2 10月16日 世界食料デー(World Food Day) | FAO
http://www.fao.org/japan/portal-sites/wfd/en/
※3 急性食料不安が過去5年で最大と「食料危機に関するグローバル報告書」が警告|国連WFP
https://ja.wfp.org/news/acute-food-insecurity-soars-five-year-high-warns-global-report-food-crises
※4 食品ロスについて知る・学ぶ|消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/#introduction

※掲載している情報は、2022年10月11日時点のものです。

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