イギリスで賞味期限ラベル廃止の動き 食品ロス対策で大手スーパー2社が発表

スーパーに売られているジャガイモ

Photo by Annie Spratt on Unsplash

イギリスで、食品の賞味期限表示を廃止する動きが広がっている。小売大手の「マークス&スペンサー」と英国皇室御用達スーパー「ウエイトローズ」が相次いで、食品ロス対策の一環として賞味期限のラベル表示を撤廃すると発表した。

今西香月

環境&美容系フリーライター

慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中

2022.08.16
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賞味期限の表示をなくす 英スーパーの食品ロス対策

食品の製造・調理・流通などのプロセスや、各家庭で生まれる食品ロス。イギリスで2018年に生まれた食品ロスは約950万t。このうち、約7割の660万tが家庭から、約3割の約290万tが食品製造や流通などの事業活動から生まれている。

世界には食糧不足に苦しむ人がいる一方で、先進国を中心にこのような食品ロスが大量に出ていることが大きな問題となっている。これに取り組むべく、イギリスでは食品の賞味期限の表示を廃止し、まだ食べられるのに捨てられる食品を減らそうとする動きが広がっている。

マークス&スペンサー:青果300品目の表示撤廃

イギリスの大手小売店の「マークス&スペンサー(Marks&Spencer)」では、野菜と果物の300品目について、賞味期限の表示を撤廃するという。これは同店が取り扱う青果のおよそ85%にあたる。店舗では鮮度や品質を維持するため新しいコードを使用するという。

マークス&スペンサーでは、これまでにもさまざまなアイデアで食品ロス対策に取り組んできた。例えば2021年からイギリス全店舗で導入されている「Go Bananasバッグ」。食べ頃の完熟バナナを25ペンス(約40円)のお値打ち価格で販売することで、売れ残りを最小限に抑える狙いだ。ヴィーガンバナナマフィンのレシピも付いている。

また2020年から、売れ残ったフランスパンにガーリックバターを塗り、冷凍ガーリックブレッドとして販売する試みを200店舗で展開。1本1ポンド(約163円)、2本入りで1.8ポンド(約294円)とお手頃価格で、保存期間も30日間と大幅延長。これ以外にも、余った食品を地域コミュニティに寄付する活動も昔から行われている。

ウエイトローズ:生鮮食品約500品目の表示撤廃

王室御用達の高級スーパーとして有名な「ウエイトローズ(Waitrose)」。2022年9月からレタス、キュウリ、ピーマンなどの果物や野菜を含む約500品目の生鮮食品から賞味期限の表示をなくす予定だ。同スーパーによると、食品廃棄のタイミングは「消費者の判断に委ねる」方針だという。

賞味期限を過ぎた食品は、まだ食べられる状態であっても廃棄されやすくなる。イギリスの慈善団体「Waste Resources Action Programme」によると、果物や野菜の賞味期限の表示を撤廃することで、イギリスではごみ袋700万個分の食品ロスを減らせると推定している。

食中毒や腐敗など安全性のために表示の必要性はあるかもしれないが、これからは消費者が、賞味期限に頼らずに個々の食品の状態を見極めていくことが大切になるのではないか。

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※掲載している情報は、2022年8月16日時点のものです。

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