フードドライブとは? 3つのメリットやフードバンクとの違いも解説

大量に並べられたさまざまな食品

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フードドライブとは、フードロス対策や貧困対策のため注目される取り組みである。フードバンクとの違いや、メリット・デメリットについて解説する。フードドライブを実施する海外・日本の事例から、その意味や目的について学んでみよう。

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2022.06.23
目次

フードドライブとは

フードドライブとは各家庭で余った食品を集め、専門の団体や地域の福祉施設に寄付する活動を意味する。食品を集める役割を担うのは、主に学校・企業・地域の団体など。集まった食品は、生活困窮者を支援する団体や子ども食堂、福祉施設などに寄付されるケースが多い。

フードドライブの発祥はアメリカと言われ、生活困窮者を支援するチャリティーとしてスタートした。近年では、フードロス(食品ロス)を減らす意味でも注目される取り組みだ。

フードドライブは、誰でも気軽に参加できる慈善活動の一種である。「賞味期限が一定期間以上ある」「未開封である」「常温で保存可能」など、いくつかの条件をクリアする必要はあるものの、寄付する側に特別な資格、条件は求められない。買い過ぎてしまった食品や、食べきれなかった食品などが、必要な人のもとへと届けられる活動である。

フードバンクとの違いは「担い手」

生活困窮者向けの食品寄付と言えば、フードバンクを思い浮かべる方が多いのではないだろうか。フードバンクとは、主に食品を扱う企業から寄付を募る活動を指す。たとえば、パッケージの破損や印刷ミス、規格外といった理由で、まだ食べられるにもかかわらず廃棄予定の食品が対象である。フードバンクに関する説明は以下の記事を参照してほしい。

食品の寄付で人を助ける「フードバンク」 フードロス削減にもつながる仕組みとは

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フードドライブの大きな特徴は、家庭で余っている食品を対象にしている点である。フードロスが問題視される中、各家庭で気軽に取り組める点が、フードバンクとの大きな違いと言えるだろう。

フードドライブの3つのメリット

1. 継続的なフードロスの削減効果

厚生労働省が発表したデータによると、2019年度の食品ロス量は570万t。前年度よりも30万t減少したが、日本で発生する食品ロス量は、世界的に見てもまだまだ非常に多い。フードドライブは、食品ロス問題を解決する手段の一つとして注目される。(※1)

フードドライブの取り組みによって、個人が気軽に食品を寄付できる仕組みが整ってきている。限られた資源を有効活用できる点が、非常に大きなメリットと言えるだろう。フードロスの原因や関連する法律、問題解決方法については、以下の記事でも詳しく解説している。

食品ロス(フードロス)問題をわかりやすく解説 削減に向けた取り組みや私たちにできる支援とは

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2. 貧困問題解決に向けた積極的な支援

貧困問題は、日本においても決して他人事ではない。2019年に厚生労働省が発表したデータによると、所得金額が100万円未満の世帯は全体の6.4%に上る。2018年の相対的貧困率は、15.4%であった。十分な量の食料を確保できず、困っている人は決して少なくない。(※2)

フードドライブは、寄付によって集まった食料を、支援を必要とする人々のもとへと届ける運動である。貧困層の日々の生活を支える手立てになるだろう。またフードドライブが生み出すメリットは、物質的な支援だけではない。寄付をきっかけに、支援を必要とする家庭と福祉団体がつながり、社会的な接点を維持できる点も、非常に大きなメリットだと言える。

3. SDGsに対する意識の向上

2015年に採択されたSDGsには、貧困問題解決のためのゴールも多く含まれている。

1.貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.すべての人に健康と福祉を

フードドライブは、こうした目標をより身近に感じるためのきっかけになるだろう。自宅に眠っている不要な食料を手放すことから、いま自分に何ができるのか、より深く考えていけるはずだ。

フードドライブのデメリット

一方で、フードドライブにもデメリットはある。とくに無視できないのが、寄付される食品の種類や品質についてだ。

フードバンクとは違い、フードドライブの対象には一般家庭も含まれる。消費されないまま家庭内に留まる食品には、偏りが生じがちだ。また、そもそも販売用・寄付用に保管されていた食品ではないため、その品質管理に問題が発生するリスクもある。

フードドライブのデメリットを最小限にとどめるためには、寄付する側の意識向上と寄付する際の適切なルール設定が鍵となる。できるだけわかりやすく、フードドライブの意義や目的について広報していく必要があるだろう。そのための費用や負担も、フードドライブのデメリットと言える。

海外のフードドライブの事例

Stamp Out Hunger/アメリカ

アメリカでは、毎年5月の第2週目に、郵便配達員によるフードドライブが実施されている。National Association of Letter Carriers(全国郵便配達員連合)が飢餓撲滅のためにスタートした取り組みで、食料を回収するのは各家庭を回る郵便配達員だ。

毎年この時期に行われる理由はさまざまだが、その一つは夏休みを迎える子どもたちへの食料支援だ。学校がない間にも、子どもたちが十分な食べものを確保できるよう、工夫されている。(※3)

We Feed/アメリカ

アメリカニュージャージー州ウッドブリッジタウンシップでは、1992年9月に市営フードバンク委員会を設立。コミュニティや教会、政府代表、市民メンバーなどが中心となり、We Feedという名称で毎月活動している。

一定の食料を確保するため、タウンシップ内では定期的にフードドライブを実施。日本よりもはるかに早く、人々の生活にフードドライブを取り入れていることがわかる事例である。(※4)

このほか、フランスやイタリアなどでは、食品ロス削減のための法律がすでに制定されている。フードドライブ・フードバンクをはじめ、企業や個人が、法律のもとで具体的な取り組みをスタートしているのだ。

以下の記事で解説しているとおり、2022年1月からは、アメリカ・カリフォルニア州でも事業者に対して食品ロス削減を義務付ける法律が施行された。また、一般家庭から出る生ごみについても、規制対象になった点が特徴的だ。より一層の努力を求められていると言えるだろう。

アメリカ・カリフォルニア州で食品ロスを減らす法律がスタート

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日本の事例は? フードドライブに取り組む自治体

東京

東京都では、2021年11月時点で、千代田区・台東区を除いた23区、武蔵野市や府中市、青梅市やあきる野市など、数多くの自治体でフードドライブの取り組みを行っている。各自治体が常設窓口やイベント窓口を用意しているため、そこに食品を持ち込む仕組みだ。持ち込み場所やルールは、各自治体によって異なるため、事前確認が必須。(※5)

たとえば新宿区では、株式会社良品計画と「食品ロス削減の推進等に関する連携協定」を締結している。2021年9月よりMUJI新宿にフードドライブの常設窓口が設置されており、営業中であればいつでも持ち込み可能だ。(※6)

横浜

神奈川県横浜市も、フードドライブを積極的に実施している自治体である。横浜市の家庭ごみから排出される「手つかず食品」の量は、年間2万t。この廃棄食品量を減らす目的がある。(※7)

横浜市では、フードドライブを実施するために必要なアイテムを貸し出している。自治会や商店街、地域のイベントや学校行事など、さまざまな場所で手軽にフードドライブを実施できる環境を整備。フードドライブの実践方法についても、詳しく解説している。

大阪

大阪市では、2022年現在、19区にてフードドライブを実施中だ。各区役所はもちろん、一般市民にとってより身近なスーパーマーケットとも多数連携。レジ付近に回収場所が用意されているため、買いものついでに寄付ができる仕組みだ。(※8)

また寝屋川市では、フードバンクやフードドライブを通じて提供された食品や日用品を、必要な人が自由に利用できる公共冷蔵庫(コミュニティフリッジ)を設置。寝屋川市民たすけあいの会が運営している。(※9)

フードドライブで一般家庭のフードロス削減へ

フードロス問題は、企業や農家だけが関連する問題ではない。一般家庭から排出される手つかずの食品ごみも、まだまだ多いのが現状だ。フードドライブがきっかけで「食品の寄付」がより一般的になれば、廃棄される食べものの量も減っていくだろう。

フードドライブは、フードロスだけではなく、貧困問題やSDGsとの関連性も深い。身近な場所で実施されるフードドライブに、ぜひ注目してみよう。

※掲載している情報は、2022年6月23日時点のものです。

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