Photo by Kristyna Squared.one on Unsplash
スイスのジュネーブに、誰でも無料で使える地域の冷蔵庫が設置されている。あまった食材をシェアすることで、食品ロスを削減する目的がある。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
わたしたちの買い物が未来をつくる|NOMAが「ソラルナオイル」を選ぶワケ
スイスのジュネーブには、食品ロスを削減する取り組みとして“地域の冷蔵庫”が街中に設置されている。ここでは、誰でも自由に余った食材を置いたり、賞味期限が近づいたが食べる予定のない食品や食べきれないものを持ち込んだり、逆に無料で持ち帰ったりできる。
このプロジェクトは、「FREE-Go」というジュネーブの非営利団体が運営し、約1年前にコミュニティセンターの外に1台の冷蔵庫を設置する形で始まった。この冷蔵庫の登場で、2023年は3トンの食品ロスを削減できたそうだ。
現在、ジュネーブには4台の冷蔵庫が街中に置かれ、2023年末までに5台目の冷蔵庫が設置される予定だ。プログラムの運営には毎年約36,500ユーロ(約570万円)がかかるが、慈善団体と市政府による資金でまかなっている。
冷蔵庫に寄付される食材は多岐にわたるため、何が入るかわからない。家庭菜園からトマトを寄付したばかりのある人物は、「私たちには収穫量が多すぎる」と語り、この取り組みを称賛した。
健康と規制上の理由により、冷凍食品、開封済みの食品、調理済みの食事、アルコールは禁止されている。
「FREE-Go」は現在、住民がプログラムに参加しやすくなるよう、集合住宅での定期送迎の実験を行っている。 また、レストラン経営者が未使用食材の回収を呼びかけられるホットラインも設置した。
スイスでは、食べられる予定だった食品のうち、約3分の1が廃棄されていると推測される。これは、住民一人当たり年間約330kgに相当する。だが、「Free-Go」はその8割を回避できると伝える。
事実、この地域冷蔵庫に預けられた食材は、ほとんどの場合、寄付されたあと1時間以内に誰かの手にわたっているという。店やレストランから集められた食材が午前中に到着すると、待ち構える人々が回収していくのだ。
昨年寄付された食材のうち、受け取り手が現れず廃棄せざるを得なかったものはわずか約3パーセントにすぎなかった。
食品ロスは倫理的、経済的な問題であるだけでなく、環境的にも回避すべき課題だ。現在、スイスのほか、ドイツ、オーストリアなどでも、同様に食品をシェアする取り組みが行われているという。このような取り組みは、さらに世界各地に広がっていく必要があるだろう。
※参考
FREEGO
Free food: Geneva’s community pantries use the sharing economy to prevent food waste|euronews
ELEMINIST Recommends