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かつては食品ロス大国であった韓国。現在では生ごみのリサイクル率が95%と驚異的な数字を誇っている。リサイクル大国として注目が集まる韓国の、生ごみ処理やリサイクル事情を紹介しよう。
今西香月
環境&美容系フリーライター
慶應義塾大学 環境情報学部卒。SUNY Solar Energy Basics修了。 カリフォルニア&NY在住10年、現地での最新のサステナブル情報にアンテナを張ってライター活動中
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現在では世界トップレベルの生ごみリサイクル率を誇る韓国。その道のりは、2000年代に始まった。
1970年代頃から高度経済成長で都市化が進むと、工業化によって食品廃棄物が急増していった。1990年代後半になると、首都圏の埋立地からは悪臭がただよい、埋め立ての限界が近づいていたという。
そこで韓国政府は、1990年代後半から家庭ごみの有料化を導入するなど、ごみ問題を解決するための一連の施策に着手し始めた。しかし、埋立地の近隣住民が悪臭や環境汚染を懸念し、生ごみ搬入に対して抗議運動が発生。そのため、2005年に生ごみの埋立処分を禁止し、分別排出義務を国民に課す「生ごみ直接埋立禁止法」が制定された。
続いて、2013年には生ごみのコンポスト化が義務化され、専用の生分解性の袋を購入し、そこに入れて処分するようになった。海への投棄も禁止されている。またこれは、事業者に対しても同様で、食品ロスの削減が求められている。
この取り組みによって非常に大きな成果を上げた。生ごみのリサイクル率は、1995年の2%未満から現在の95%と驚くべき飛躍を遂げ、食品ロス大国から食品リサイクル大国に生まれ変わった。ソウルでは 2006年から3年連続で100%を達成している。
では、住民がどのように生ごみを処分するのか、具体的な方法を紹介しよう。
ひとつは、先に紹介した専用の生分解性の袋に入れて捨てる方法だ。袋はコンビニエンスストアやスーパーで購入でき、4人家族で月に6ドル(約830円)程度の費用がかかるという。集められた生ごみは、袋からのぞいてバイオマスや動物の飼料・肥料にリサイクルされる。これらの処理にかかる費用の約6割は、袋を販売したお金でまかなわれているとう。
また、マンションなどの集合住宅では、専用のごみ箱が設けられている場合もある。住民はRFIDと呼ばれるチップを機械で読み取り、生ごみを直接捨てる。すると機械が生ごみの量を測り、その量に応じて必要な料金を支払う仕組みだ。
このような従量課金制度にしたメリットは、ごみの収集コストを削減できる点にある。住民の多くが生ごみ処理にかかるお金を節約しようと、生ごみを少なくし、水分を抜いてから処分しているそうだ。実際、ソウル市内では専用のごみ箱の導入で食品廃棄物が6年間で47,000トン削減されたと伝えられている。
生ごみ自体の量は減っていない課題は残るが、リサイクル率向上の観点から日本が学べる点は多そうだ。
※参考
South Korea has almost zero food waste. Here’s what the US can learn|The guardian
The Country Winning The Battle On Food Waste|Huff post
参考資料2 韓国の生ごみリサイクルに関する情報 - 環境省
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