ホテル業界におけるSDGsとは? 取り組み事例や選び方を解説

HOTELの外観のイメージ

Photo by jens schwan

訪日外国人旅行者の増加にともなう観光産業の拡大によって、ホテルのSDGs取り組みが注目されている。本記事では、ホテルのSDGs取り組みを分野別に紹介。省エネ・プラスチック削減・地産地消・雇用など、具体的な事例や環境配慮型ホテルを選ぶ際のポイントも解説する。

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2026.01.30

ホテル業界におけるSDGsとは

ホテルの部屋のベッドのイメージ

Photo by Chastity Cortijo on Unsplash

ホテルとSDGsの関係

ホテル業界は、観光産業の中核として経済活動を支える一方で、エネルギー消費や廃棄物排出といった環境負荷をともなう産業である。また、地域雇用の創出や文化保全にも関わるため、環境・社会・経済の3側面の交差点として位置づけられている。

とくに関係の深いSDGs目標

ホテル業界と関連性が高いSDGs目標には、目標7・8・11・12・13・15がある。それぞれの内容は以下のとおりだ。

目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」では、すべての人が手頃な価格で近代的なエネルギーを使えることや、環境にやさしいクリーンな再生可能エネルギーを増やすことを掲げている。

目標8「働きがいも経済成長も」では、環境を守り持続可能な経済成長を進めること、すべての人に働きがいと十分な収入のある仕事につくことを目指している。

目標11「住み続けられるまちづくりを」でポイントとしているのは、安全で災害に強いまちや人々の住む場所をつくること、災害などがあっても早く回復できる、持続可能なまちづくりをすること。

目標12「つくる責任 つかう責任」で掲げているのは、持続可能な方法で生産し、責任を持って消費することだ。

目標13「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動とその影響を減らすための具体的な対策を考え、いますぐ行動することが求められている。

そして目標15「陸の豊かさも守ろう」では、陸の生態系を守り再生すること、陸の生態系を持続可能な方法で利用すること、森林を管理して砂漠化を防ぐこと、土地が悪くなることをやめて再生すること、たくさんの種類の生き物がつながって生きている多様性を守ることなどが掲げられている(※1)。

なぜいま「ホテルのSDGsへの取り組み」が注目されるのか

飛行機のイメージ

Photo by Eric AK on Unsplash

観光庁によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4268万人を記録し過去最多となった(※2)。訪日外国人旅行者の増加にともなう観光産業の拡大によって、資源消費や地域への負荷が課題となっている。

たとえば、観光客の急増により、特定の観光地に許容範囲を超える旅行者が押し寄せることで、地域住民の生活や自然環境に悪影響を与える「オーバーツーリズム」。観光産業の拡大は地域経済にプラスの影響をもたらす一方で、交通渋滞、ごみのポイ捨てによる自然環境破壊、地域住民のプライバシーの侵害、騒音、人混みによる景観の悪化などの悪影響が生じているのだ。

また、ホテル業界は、とくにエネルギーと水資源の大量消費が特徴的だ。給湯用や空調動力用、冷暖房用にエネルギーを要するほか、清掃・洗濯プロセスでは大量の水が使用される。観光客の増加は地域の環境・社会に多大な負荷をかける要因となり、そのため、持続可能な観光の実現に向けて、業界全体でSDGsへの取り組みが求められているのだ。

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SDGsが経営課題になった背景

SDGsが経営課題になった背景にはいくつかの要因がある。まず挙げられるのが、ESG投資の拡大により、環境・社会・ガバナンスへの対応が企業評価の指標として重視されるようになっていること。

また、宿泊客の環境意識の高まりや、インバウンド需要における持続可能性への関心も、ホテル業界がSDGsに取り組む背景となっている。

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ホテルのSDGsへの取り組みの主な分野

ホテルのSDGsへの取り組みの主な分野は以下の3つ。

環境(Environment)

ソーラーパネルのイメージ

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ホテルにおける環境面の取り組みとしては、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用が挙げられる。そのほか、水資源の効率的管理、廃棄物の削減とリサイクル推進などがある。

社会(Social)

社会面では、多様な人材の雇用促進やダイバーシティ&インクルージョンの推進、働きやすい職場環境の整備、地域社会への貢献活動などが実施されている。

経済(Governance)

経済・ガバナンス面では、持続可能な経営方針の策定、透明性の高い情報開示、ステークホルダーとの対話などが重要な取り組みとして位置づけられている。

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【分野別】SDGsに取り組むホテルの具体事例

ここからは実際にSDGsに取り組むホテルの具体的な事例を分野別に紹介する。

省エネルギー・脱炭素の取り組み

事例01|帝国ホテル

帝国ホテルは、2023年10月から帝国ホテル東京、帝国ホテル大阪において、CO2フリー電力の導入を開始。さらに上高地帝国ホテルでは2022年4月から、カーボンニュートラルでの運営を開始している。この取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」および目標13「気候変動に具体的な対策を」に貢献するものである(※3)。

また、「サクラクオリティ An ESG Practice」認証を取得しており、国際的なSDGs評価基準にも対応している(※4)。

事例02|ホテルニューアワジグループ

ホテルニューアワジグループでは、全国18箇所で稼働する太陽光発電所における再生可能エネルギー事業(年間13,200トン超相当のCO2削減量)に加え、神戸ベイシェラトンホテルでの自家温泉の排温泉水を活用したヒートポンプによる再生可能エネルギーの活用など、環境・気候変動への取組みを推進している(※5)。

この取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や目標11「住み続けられるまちづくりを」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」など多くの目標に貢献している。

プラスチック削減・資源循環

木材でできた歯ブラシのイメージ

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事例01|ロイヤルパークホテルズ

ロイヤルパークホテルズは、客室およびレストランにおいて生分解性ストローや代替素材製品の導入を進め、使い捨てプラスチックの削減に取り組んでいる。また、ホテルで発生した使用済み食用油を回収し、持続可能な航空燃料(SAF)へ再利用する「Fry to Fly Project」に参画している(※6)。

これらは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」および目標14「海の豊かさを守ろう」、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」に寄与している。

事例02|パークホテル東京

パークホテル東京では、竹や木材など持続可能な素材でつくられたアメニティを取り入れることで、プラスチックゼロを目指している。また、客室用のミネラルウォーターは、脱プラスチックの観点から、地球環境に配慮した素材といわれているアルミ缶を採用(※7)。

この取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標15「陸の豊かさも守ろう」に貢献している。

食と地域連携(フードロス対策や地産地消)

ホテルの朝ごはんのイメージ

Photo by Dan Gold on Unsplash

事例01|奈良ホテル

奈良ホテルは、レストランや宴会で発生する食品廃棄物の削減に取り組むとともに、食品残渣の飼料化・資源化を通じた循環型社会の実現を進めている。また、奈良県産食材の積極的な活用や、地域文化・自然と調和したメニュー開発を行い、観光と地域経済の共存を目指している(※8)。

これらの取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標11「住み続けられるまちづくりを」に貢献している。

事例02|ホテル日航大阪

ホテル日航大阪は、農林水産省が推進する食品ロス削減運動に参加しているほか、宴会において「3010運動」(宴会開始後30分と終了前10分は食事を楽しむ時間とし、食べ残しを減らす取り組み)を実施している(※9)。

この取り組みは、SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」に貢献するものである。

雇用・人権・ダイバーシティ

多様性のイメージ

Photo by Hannah Busing on Unsplash

事例01|日本ホテル株式会社(JR東日本ホテルズ)

日本ホテル株式会社は、全社的にSDGs推進体制を構築し、その中で「ダイバーシティ&インクルージョン」および「働きがいのある職場づくり」を重要テーマとして掲げている。年齢・性別・国籍を問わない雇用、多様な働き方の推進、人権への配慮を明文化した方針を策定し、ホテル業界における持続可能な雇用モデルを目指している(※10)。

これらの取り組みは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標8「働きがいも経済成長も」、目標10「人や国の不平等をなくそう」に貢献する。

事例02|スーパーホテル

スーパーホテルは、女性活躍推進法に基づく認定制度「えるぼし」で三ツ星を獲得。結婚や出産を経ても働き続けられる職場環境を整備し、女性管理職を目指す女性を支援している。また、グローバル化に対応するため海外人材の採用にも注力しており、語学やおもてなしを身につける研修を実施。互いの文化へのリスペクトを大切にしながら、海外人材が日本で活躍するサポートに取り組んでいる(※11)。

この取り組みは、SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」および目標8「働きがいも経済成長も」に貢献する。

サステナビリティイベント・環境意識啓発

手に小さな植物を持っているイメージ

Photo by Noah Buscher on Unsplash

事例01|グランビスタホテル&リゾート

グランビスタホテル&リゾートは、毎年7月7日の「クールアース・デー」に合わせた環境啓発イベントを実施。さらに和蠟燭を使ったキャンドルナイトを開催し、地域の伝統産業と連携した環境意識向上の取り組みを行っている(※12)。

この取り組みは、SDGs目標13「気候変動に具体的な対策を」および目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」に寄与する。

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SDGsに取り組むホテルを選ぶメリット

宿泊者にとってのメリット

SDGsに取り組むホテルを選ぶことで、宿泊者はただの旅行や観光ではなく、環境や社会に配慮した消費行動を実践できる。また、持続可能性を重視したサービスや体験を通じて、価値ある宿泊体験・消費体験を得ることができるというメリットも挙げられる。

ホテル側のメリット

ホテルにとっては、SDGsへの取り組みがブランド価値の向上につながる。また、省エネルギーや資源の効率的利用は、長期的なコスト削減にも寄与するというメリットがある。

地域社会への影響

ホテルのSDGs活動は、地域雇用の創出、地元経済の活性化、環境保全といった形で地域社会にも好影響を与える。持続可能な観光の実現に向けて、ホテルが果たす役割はとても大きい。

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SDGsウォッシュにならないための見極め方

表面的な取り組みの特徴

「SDGsウォッシュ」とは、実態がほとんど伴っていないのに、SDGsに取り組んでいる“ように見せる”こと。このような表面的な取り組みは、具体的な実績や数値が示されず、単にSDGsのロゴや文言を掲げるだけにとどまることが多い。

実効性のない取り組みは、消費者の信頼を損なう恐れがあるため、ホテル側はSDGsウォッシュにならないよう注意が必要だ。

信頼できるホテルの判断軸

信頼できるホテルを見極めるには、具体的な数値目標、実績データ、明文化された方針の公開が重要な判断軸となる。また、第三者機関による評価や認証の取得状況も参考にするといいだろう。

認証制度の活用

エコラベルや環境認証制度は、ホテルの環境配慮の取り組みを客観的に評価する指標として活用できる。国際的な認証制度や、国内の公的機関による認証を取得しているホテルは、一定の信頼性があると判断できるはずだ。

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宿泊者として私たちにできること

これまでの内容を踏まえて、宿泊者として私たちにできることは何があるのか考えていこう。

行動で支えるSDGs

ホテルのベッドのイメージ

Photo by Dave Photoz on Unsplash

まずできることとして挙げられるのが、宿泊時の行動だ。

リネン交換の頻度を減らしたり、、客室内での節電を心がけたり、ごみの分別に協力したりと、ひとつ一つの行動を通じて、ホテルのSDGs活動を支えることができる。

情報を選ぶ力

ホテルのSDGs取り組みを評価する際には、ホテルの公式サイトやサステナビリティレポートなど、一次情報を確認する習慣が大切である。信頼できる情報源から情報を得ることで、適切な選択が可能になるはずだ。

観光のあり方を考える

旅行者のイメージ

Photo by Felix Rostig on Unsplash

そしてもうひとつ大切なのが、観光のあり方そのものを考えることだ。環境や地域社会にどのような影響があるのかを意識しながら旅をすることが、責任ある旅行(サステナブルツーリズム)につながっていく。

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ホテル選びの新基準としてのSDGs

ESG投資の拡大や消費者意識の変化により、環境や社会への配慮は、経営に欠かせない要素となっている。ホテルのSDGsへの取り組みも、一時的な流行ではなく、企業の社会的責任として定着しつつある。これからのホテル選びでは、価格や立地に加え、持続可能性という視点も、選択のひとつとして意識されていくはずだ。宿泊者一人ひとりが情報を見極め、行動を通じて持続可能な観光を支えていくことが、今後ますます重要になっていくだろう。

※掲載している情報は、2026年1月30日時点のものです。

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