一人ひとりの個性がたしかなアクションに 「トリバグループ」が本気で取り組んだエシカルプロジェクト【後編】

調理中のSUPERIORITYBURGERスタッフ
飲食業界に新しい風 トリバグループが大切にする"等身大"のエシカル

都内を中心に全7ブランド9店舗の飲食店を展開するトリバコーヒーグループ。人と環境にやさしいお店づくりを目指し、各店舗が独自のアクションを実践している。業態も客層もまるで違うトリバコーヒーグループの店長が、ユニークな視点で取り組みへの思いを綴るコラム連載。今回は、エシカルプロジェクト振り返りの後編をお届けする。

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2022.06.28
Promotion: 株式会社バードフェザー・ノブ

エシカルプロジェクト開始後の変化とは

「エシカルプロジェクト」と銘打ち、店舗の脱プラスチックや生ごみの削減など、他の飲食店に先駆けたエシカル化を推し進める「トリバグループ」。

環境負荷をかけないお店のあり方を各店ごとにまとめた「エシカル宣言」の発表後も、自分たちのできることに向き合ってきた。前例のない取り組みの裏にはどのような努力があったのか。そして店長たちが見据える未来とは?

前編に続き、今回登場するのは真さか・はまの屋パーラー 後楽園店・SUPERIORITY BURGER(スペリオリティバーガー)の店長。プロジェクト開始後に起きたお店の変化や今後の展望などを語ってもらった。

真さか

みんなで決めたアクションを発信する仕組みを

及川さん(真さか店長):エシカル宣言の制作を通して、アクションを起こすことへの難しさを感じました。いまはアルバイトのスタッフも積極的に取り組んでくれていますが、内容を理解してもらうのに時間がかかったのは事実です。

真さかにはヴィーガンのスタッフが何人も働いていて、取り組みの内容によっては意見がぶつかることもあります。ただ、アクションの意味を丁寧に伝えるようにした結果、いまでは意義を理解したうえで行動してくれるようになりました。スタッフからは「次はこんなことをしてみたい」という提案が増えてきていますね。

真さかで導入している「生分解性100%のラップ 土に還るラップ」

スタッフの提案から導入を決めた「生分解性100%のラップ 土に還るラップ」。一人ひとりが意見を出し合いながら、いまできることに取り組む

これからはそれぞれが自発的に行動できるよう変えていきたいです。スタッフ同士で話し合いながら、エシカルなアクションを増やしていく。そして、SNSなどを通して取り組みを発信し改善していくサイクルを確立しようと思っています。

接客中の「真さか」スタッフ

「スタッフと肩を組みながらワンチームでがんばりたい」と及川さん。誰もが気軽に食事を楽しめるお店を目指し、一人ひとりのオープンマインドな姿勢を大切にしているという

いい意味で、スタッフとお客さまからのプレッシャーを感じています。引き続き「宣言の内容を実践できているか」「次はどんなアクションを起こすのか」という意識を持ちながら、エシカルな行動をとるようにしていきます。

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はまの屋パーラー 後楽園店

「じつはこれ、ヴィーガンなんですよ!」という驚きを

西原晴美さん(はまの屋 後楽園店店長):正直にいうと、エシカルについてまったく知らない状況からのスタート。はまの屋では、とにかくごみを減らすことが一番の課題でした。お客さまがたくさんいらして、売れれば売れるほどパン耳のごみは比例して増えていきます。「耳つきで食べたい」という方も稀にいらっしゃいますが、本当にわずかです。

スタッフたちと話すなかで、「ディップをつくる」「耳を落とさず提供する」「都度お客さまにうかがう」などたくさんの案が出ました。そしてようやく、パン粉にするという結論に辿り着いた。グループ内の他店舗でも使えるという理由でしたが、使い切れないほどパンの耳は毎日出るので、お客さまにもお譲りしています。

はまの屋後楽園店で使用しているパン粉

西原さん自身も、ときどき自宅に持ち帰って料理に使っているという。じっくりと発酵させたパンからつくられているため香りも豊かだ

コロナが落ち着いてきてお店が忙しくなってくると、パンの耳は増える一方、手をかける時間がないという事態に。でも、最近ではパン粉にしていない状態でも喜んでもらえるので、そのままお渡しすることもあります。これだけで一日1〜2kgのごみが減らせているんです。

お客さまからは「こんなふうにして食べたよ」といううれしい報告も聞けて、いいこと尽くめ。そういう会話のなかで、最初は言われてやっていたスタッフも、いつの間にか自らパン粉をつくっておいてくれるようになりました。ほんとうにいい連鎖です。

接客中のはまの屋後楽園店店長 西原さん

パン粉を渡す際には、「おいしかったらまた使ってくださいね」「次は容器を持参いただけるとありがたいです」と伝えるようにしている。いつしか、容器を持ってきてくれるお客さんも増えてきた

スタッフに話すときは、ネガティブな感じに受け取られないように気をつけています。なぜそうするのかという背景も理解してほしいので、なぜごみを減らすのかをだんだん掘り下げて話していけるといいと思っています。興味のないスタッフもいますが、長い目で見て伝えていきたいと思います。

はまの屋でプラントベース料理を提供するのは難しいと思っていましたが、ほかの店舗の取り組みを見ているうちに、「できるかも」と思うようになってきています。プリンやカレーなど、「じつはこれ、ヴィーガン料理なんですよ」と、びっくりさせたいという欲が少しずつ湧いていますね。

振り返ってみると「エシカルって何?」という状態から、だいぶ成長したなと思います。まだまだ発展途上ですが、仕事としてやっていたものが、だんだん自分の生活にも取り入れるようになってきています。

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SUPERIORITY BURGER

個性を生かしたコミュニケーションを大切に

鈴木将也さん(SUPERIORITY BURGER店長):もともとビニールやプラスチックを使用した梱包材は少なかったとはいえ、プロジェクト開始後は徹底的に見直しました。ただ、原宿店の時代から当たり前にやっていたことを変えるのは大変でしたね。

最近では、デリバリーを利用するお客さまからポジティブな反応をいただけるようになったと思います。また資材を買う前には、グループ内の店舗に余っているものはないか、相談できる環境になったのもよかった点です。

接客中の「SUPERIORITY BURGER」スタッフ

マニュアルや貼り紙でマイバッグの持参を呼びかけるのではなく、お客さんとの会話を通してその必要性を伝えている

スタッフには「エシカルな取り組みを、お客さまとのコミュニケーションを生む手段として考えてほしい」と伝えています。ルール化するというよりも、一人ひとりの言葉や自発性を生かしてコミュニケーションできるお店にしたいんです。

半分にカットされたハンバーガー

ニューヨーク本店から届くレシピはどれも緻密だ。スタッフ一人ひとりが手間ひまをかけ、「ここでしか食べられない味」が生まれる

私たちには「毎日フレッシュな商品を提供する」という目標があります。もちろん衛生管理をしたうえで、食材や材料を無駄にしないノウハウを蓄積させながら今後も取り組んでいきたいです。

私自身もふだんの買い物やお店選びなどで、それが環境にやさしい選択かどうかを考える機会が断然増えました。このプロジェクトのおかげで、環境問題や社会課題に対して当事者意識を持つことができたと感じています。

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ビジネスのエシカル化は、事業全体にポジティブで大きな変化を生む−−。これは、トリバグループが本気で取り組んだエシカルプロジェクトから見えてきた事実だ。お客さん、スタッフ、地球をつなぐあたたかいコミュニケーションが生まれ、ビジネスの拡大とともにその輪が広がっていく。まさに、未来のビジネスの姿といえるだろう。

トリバコーヒーグループのInstagramアカウントはこちらから

トリバコーヒー 銀座店
https://www.instagram.com/toriba_coffee/
ヴィーガン居酒屋 真さか
https://www.instagram.com/vegan_izakaya_masaka/
SUPERIORITY BURGER JAPAN
https://www.instagram.com/superiorityburgerjapan/
明天好好
https://www.instagram.com/mingtenghaohao/
Whitely
https://www.instagram.com/whitely_by_toriba_coffee/
フラッグスカフェ
https://www.instagram.com/flagscafe_funabashi/

はまの屋パーラー 日比谷店
https://www.instagram.com/hamanoya_hibiya/
はまの屋パーラー 有楽町店
https://www.instagram.com/hamanoyaparlor/
はまの屋パーラー 渋谷店
https://www.instagram.com/hamanoya_shibuya/
はまの屋パーラー 後楽園店
https://www.instagram.com/hamanoya_korakuen/

※掲載している情報は、2022年6月28日時点のものです。

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