「いい意味で期待を裏切りたい」 ヴィーガン居酒屋・真さかが目指す、誰もが楽しめる店づくり

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飲食業界に新しい風 トリバグループが大切にする"等身大"のエシカル

都内を中心に全7ブランド9店舗の飲食店を展開するトリバコーヒーグループ。人と環境にやさしいお店づくりを目指し、各店舗が独自のアクションを実践している。 業態も客層もまるで違うトリバコーヒーグループの店長が、ユニークな視点で取り組みへの思いを綴るコラム連載。第2回はヴィーガン居酒屋「真さか」の及川さんが登場する。

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日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2021.11.15
Promotion: 株式会社バードフェザー・ノブ

ヴィーガンへの敷居を下げる「真さか」の店づくり

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日本でも徐々に浸透しはじめた「ヴィーガン食」。一方で、ストイックでとっつきにくい印象で語られることも多い。そんな敷居の高さを覆すのが、渋谷のヴィーガン居酒屋「真さか」だ。

昭和を彷彿させるレンガ造りの店構え、のれんをくぐれば「いらっしゃいませ!」と店員の活気ある声。壁には良心的な価格のメニュー表がずらりと並ぶ。すべてが私たちの慣れ親しんだ居酒屋のそれだ。

しかし客同士の会話に聞き耳を立ててみると、店内の至るところでヴィーガンの話題が飛び交っているのに気がつく。いつもの唐揚げや餃子と見紛うほどの料理に舌鼓を打ちながら、地球の未来を語り合う。

そこには、一般的にイメージされがちなヴィーガンへのとっつきにくさのかけらもない。ヴィーガンの人もそうでない人も、一緒になってその雰囲気を楽しんでいるのだ。どのようにして真さかは、誰もが気軽に楽しめるお店をつくりあげていったのだろうか。そして店づくりで大切にしていることとは。

トリバグループ全9店舗の店長たちが、エコフレンドリーなお店づくりへの思いを綴るコラム連載(全9回)。第2回はヴィーガン居酒屋「真さか」店長 及川さんが登場する。

及川近影

今回のコラムを綴ってくれる真さか店長の及川さん。系列店の明天好好から異動し、今年9月に真さかの店長に。いつでも笑顔を絶やさず、お店づくりに邁進している

「ヴィーガンは難しい」 だからこそ、どんな人も気軽に楽しめるお店に

真さかに足を運んでくれるお客さまの多くがエシカル意識の高い方と海外の方です。共通点は植物性の食事を求めていること。新発売のエシカル商品やその人が参加しているボランティア団体の取り組みなど、接客していて教わることもたくさんあります。

反面、日本にはヴィーガンの人が安心して食事できる飲食店がまだまだ少ないと感じています。やはりヴィーガン料理というと、価格帯が比較的高めなメニューが多かったり、気軽に入れる場所が少なかったりと「ヴィーガンは敷居が高い」というイメージを持つ人も多い印象です。

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真さかで人気の「唐揚」(4個/税込600円)、「餃子」(6個/税込500円)、「サワーレモン」(税込650円)

だからこそ居酒屋らしさは大切にしながら、いい意味で期待を裏切りたいんです。満足感たっぷりのヴィーガン唐揚げ、卵不使用のタルタルソース、そして手頃な価格設定……いい材料を選んで仕入れているので決して原価は安くはありませんし、料理の仕込みにも時間がかかります。

それでも、スタッフ一人ひとりが手間を惜しまず取り組んでくれています。誰でも気軽に食事を楽しめるお店を目指して、日々試行錯誤をしながらお店づくりに取り組んでいます。

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「肉味噌もやし」(税込600円)や「春巻」(税込600円)も、動物性の食材を全く使っていないとは思わせない満足感で人気がある

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定食は唐揚げか餃子、ミックスの3種。唐揚げには豊富なタレのなから好きなものを選べる。ライスは酵素玄米にも無料で変更可能だ。写真は「唐揚げ定食」(税込950円)

新しい考え方にもオープン 意識の高いスタッフに支えられる日々

真さかで働くスタッフの半数以上がヴィーガン。新しくエシカルな取り組みを導入する際もやらされているではなく、“やりたい”と気持ちよく受け入れてくれています。ふだんの生活から行動に移しているスタッフが多く、エシカルな考え方が基本になっているので抵抗感がないと思うんです。

トリバグループでは生分解性100%のラップを全店舗で導入予定なんですが、これも一人のスタッフの提案がきっかけです。従来のラップとは扱いが違うので初めのうちは戸惑いがありましたが、「地球にやさしいから、しょうがないですね」と笑いながら話してくれたのが印象的でした。

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スタッフの一人が自宅で使っていたのをきっかけに採用されたEARTH FRIENDLY SHOPの「生分解性100% 土に還るラップ」

使いづらいなら、使いやすくするために各々が意見を出し合い改善策を見つけようとしてくれます。そこに意見の否定はなく、環境問題と真面目に向き合う意識の高いスタッフに支えられているんだなと認識しました。

僕がリーダーシップを発揮してお店を引っ張っていくよりも、スタッフと肩を組みながらワンチームでお店をつくる。一人ひとりのオープンマインドな姿勢があってこそ、誰もが気軽に楽しめるというお店の雰囲気が生まれるんだと思います。

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黄色と赤を基調とした店内に入り、明るい笑顔の店員さんに迎えられると自然と心が軽くなる

マイ箸、マイタッパー歓迎 生ごみ削減への取り組み

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お店の入り口に貼り出されたマイ箸歓迎のお知らせ

真さかではそんな仲間たちと一緒に、エシカルな取り組みを進めています。去年の10月から、トリバグループの各店舗が環境に配慮したお店づくりを推進する「エシカルプロジェクト」がはじまりました。そのときに改めて「なぜヴィーガンが重要なのか」と考えていくなかで、私たちがとくに身近な問題として感じたのは気候危機です。

そこで、テイクアウト容器の脱プラスチックやマイ箸、マイタッパーの歓迎、店内でのペットボトル廃止など、お客さまと一緒にできることからコツコツと進めてきました。できるだけ無駄を出さないように、新メニューの豆腐干絲の冷拌麺(とうふかんすのれいばんめん)には、本来捨ててしまうピーマンの種まで使っています。

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ピーマンの種の苦味が隠し味の新メニュー「豆腐干絲の冷拌麺」(税込450円)

生ごみの処理も敏感に捉えています。食事を提供する以上、やはり多くのごみが発生してしまうものです。効率性を追求すればするほど、本来使える部分も切り落としてしまうことも。そうすれば、自然とごみは増えていきます。

ただ真さかでは、一般的な飲食店に比べて明らかに生ごみを減らせているという手応えがあるんです。下ごしらえや調理の過程でなるべく生ごみが出ないよう、スタッフ一人ひとりがしっかり手間ひまをかけてくれています。たとえばどうしても出てしまう野菜クズは、まかない用の味噌汁の具材として使っています。

また効率性重視で一度に大量の仕込みをするのではなく、その日に提供する分を少量ずつ仕込む。そうすれば商品が腐ったり、食品ロスが出てしまうこともほとんどありません。その分、注文を受けた際にストックがないということもたまにありますが、その理由をお客様にお伝えすると「すてきな取り組みですね!」と、逆に喜んで話を聞いてくださる方もたくさんいらっしゃるんです。

取り引き先の八百屋さんにはビニールではなく新聞紙で梱包してもらったり、外部の方の協力にも支えられています。

お店から出る生ごみをゼロにするのは難しいとは思いますが、まずはできることをひたむきに続けていって、年内には現在出している生ごみ量の3割削減を目指します。妥協せずに理想に近づけていきたいです。

エシカルプロジェクトを通して、自分たちのお店だけではなく取引先やお客さま、ほかの飲食店など、関わる人すべての人にインパクトを与えていきたいと思っています。

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マイ容器を持参できない場合でも、サトウキビの絞りかすの「バガス」で作られた容器(写真右)など、地球に優しい素材のテイクアウト資材が揃っている

エシカルな取り組みをストーリーにして伝える意味

お店として取り組んでいる細かいことは、お客さまには届きにくいと思います。そこで気軽に情報発信ができる媒体として、Instagramを通して真さかを身近に感じてほしいんです。ただ「こんな取り組みをしています」と伝えるのではなく、その問題に対してどんな背景があって取り組んでいるのかを伝えるほうを大切にしています。

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「そもそもヴィーガンとは何なのか」を説明し、ヴィーガンに対する思いを綴った投稿には、感謝や共感のコメントが寄せられた

どんな変化が生まれるのかをストーリーとして伝えていくことで、共感してくれる人が増えると感じています。最近は登録してくださる方が増え、『インスタ見て遊びに来ました!』なんて方も少なくありません。

スタッフ各々が真剣に考えて、各々の視点で、誰にでも分かりやすいストーリーにすることを心がけています。商品の紹介や真さかのエコアクションなどを毎日投稿していますので、みなさんに見ていただきたいです。

自然とエシカルな交流が生まれる場所になるために

真さかにはヴィーガンな人やエシカルな人たちが自然と集まってきます。お客さまとの対話から新しいことを学ぶことも多いですし、自分自身ももっと勉強しなくてはと掻き立てられます。エシカルやヴィーガンというのをきっかけにお客さま同士で自然と交流が生まれる、という光景も目にするのはとてもうれしい瞬間です。

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フレンドリーな店員さんとヴィーガンの話をきっかけにエシカルの話題に花が咲く

居酒屋だからこそ、気取らずエシカルな交流もできる楽しいお店です。ヴィーガンの人もヴィーガンではない方も誰もがふらっと気軽に立ち寄れて、特製サワーレモンやヴィーガンメニューを片手に食事もエシカルも楽しめる。そんな最高のヴィーガン居酒屋を目指しています。

第3回は葉山のヴィーガンカフェ「Whitely by TORIBA COFFEE」の店長に、エシカルな取り組みを進めるうえでの苦労やその手応えなどを語ってもらう。

「真さか」からのお知らせ

持参したマイタッパーに入った料理を撮影し、Instagramで真さかをタグ付けのうえで投稿してくれた方に小皿一品サービスします(期間:2021年末まで)。

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隣接する「はまの屋パーラー渋谷店」のやヴィーガンカツサンド(税込830円)もテイクアウトできる。10cm×10cmくらいの容器だとぴったり入るそうだ。

居酒屋 真さか

電話番号

03-5422-3020

住所

〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町15-1

営業時間

月、火、水、木、金、土、日、祝 11:30 ~ 22:00

料理 ラストオーダー 21:00 ドリンク ラストオーダー 22:00

トリバコーヒーグループのInstagramアカウントはこちらから

トリバコーヒー 銀座店
https://www.instagram.com/toriba_coffee/
SUPERIORITY BURGER JAPAN
https://www.instagram.com/superiorityburgerjapan/
はまの屋パーラー 日比谷店
https://www.instagram.com/hamanoya_hibiya/
はまの屋パーラー 有楽町店
https://www.instagram.com/hamanoyaparlor/
はまの屋パーラー 渋谷店
https://www.instagram.com/hamanoya_shibuya/
明天好好
https://www.instagram.com/mingtenghaohao/
Whitely
https://www.instagram.com/whitely_by_toriba_coffee/
フラッグスカフェ
https://www.instagram.com/flagscafe_funabashi/

※掲載している情報は、2021年11月15日時点のものです。

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