人と人、過去と未来を「つなげる」老舗喫茶店、はまの屋パーラーのエシカルのかたち

はまの屋パーラー後楽園店の西原晴美さん
飲食業界に新しい風 トリバグループが大切にする"等身大"のエシカル

都内を中心に全7ブランド9店舗の飲食店を展開するトリバコーヒーグループ。人と環境にやさしいお店づくりを目指し、各店舗が独自のアクションを実践している。 業態も客層もまるで違うトリバコーヒーグループの店長が、ユニークな視点で取り組みへの思いを綴るコラム連載。第4回は、はまの屋パーラー後楽園店の西原晴美さんに登場いただく。

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2022.03.29
Promotion: 株式会社バードフェザーノブ

世代を超えて受け継がれる古き良き喫茶の名店

はまの屋パーラー後楽園店店内観

鼻をくすぐるコーヒーの香りに、アナログレコードから流れるジャズ。ずらりと並んだベルベット地のソファが、あらゆる年代の人を垣根なく受け入れてくれる街の喫茶店。「はまの屋パーラー」は老舗の喫茶店でありながら、エシカルな取り組みを率先して進めている稀有な店だ。

はまの屋パーラーには珍しい歴史がある。前身は1966年創業、有楽町ビルの地下にあった老舗喫茶店「はまの屋」だ。場所柄、多くの会社員の憩いの場として愛され、オーナー夫妻のつくるサンドイッチが人気を博した。その後2011年12月に閉店し、45年の歴史に幕を下ろした。

長きにわたり愛され続け、ビルのシンボルともなっていた名店。そんな大切な店をどうにか再生できないかというビルオーナーの想いを受けて、トリバコーヒーグループが名乗りをあげた。看板メニューの「玉子サンドゥイッチ」のレシピを先代から受け継ぎ、純喫茶の風情をそのままに、いまの「はまの屋パーラー」をオープンさせたのだ。

老舗でありながらエシカルな店づくりにも精力的に取り組む、古くて新しい「はまの屋パーラー」の施策とは。トリバグループ全9店舗の店長たちが、エコフレンドリーなお店づくりへの思いを綴るコラム連載(全9回)。第4回は、はまの屋パーラー後楽園店店長の西原さんにご登場いただく。

はまの屋パーラー後楽園店店長

今回のコラムを綴っていただく店長の西原さん。日比谷店、有楽町店を経て昨年12月オープンの後楽園店店長に。住宅街がほど近い土地柄、定期的に足を運ばれるお客さまも多く、積極的にコミュニケーションを取りながら店づくりをしている

愛され続ける名店ならではの“気付き”から“取り組み”へ

はまの屋パーラーは現在4店舗あります。提供しているサンドイッチやコーヒーは同じなのですが、各店舗ごとに少しずつカラーが違います。有楽町店は食事や仕事の合間にお一人でいらっしゃるサラリーマンやOLさんが中心です。日比谷店は帝国ホテルプラザの中にあり、近隣に劇場が多く、観劇の前後にご利用される方が多いようです。両店とも近いので、有楽町では一人でサッと、日比谷ではお友達とゆっくりお話しをする、というように使い分ける方もいます。

渋谷店はパルコの地下にありますので、10~20代の女性が多く、他店とはだいぶ雰囲気が違います。昨年12月にオープンした後楽園店は、近隣にお住まいの方やお勤めの方が中心です。他の3店舗より住宅地が多いからでしょうか。21時まで営業していますので、お仕事帰りにサンドイッチをご注文いただく方も少なくないです。

玉子サンドイッチ

先代から受け継がれている看板メニュー「玉子・サンドゥイッチ」(800円)。玉子サラダではなく分厚い玉子焼きをはさんでいる

私たちは先代から受け継いだサンドイッチのレシピをどの店舗でも使用し、同じ物をお出しできるように務めています。いつご来店されても「ああ、この味、このサンドイッチ」と言っていただけるようにスタッフにも教育しています。

そんな中で「このおいしい玉子サンドの玉子を使ってプリンをつくってみよう!」「そもそもこの玉子って、どう育った鶏のもの?」とか、「ごみを減らすにはどうしたらいい?」「はまの屋から出る廃棄のほとんどはパンの耳だから、まずはそこだね」と、みんなで変えていくべき点を話し合い、取り組みにつなげています。

はまの屋プリン

「玉子サンドゥイッチ」という大黒柱のあるお店だからこそつくることのできる味。卵そのものを味わうレシピにしたという「はまの屋プリン」(税込520円)

例えば、当たり前にお出ししていたおしぼりも、ドリンクだけの方や必要ないと言ってくださる方にはお出ししません。使い捨てのストローもやめました。それに気付いてくださるお客さまにお店の取り組みをお話しすると、いいねと賛同してくださいます。

何のために私たちがサービスの形を変えているのかお話ししてみると、お客さまも協力してくださいます。もち ろん同じ考えでない方も多くいらっしゃると思います。そういった方々が不快に思われないように注意しながら継続していきたいです。

相模原市の井上養鶏場の卵

サンドイッチやプリンに使用されている卵は、神奈川県・相模原市の井上養鶏場のもの。平飼い飼育(ケージフリー)で鶏たちが自由に走り回って暮らす、アニマルウェルフェアに配慮された養鶏場だ

はまの屋パーラー後楽園店テイクアウト

テイクアウトカップをコンポストできるものに変更したことをお伝えすると「それはいいね」と賛同してくれるお客さまもいるそう。気軽に、でも確実に伝えていくことを忘れない

はまの屋パーラーの取り組み

はまの屋パーラーで出る廃棄の多くはパンの端っことパンの耳です。そこでまずはパンから何かしなければと、いろいろな策を考えました。ラスクはどうか、ディップをつくって耳まで食べてもらう、など話し合い、試作・試食を重ねましたがなかなか着地せず………。最終的にパン粉をつくって他の店舗でも使ってもらおう、ということになりました。

何通りも試した結果、パンを焼いてからミキサーにかけてパン粉にするという方法にたどり着きました。保存料を使っていないパンなので、焼かないとすぐにカビが生えてしまうからです。

毎日たくさん出るパンの耳をパン粉にするという取り組みは、いまでは当たり前になりました。トリバコーヒーグループの他のお店でも料理に使ってもらっていますし、はまの屋パーラーでは店頭でお客さまにもお分けしています。私もときどき自宅に持ち帰って料理に使うのですが、香りがよくておいしいんですよ。

はまの屋パーラー後楽園店のグラタン

後楽園店限定メニューの「グラタン」(トースト、ドリンク付き  税込1,250円)。表面にはパンの耳でつくったパン粉を振りかけてカリッと焼き上げている

それからお店でできることとして、おしぼり、ストロー、テイアアウトのカップは、会社全体で変更していきました。アイスコーヒーのガムシロップは、甜菜糖を使ってお店でつくっています。テーブルの上の紙ナプキンも未晒し(みざらし)※の物に変えました。まだまだ道の途中です。

※晒しの工程を経ていないこと。染色・脱色を行っていない(生成りの)紙や布を指す。

手から手、その先へ、伝えてつながるエシカルの輪

有楽町店では、ランチタイムにお待たせしないように、お店の入り口でテイクアウト用のサンドイッチとコーヒーのセットを販売。マイカップやタンブラーをご持参いただくと50円引きにしています。そこで購入される方に「カップお待ちいただくと割引あります」と声をかけていました。最初のうちはカップの持参はほぼゼロ。でも続けているうちに1日に2~3人は必ずカップをお持ちの方が来てくださるように。多いときには6~7人も。続けるって大事だなとつくづく思います。

店頭でお分けしているパン粉もお客さまとのエシカルな会話のきっかけになっています。パン粉をお渡しするときに「おいしかったらまた使ってくださいね」とか「今度は容器をご持参いただけるとありがたいです」とかお伝えしているうちに、容器を持ってきてくださったり、「おいしかったからお友達を連れてきたわ」と再訪してくれた方もいらっしゃいました。

環境問題のためにというよりは、おいしいパン粉がもらえて、環境にもいいならラッキーくらいの気持ちで来ていただけたらと思っています。

パン粉づくりに関しては、忙しい営業の合間にスタッフもよく協力してくれています。廃棄も減りました。今では、パンを焼くのをうっかり忘れてしまったりすると、本当に残念な気持ちになります。いままで当たり前に捨て続けていた部分ですが、継続していくと、こんなにも思いが変わるんだなぁと実感しています。

サンドイッチ用食パンとパン粉

お客さまとのコミュニケーションツールにもなっているパン粉。天然酵母を使用し、じっくりと発酵させたパンだから香り豊か

ミルクピッチャー

できるだけ使い捨てを減らすために、ポーションのミルクやガムシロップの提供は廃止して、昔ながらのピッチャーを使用している

変えずに守るもの、変化して守るものを両立させていく

はまの屋に来るとエシカルについて気付きがあったり、興味を持ってくださる方から私たちも気付くことがある。私たちの取り組みから、館内の他の店舗の方々にも波及していくことがあったり、またその逆ももちろんあると思います。同じフロアのお寿司屋さんでは、毎日お米を精米しているそうで、はまの屋のパン粉と同じように「米糠どうぞ」と置いてあります。すてきですよね。

現在は豆乳を使用する事を進めています。苦手な方もいると思いますので、牛乳か豆乳を選択できるようなやり方で検討しています。いま使っている玉子もそうですが、アニマルウェルフェアに基づいた材料を使う事を意識していきたいです。後楽園店にはまだヴィーガンメニューはないのですが、大人気のプリンもヴィーガンになったらすごいですね。

はまの屋パーラーには歴史があります。先代の頃からのファンという方も多くいらっしゃいます。「変わっちゃったね」とお客さまの足が遠のくことのないように。同じ味でサンドイッチは変わらず提供し続け、そのうえで人や社会、環境や地域に配慮したお店でありたいと思います。伝統の味は守りつつ、よい方向に変化し続けます。

はまの屋パーラー後楽園店

電話番号

03-3830-0361

住所

〒112-0003 東京都文京区春日1-2-3 5F

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※掲載している情報は、2022年3月29日時点のものです。

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