海洋プラスチック問題とは 原因や影響、解決に向けた取り組み

Photo by Brian Yurasits on Unsplash

世界中で海洋プラスチックごみが増え続け、終わりが見えない。SDGs(持続可能な開発目標)の目標14「海の豊かさを守ろう」では、海洋ごみの削減や防止に取り組むことが掲げられている。本記事では海洋プラスチックごみが海に与える影響と、私たちができる対策について解説する。

ELEMINIST Editor

エレミニスト編集部

日本をはじめ、世界中から厳選された最新のサステナブルな情報をエレミニスト独自の目線からお届けします。エシカル&ミニマルな暮らしと消費、サステナブルな生き方をガイドします。

2023.02.07
SOCIETY
学び

イベントや商品の魅力を広げる エシカルインフルエンサーマーケティング

海洋プラスチックごみ問題とは

海洋プラスチックごみ問題とは、海に行き着いたごみによって生じる問題のことを指す。国際会議の議題として取り上げられているだけでなく、SDGs(持続可能な開発目標)のなかでも解決すべき課題として掲げられている。また比較的私たちの生活との関係性からイメージしやすく、最近ではメディアでも紹介されるようになった。

海洋プラスチックごみ問題とは、私たちが生活で使っているレジ袋やペットボトル、使い捨てプラスチック容器、さらには漁網をはじめとした漁業関係のごみなど、さまざまなプラスチックごみが海に流れ出していることである。

現在、世界の海に存在するプラスチックごみの量は1億5,000万tにもおよび、さらに毎年約800万tのごみが、新たに海に流れているといわれている。(※) 毎年800万tという重量はどれくらいかイメージしづらいが、東京ドームに換算すると約7個分というすさまじい量だ。

さまざまな種類の海洋ごみの中で、とくに多いのがプラスチックごみである。そのプラスチックごみが適切に処理されず下水や河川などから海に流れ着き、海洋汚染や海の生態系にも影響を与えてしまっている

レジ袋を禁止・有料化している国は世界60か国以上 日本との違いは?

関連記事

2050年には魚の重量を超える可能性も

先述した通り、すでに海に浮遊しているプラスチックごみは1億5,000万tといわれ、ポイ捨てや不法投棄などにより毎年海に流れ着くプラスチックごみは、世界中で800万tにもおよぶ。

その理由として、過去50年間でプラスチックの使用が20倍も増えており、量が増え続けていることが挙げられる。私たちは再利用できるはずのプラスチックを埋め立て地へ送り、結果的に海を汚染してしまっているのだ。

プラスチックは自然分解しない素材のため、半永久的に海に残り続け、このまま対策を行わなければ2050年には海洋プラスチックごみが魚の重量を上回ると予測されている。海洋プラスチックごみの量は世界的に見てもアジアが上位を占めており、先進国や発展途上国も含めて改善していかなくてはならない問題だ。深刻化する海洋プラスチックのごみ問題は、もはや他人事とはいえない状況なのである。

世界国際フォーラムらが発表したプラごみ問題解決のシナリオとは 2030年までに半減も可能

関連記事

マイクロプラスチックとは

プラスチックごみ問題において、大きく懸念されているのがマイクロプラスチックの存在だ。

マイクロプラスチックとは、大きさ5mm以下の目に見えない微細なプラスチックのことを指す。

海に流れたプラスチックごみが太陽光や波の影響で劣化すると5mm程度のマイクロプラスチックに変化する。マイクロプラスチックは科学的に分解されず、5mm以下と非常に小さいため、一度海に出てしまうと回収することはほぼ不可能だ。

その結果、海の小魚やプランクトンが餌と間違えて食べてしまい、食物連鎖でそれらの生き物を食べることが繰り返されれば、マイクロプラスチックは上位にまで上がってきてしまう。

また、マイクロプラスチックが海を浮遊している間に、海中に微量に溶け出す有害な化学物質をマイクロプラスチックが吸着してしまい、巡り巡って人体に取り込まれる恐れがあるのだ。

本来であれば自然界に存在しないものが、さまざまな生態系の体内に取り込まれていくことは楽観視できない。マイクロプラスチックには、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの2種類が存在する。それぞれ詳しく見てみよう。

一次マイクロプラスチック

一次マイクロプラスチックは、主に洗顔料や化粧品、歯磨き粉などのスクラブ剤に含まれているマイクロビーズのこと。プラスチック製の合成繊維を使用し製造された洋服やスポンジからも、洗い物の際に流れ出てしまっている。

一次マイクロプラスチックは、製品や製品原料として使用されることを目的に製造された。製造時点ですでに非常に細かいため、回収や製品化された後の対策が難しいことが特徴だ。

一次マイクロプラスチックは陸から海へと流れ出すことがほとんどで、粒子の大きさが極めて小さいため下水処理場のろ過装置でも拾うことができず河川や海に流出してしまう場合がある。

二次マイクロプラスチック

二次マイクロプラスチックは、街や海に捨てられたビニール袋やペットボトル、プラスチック製品が海へ流れ出た後、物理的破壊や太陽光の紫外線など何らかの外的要因によって劣化し、5mm以下になったプラスチックのことをいう。

不法投棄や正しい手順で廃棄されなかったプラスチックが海まで流れ着き、マイクロプラスチックへと変容したものだ。どちらのマイクロプラスチックもサイズが小さく分解されないため、自然環境に多大な負荷をかけている。

プラスチックの原料とは? 生産方法から海洋プラスチックごみ問題まで

関連記事

海洋プラスチック問題の原因

海洋プラスチック問題の原因とはどのようなことなのか、それぞれ項目に沿って解説する。

プラスチック製品の増加

人口増加や技術の発達もあいまって、プラスチックの生産量が増えている。プラスチック製品は日常生活で目にする機会が多く、スーパーやコンビニでも多く取り扱われている。比較的安価で入手できるため、使い捨て商品も増加した。

手軽に手に入る製品だからこそ、安易に捨てるなどプラスチック製品をないがしろにしていることがうかがえる。軽量化され耐久性にも優れているため、さまざまな用途でプラスチック製品の利用が拡大したことが増加の要因として考えられる。

マイクロプラスチックの流出

日々の生活の中で大量に生産・消費されるプラスチック製品。ポイ捨てされたり、適切に処分されなかったりしたプラスチックは風や川などによって海へと運ばれ、やがてマイクロプラスチックへと姿を変える。

マイクロプラスチックは微細なため回収することはほぼ不可能であり、プラスチックを削減しない限り海にマイクロプラスチックは溜まる一方だ。

自然に分解されて環境に溶け込むのであれば問題ないが、マイクロプラスチックは難分解性で有害物質などを含んでいるため、生態系にも悪影響を引き起こしてしまう。マイクロプラスチックは一度海に流出すると長い間残り続け、海洋汚染の原因となる。

陸上から流出したごみ

ほとんどの海洋プラスチックごみは陸上由来とされている。ごみの大部分は人口が密集する都市部から河川へと流れ出て、最終的に海に到着する。そのなかでも流出源の上位を占めているのは中国、インドネシア、フィリピン、ベトナムなどのアジア諸国だ。

各国ではリサイクル技術やリサイクル施設の導入が遅れていたり、そもそもごみを分別する習慣がなかったりすることもごみが流出する要因である。日本のプラスチックの生産量を見ると世界でも上位に位置し、大量生産されたプラスチックはアジア諸国へと輸出しているのだ。

ごみは焼却、埋め立て、リサイクルなどの正しい処理が施されれば問題ないが、不法に投棄されたプラスチックごみは水路や川へ流入し、やがて海へ。海の生態系を保護するため、プラスチックごみの発生源である陸上で流出を食い止めなくてはならない。

海ごみの8割は街で生まれている 都市で出たごみが海に行きつくまで

関連記事

海洋への不法投棄

台風や水害で海に流出したごみ、なにげなく川や海に投げ捨てられたごみ、不法に投棄された事業ごみ、廃棄された漁綱や漁具なども、海洋プラスチック問題の原因だ。

海上で投棄された漁具や漁綱、釣り針や釣り糸はごみとなっても漁獲機能を残しているため、海洋生物が網に絡まり動けなくなったり、損傷を受けたり、場合によっては死に至ることもある。

以前は日本のプラスチックごみを中国に輸出していたが、2017年末より中国でプラスチックの輸入規制が制定されたことにより、輸出できなくなった。

プラスチックごみは日本に溜まり続け、廃棄物処理業者が焼却や埋め立てを日々行っているが処理が追いつかず、悲鳴を上げ始めている。

処理がなされない状況が続くと不法投棄され、結果的に海洋汚染につながることが懸念される。海岸に浮遊しているごみは目に見えるが、海中に沈んでしまったプラスチックごみは存在を隠してしまうため、海洋プラスチックごみ問題は静かに深刻さを増している。

プラスチックごみが海に与えている影響

プラスチックごみが海にどのような影響を与えているのか紐解いていく。

生態系への影響

海には魚類、鳥類、海洋哺乳類など、多くの生態系が存在している。分解されないプラスチックが海に漂うことで、餌と勘違いして生物が飲み込んでしまったり、捨てられた漁綱に絡まり溺死してしまうことがある。

死んだ海鳥やウミガメの胃の中からは誤って食べたと思われるプラスチックが見つかり、魚の胃の中からは細かいプラスチックも発見されているのだ。海に漂流しているマイクロプラスチックを摂取することで、体内に蓄積した粒子によって腸閉塞や胃潰瘍を発症し、海の生き物たちの成長を阻害する要因にもなっている。

海に流出したプラスチックごみにより、水中生物に危害を加えたり捕獲してしまったりすることを「ゴースト・フィッシング」と呼ぶ。具体的な影響は明らかになっていないが、プラスチックが含有・吸着する化学物質が食物連鎖に取り込まれることによって生態系におよぼす影響は大きい。

海洋産業への影響

海洋プラスチックごみの問題が深刻なアジア地域では、漁業や養殖業で年間3.6億ドル、観光業で年間6.2億ドルもの損失が出ていると推定されている。

プラスチックごみが海洋環境を破壊し生態系が崩れ、プラスチックごみによって海洋生物が傷を負ったり死んでしまったりすることで、海洋生物の漁獲量が減り、海洋産業に悪影響をもたらす。

そして海洋プラスチックごみ問題は、漁業だけでなく、観光業にも影響を与える。海は海水浴やダイビング、サーフィンなどレジャースポーツを楽しみに訪れる人も多い。プラスチックごみで汚染された海は景観を損ね観光を阻害する要因になるだろう。そうなると、観光業での収入が減り、経済的損失が大きくなってしまう。

日本の取り組み・対策

海洋プラスチックごみ問題がもたらす海への影響は世界的な課題となっている。これらの課題に対し、日本で講じている対策を解説する。

プラスチック資源循環戦略

廃プラスチックの有効利用率の低さや海洋プラスチックなどによる環境汚染に対し、日本政府では2019年に「プラスチック資源循環戦略」を策定。

「3R+Renewable」を基本原則とし、6つの野心的なマイルストーンを目指すべき方向と示した。

3RとはReduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の総称であり、循環型社会をつくるための取り組みを指す言葉として世界的に推奨されている。3Rに加えて再生可能という意味のRenewable(リニューアブル)も基本原則として捉えられている。

具体的な行動として掲げられている目標は以下の通りだ。

Reduce(リデュース)
2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制

Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)
2025年までにリユースリサイクル可能なデザインに
2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により、有効利用

再生利用バイオマスプラスチック
2030年までに再生利用を倍増
2030年までにバイオマスプラスチックを約200万t導入

このように日本では基本原則を掲げ、SDGsや循環型社会の実現、環境へ配慮した取り組みを行っている。

リフューズ、リペアを加えた「5R(ファイブアール)」とは?  無駄な消費を避け、身の回りのものを大切に

関連記事

海洋プラスチックごみ対策アクションプラン

2019年、日本の環境省は海洋プラスチックごみを削減する目的で「海洋プラスチックごみ対策アクションプラン」を策定している。

このプランはプラスチックの有効利用を前提として、新たな海洋汚染を生み出さない世界の実現を目指した取り組みを徹底していくものだ。主に以下8つの対策に取り組んでいる。

① 廃棄物処理制度等による回収・適正処理の徹底
② ポイ捨て・不法投棄、非意図的な海洋流出の防止
③ 陸域での散乱ごみの回収
④ 海洋に流出したごみの回収
⑤ 代替素材の開発・転換等のイノベーション
⑥ 関係者の連携協働
⑦ 途上国等における対策促進のための国際貢献
⑧ 実態把握・科学的知見の集積

プラスチックごみの海への流出をいかに抑えられるかが重要な課題となっている。新たな海洋プラスチックごみを生み出さないよう掲げたこれらの課題を踏まえ、日本の経験や知見を国際的に発信・展開して課題の進捗を毎年把握するなど、3年後を目途に取り組みを強化している。

海洋漂着物処理推進法の改正

我が国は海に囲まれた国土を有しており、海は身近な存在として国民の生活や生産活動を支えるかけがえのない財産である。

また、海は漁業活動や、海水浴場のようなレジャースポットとしての役割も担っており、私たちの日々の生活において多大な恵みを享受している。しかしながら、大量の漂着物が押し寄せ、海洋環境の悪化や生態系にも被害が生じている。

こうした状況を踏まえ、平成21年7月に海洋漂着物処理推進法が公布、施行された。この法律は海岸の良好な景観や海洋環境を保護するため、海洋漂着物の適切な処理や発生の抑制を図ることが目的である。そして平成30年に改正された概要が以下の6点だ。

①-1 目的に海洋環境保全を追加
①-2 海岸漂着物が大規模な自然災害の場合に大量に発生している旨の追加
② 漂流ごみ(沿岸海域に漂流しているごみ、海底に存在するごみ)を新たに定義、漂流ごみについても処理の推進を図るように努めなければならない旨を規定
③ 3Rの推進等による海岸漂着物等の発生抑制に関して規定
④ マイクロプラスチック対策について規定
⑤ 国は、海岸漂着物などの処理推進に寄与した民間団体や個人の表彰に努める旨を規定
⑥ 国は、国際的な連携と国際協力の推進に必要な措置を講ずる旨を規定

プラスチック・スマートキャンペーン

プラスチック・スマートキャンペーンは、2018年10月に環境省が立ち上げた取り組みである。プラスチックごみと賢く付き合うことを目的に、ごみ拾いイベントへの参加やマイバッグの活用など個人、自治体、企業、研究機関などによる不法投棄撲滅の運動や3Rなどの取り組みを募り、その取り組みをキャンペーンサイトや各種イベントなどを通じて広く国内外に発信している。

プラスチックと賢い付き合いをすることが必要な理由は、プラスチックごみがそもそもどこから来ているのかに関係している。海洋プラスチックの80%以上は陸上で使用され捨てられたものだ。その中でもっとも多くの割合を占めるのが、容器包装用等の使い捨てが想定されるプラスチックである。

日本は容器包装用プラスチックごみの発生量が世界第2位だ。使い捨ての習慣が根付いている国で、この習慣を少しでも変えていくためには個人がコンビニのレジ袋やペットボトルの使用を減らすことを意識しなければならない。

そこでマイバッグやマイカップなどを使うことで、プラスチックの使用量を減らすことが求められている。また、企業や自治体はプラスチックを使い捨てせず、リユースやリサイクルをする責任がある。プラスチックに対して正しい価値観を持つことが必要であり、私たち一人ひとりにプラスチックとの賢い付き合い方が求められている。

プラスチックスマートとは 海洋プラスチックごみ問題の解決へ向けて

関連記事

企業の取り組み・対策

良品計画|資源循環型の持続可能な社会貢献

無印良品を展開する株式会社良品計画は、地球資源の循環化および廃棄物削減のためのさまざまな取り組みを進めている。衣料品のほとんどを脱プラスチック化し、包材パッケージも紙素材へ移行。プラスチックボトルの回収やリサイクルなどを実施した。

加えてプラスチック製のレジ袋を廃止した上で、2022年9月からは紙製のショッピングバッグを有料化している。レジ袋を辞退した顧客には自社ポイントサービス「MUJI passportマイル」を進呈し、マイバッグの利用を呼びかけ、啓発と協力に着手した。

また、無印良品の店内にマイボトルを持参すれば誰でも気軽に給水できる給水器を設置。自社開発した給水スポットサーチアプリ「水」を使えば簡単に設置店舗を検索できる。

スターバックスコーヒージャパン|環境配慮型素材の促進とリユース

2022年春より、スターバックスコーヒージャパン株式会社は使い捨て資材の削減をめざし4つの施策をスタート・拡大した。使い捨てカップ削減対策として、従来から取り組んでいたマグカップ利用やマイタンブラーの持参対応の推進に加え、店内のアイスビバレッジの製品提供時に樹脂製グラスを導入した。

同時に「カップ循環プログラム」のエリアを拡大する。このプログラムはTO GO(テイクアウト)時に貸出カップでドリンクを提供し、顧客が店舗へ返却後、パートナー企業で洗浄して再利用するシステムである。

また、プラスチック製リッド(蓋)の削減をめざし、アイスビバレッジ製品のリッドなし提供をはじめた。石油由来の使い捨てカトラリー対策にも熱心だ。提供するカトラリーをリユース可能なカトラリーと100%植物由来素材のカトラリーに移行し、使い捨てカトラリーは44%、石油由来のプラスチックは年間約60tの削減を見込んでいる。

Social Innovation Japan|アプリ「mymizu」

2019年9月、一般社団法人Social Innovation Japanは無料給水スポットサーチアプリ「mymizu」をリリースした。

世界中20万箇所で無料給水場所を簡単に探したり、自分が給水した量を記録したりできる。リリース以来、40ヶ国で26,000回以上ダウンロードされた。このmymizuを利用すれば「mymizuスポット」に登録しているカフェや公共施設などで無料給水ができ、ペットボトルの削減に貢献できる。

小さな行動がインパクトを生む 無料給水スポット検索アプリ「mymizu」が目指す社会

関連記事

海洋プラスチックごみを減らすために私たちができること

日々の暮らしの中でプラスチックごみを減らすために、私たちはどのようなアクションを起こしていけばよいのだろうか。生活を見直す手がかりとして、以下の項目について詳しく解説する。

7Rを心がける

7Rとは環境問題解決のために意識するキーワードのことだ。日本では主に、Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)の3Rを環境改善の優先順位として取り上げている。

しかし、海外では3Rに加えてRefuse:リフューズ(断る)が主流と考えられている国や、5R、7R、10Rまである国も見られる。Rは企業や団体によって異なるため、優先順位の高い3Rに加えて4つあるいは7つ選び、7Rや10Rと呼んでいる。一部のRを紹介しよう。

Repair:リペア(直す)
Remix:リミックス(再編集)
Refine:リファイン(分別)
Rental:レンタル(借りる)
Rebuy:リバイ(買う)
Regeneration:リジェネレイション(再生)
Return:リターン(戻す)

Rはそのほかにも存在し、世界的に環境問題に対する意識が高まっている。ごみ問題を解決するために、ごみを減らし再利用するなどの取り組みを積極的に行い、ごみ問題と向き合っている。

日常生活で出るごみを適切に処理する

日常生活のなかではどうしてもごみが出る。そのごみを適切に処理することにより、海洋プラスチックごみ問題の解決に近付ける。ごみ問題解決のためにさまざまな法律が制定されたが、私たち一人ひとりの意識で少しずつごみを減らしていくことが重要である。

日常的に出るごみに対して私たちが意識しなければならないのが、循環型社会を実現するために重要な3Rだ。例えば使用する資源の量を削減し、ごみの発生自体を減少させることや、決まりにしたって分別すること。

さらに、一度使用した製品・部品は何度も繰り返し使って長持ちさせたり、エネルギー資源として再利用したりして、プラスチック製品の使用を減らせば、環境の保護を目指せるだろう。

マイボトルやマイストロー、マイカトラリーを持ち歩く

マイボトルやマイストロー、マイカトラリーを持ち歩き、積極的に使うことも海洋プラスチックごみ問題対策として効果的だ。プラスチック製品は便利だが、使い勝手がいい分、役目を終えると簡単に捨てられてしまう。

しかし、2022年4月1日から「プラスチック資源循環促進法」が施行され、プラスチックごみ削減の動きが加速。マイボトルやマイカトラリーなどをふだんから持ち歩くことでプラスチック製品を受け取る機会は減り、環境改善に大きく貢献できる。近年ではマイボトルやマイカトラリーも国民に浸透してきており、比較的安価で購入できるため、すぐに実践可能だ。

また、マイボトルを持参していれば先述したように給水スポットで無料給水できたり、カフェでもプラスチックカップの削減ができたりする。だれでも簡単に始められるサステナブルな暮らしの必需品といえる。

プラスチック新法とは? 生活への影響を5つのポイントで解説

関連記事

街中やビーチのごみ拾いに参加し、海へたどり着く前のごみを減らす

時間ができたとき、街中やビーチのごみ拾いをしてみよう。ごみが海にたどり着く前に適切に処理できる。ごみ拾いイベントは、全国各地定期的に開かれており、私たちが手を伸ばせばすぐにできることのひとつといえる。

ごみ拾い団体や環境イベントなどを簡単に検索できるWEBサイトもあるので活用してみよう。とくに便利な機能として「ごみ拾い・環境イベントポータルBLUE SHIP(ブルーシップ)」がおすすめだ。単にごみを拾うだけでなく、地域ごとにどのような種類のごみが落ちているのかデータの収集にも役に立つ。

イベントに参加しなくても自分の住んでいる街や近くの海を自分の手できれいにすれば、周辺に生息する生態系の維持にも貢献できる。ごみ拾いをすることで、日常生活でどれだけの量のごみが環境に影響を与えているのか気付くきっかけになったり、自然と触れ合いリフレッシュになったりもするのではないだろうか。

海洋プラスチック問題の解決をめざして一人ひとりができることを

海洋プラスチック問題は私たちが意識を変えない限り悪化の一途を辿ってしまう。残念ながら、日本は世界的に見ても使い捨てプラスチック大国だ。

だからこそ、一人ひとりが行動を変えれば、海洋プラスチックごみ問題の解決に近づけるかもしれない。ライフスタイルを見直し、無理なくできるアクションからはじめてみてほしい。

※掲載している情報は、2023年2月7日時点のものです。

    Read More

    Latest Articles

    ELEMINIST Recommends