3Rに欠かせない「リユース」とは 意味や具体例、メリットをわかりやすく解説

バザーで販売中の洋服を物色する男性

Photo by Kate Darmody on Unsplash

リユースとは、同じ製品をその形のまま繰り返し使うことを言う。3Rや5Rに含まれていることからも注目され、多くの自治体や企業が、積極的な取り組みを行っている。リユースの基本を学ぶとともに、そもそもなぜリユースが必要とされるのかにも注目してみよう。

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2022.07.30
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目次

リユースとは

リユースとは、英語で「Reuse」、つまり「再利用」を意味する言葉だ。より具体的には、以下のような行動を指す。

・同じ製品を何度も繰り返して使うこと
・何度も繰り返し使える製品を提供すること
・繰り返し利用できるようにするための、さまざまなサービスを提供すること

現代の日本では、必要なものを安価で手軽に入手できる環境が整っている。調子が悪かったり、サイズや趣味が合わなくなったりした製品について、「さらに使い続けるための工夫」をするのは容易ではない。「新たな製品に買い替える」ほうが、はるかに楽だと感じるケースも多いだろう。こうした社会全体の動きを変えるため、注目されているのがリユースである。

リサイクルショップやフリマアプリの台頭など、リユースはすでに大きなビジネスチャンスを秘めた市場として注目されている。2019年7月環境省環境再生・資源循環局総務課リサイクル推進室が発表した「2018年度リユース市場規模調査報告書」によると、2016年における中古品を扱う小売業(5業種)の年間商品販売額の合計は、4兆1,275億円。中古品取扱小売業(5業種)の事業所数も、3万カ所以上に及んだ。(※1)

フリマアプリなどを通じた個人間取引をプラスすれば、その数字はさらに大きくなると予想される。リユースに対する注目度は、今後もさらに高まっていくだろう。

アップサイクルとの違いは「付加価値」

リユースと似た意味の言葉で、近年注目されているのが「アップサイクル」である。アップサイクルとは、元の素材やデザインにアレンジを加え、新しい商品を生み出すことだ。

たとえば誰かにとって不要になったTシャツを、そのままの形で別の人に受け継ぐのは「リユース」である。一方で「アップサイクル」の場合、不要になったTシャツにアレンジやリメイクを施したりする。つまり、不用品に手を加え、新たな商品へとつくり替える方法がアップサイクルなのだ。

混同されがちな両者だが、その意味合いは「付加価値」という側面で全く異なっている。アップサイクルについては以下の記事でも詳しく解説している。あわせて参考にしてみてほしい。

アップサイクルとは 基本の意味や日本・海外の例をわかりやすく解説

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リデュース、リサイクルを加えた「3R」とは

リユースは、リデュース、リサイクルを加えた「3R」として注目されている。3Rとはリユース(Reuse)・リデュース(Reduce)・リサイクル(Recycle)、それぞれの頭文字を取ってつくられた言葉だ。

3Rという考え方が提言されたのは、2000年公布の「循環型社会形成推進基本法」である。この法律は、循環型社会を構築するにあたっての国民、事業者、市町村、政府の役割を規定したもの。廃棄物のなかでも循環的な利用が行われる物品を「循環資源」と位置づけ、さらなる利用を促した。(※2)

2004年になり、当時の首相がG8サミットで掲げたことにより、3Rの注目度は上昇。以降、今日にいたるまで、社会のさまざまなシーンで活用されている。

そんな3Rに関連して、循環型社会形成推進基本法では、循環資源の処理の優先順位が明確に示された。

1.発生抑制(リデュース)
2.再使用(リユース)
3.再生利用(リサイクル)
4.熱回収
5.適正処分

3Rは、この優先順位の上位を占めるもので、循環型社会を形成するために重要な役割を果たしている。

3R(スリーアール)の意味とは 優先順位はリデュース、リユース、リサイクル

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リフューズ、リペアを加えた「5R」とは

近年、3Rにリフューズ(Refuse)とリペア(Repair)を加えた、5Rが注目されている。リフューズは「断ること」を意味し、リペアは「修理すること」を示す。つまり、すぐにごみになることがわかっているものをもらわない(断る)、壊れたものを簡単に捨てず修理して使うことを推奨している。

5R以外にも、リターン(Return/購入先に戻す)、リフォーム(Reform/形を変えて再活用する)、レンタル(Rental/必要なときに借りる)など、エコ活動に関連する「R」は多い。

リフューズ、リペアを加えた「5R(ファイブアール)」とは?  無駄な消費を避け、身の回りのものを大切に

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なぜリユースが必要なのか? 注目される理由とメリット

では、そもそもなぜいま、リユースが注目されているのだろうか。そこには、数多くの社会問題が関連している。

身の回りのさまざまな製品をつくるために、使われるのは資源である。しかしその資源も、無限に調達できるわけではない。いまのペースで消費が進めば、いずれ枯渇するだろう。一方で、増え続けるのが廃棄物である。リユースは、ごみ削減のための取り組みとしても有効だ。リユースだけではなく、3Rや5Rで包括的な取り組みを持続していくことが望ましい。

資源の有効活用という意味では、リデュースやリユースよりも、リサイクルに注目する人は多いだろう。しかし特定の製品を加工し、原料として再利用するマテリアルリサイクルには、相応のエネルギーが必要となる。エネルギーを生み出すための資源の消費や地球温暖化対策についても考慮するなら、製品をそのままの形で再利用できるリユースのメリットは、非常に大きいと言えるだろう。

リユースをはじめとする3Rや5Rは、“持続可能な社会”の実現のために欠かせない動きである。その意味を正しく把握し、一人ひとりが具体的な行動を起こす必要があるだろう。

世界で進むリユースへの取り組み

100%再利用可能な配送ボックス/Boox

カリフォルニアを拠点とするスタートアップBooxが開発したのは、100%再利用可能な、通販商品配送時に使われる配送ボックスである。テープ不用で簡単に組み立てられる「Boox Box」は、何度でも繰り返し使用可能だ。

配送する商品に合わせてボックスを選べるよう、75種類以上を用意。さらに、耐用年数を超えたボックスは、リサイクルで新たな製品へと生まれ変わるという徹底ぶりだ。同製品は従来型の配送ボックスと比較して、環境負担を70%軽減できると言われている。

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官民連携の捨てない不用品処分/東京都墨田区

東京都墨田区と株式会社マーケットエンタープライズが、官民連携で新たなリユース活動をスタートしている。同社が運営するリユースプラットフォーム「おいくら」を使って、不用品を再利用する仕組みを市民に広く提供する仕組みだ。

墨田区では、2021年4月に「墨田区一般廃棄物処理基本計画(第4次)」を策定。3Rのなかでも、とくにリデュースとリユースに力を入れている。具体的には、墨田区公式ホームページ上においくらの情報を掲載。不要品の一括査定申し込みを可能にしている。(※3)

衣料のリユースで難民支援/株式会社ユニクロ

アパレルブランド「ユニクロ」を展開する株式会社ユニクロ。全国の店舗で回収した衣類を、難民キャンプや被災地への緊急災害支援に役立てている。必要なくなった服を捨てるのではなく、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や各地のNGO・NPOと連携し、必要な人のもとへ届ける仕組みだ。

季節やサイズ、気候に文化、宗教など、衣類に求める条件は人それぞれである。ユニクロではニーズに合った衣類を届けられるよう、18種類に分類して対応中だ。(※4)

暮らしのなかでできるリユースの具体例

リユースの取り組みは、我々個人にも求められている。大げさに考える必要はなく、自分にできることから始めていこう。リユースの具体例は以下のとおりだ。

不用品は捨てずに必要な人へ譲る

自分にとっては不要でも、他の誰かは必要としているかもしれない。必要な人を見つけ、譲ることも立派なリユースである。身近な場所でもらってくれる人が見つからない場合は、インターネット上で寄付できる場所を探してみるのもおすすめだ。

リサイクルショップやフリマアプリを活用

リユースにかかる手間を軽減し、金銭的なメリットも生み出すのが、リユースショップの活用である。不用品を処分したい人と必要な人、両者を結び付けるプラットフォームと言えるだろう。お店を介することで、自分で買い手を見つける手間が省ける。

フリマアプリやオークションサイトは、必要な情報を入力して登録すれば、インターネットを介して商品のやりとりが可能になる。自宅から手間なく利用できる点も、メリットと言えるだろう。

詰め替え用アイテムを積極的に選ぶ

より身近なリユースの事例としては、詰め替え商品の利用が挙げられるだろう。たとえば使い終わったシャンプーのボトルを捨てず、中身を詰め替えて使えば、それも立派なリユースである。

私たちにできる「リユース」を探そう

循環型社会の実現のために、リユースは重要な意味を持つ。まずは自分にできることからスタートするとともに、各企業や自治体が、どういった活動をしているのかにも注目してみよう。多くの人が興味・関心を寄せ、注目することで、リユースに関連する取り組みをさらに進めていけるはずだ。

リユースの基本は、不用品を簡単にごみにしないという点にある。ごみとして処分する以外に何か方法がないか、リユースへの道を探すところからスタートしてみてほしい。

※掲載している情報は、2022年7月30日時点のものです。

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