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「エシカル」とは、どんな意味をもつ言葉なのか。サステナブルとはどう違うのか。正しい意味を知るとともに、「エシカルコスメ」や「エシカル消費」など、エシカルにまつわるさまざまな関連用語についても、あわせて解説する。
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エシカルとは、英語の「ethical」で「倫理的」という意味。デジタル大辞泉には以下のように記述されている。
倫理的。道徳上の。また、環境や社会に配慮したさま。
デジタル大辞泉2010年から活動している一般社団法人エシカル協会の公式サイトでは、エシカルとは「人や地球環境、社会、地域に配慮した考え方や行動」と記載されている。(※1)
エシカルは、環境や人、社会など自らを取り巻くすべてに配慮し、良識にしたがって考え、行動をしようとする概念。法律によって厳密に定義され縛られるものではなく、人の良心や道徳心に照らし合わせていく考えだ。
エシカルが気になり始めると、同時に「サステナブル」という言葉もあわせて目にするだろう。
「サステナブル(sustainable)」は、「持続できる」「支持できる」「耐えうる」といった意味を持つ英単語。人が地球環境へ最大限配慮し、資源を守り、環境に負荷をかけないようにする際、使われる。
2015年の国連総会で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」は、「Sustainable Development Goals」の略。世界中にある社会課題に対して、国際社会共通の目標としてまとめられたものだ。
エシカルとサステナブルは意味は異なるが、エシカル(倫理的)な行動を行うことが、サステナブルな社会や生活の実現につながっていると言える。
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エシカルファッションやエシカルコスメ、エシカルフードなど、「エシカル〇〇」という言葉がたくさんある。よくある「エシカル〇〇」について解説していこう。
エシカルファッションとは、直訳すると「倫理的なファッション」。生地などの材料の選定から、生産体制やその労働環境など、人や地球に配慮してつくられた衣類のことを指す。
例えば、グッチやサンローランなどを傘下に持つフランスのケリングは、全ブランドで動物の毛皮の使用を撤廃することを発表。再生型農業生産を拡大するための基金を設立するなど、さまざまな取り組みを実施している。
このようなエシカルファッションの動きは、2013年にバングラデシュで起きた「ラナプラザの悲劇」が大きな転換点となっている。商業施設のラナプラザが、突如崩壊。多数の犠牲者を出した。
ラナプラザには縫製工場が所狭しと詰め込まれており、不当な労働が横行していた。ビルには亀裂が入るなど崩壊の予兆があったが、縫製工場の経営者は従業員をそのまま働かせ続けたのだ。大量生産・大量消費するファッション業界の現状や、格差、人権問題などを白日の下にさらすことになった。
これをきっかけに、ファッション業界ではエシカルを重視するブランドが出始めるなど、シフトチェンジが進んできている。
エシカルコスメとは、「倫理的なコスメ」のこと。エシカルコスメを厳密に定義するものはないが、エシカルが道徳や倫理的という意味があるように、人や環境、社会に配慮してつくられた化粧品をいう。
エシカルコスメの特徴として、生産地の労働者に対し適正な価格で取り引きする「フェアトレード」の原料を使うこと。生産者や環境にやさしいオーガニックの原料を使用していること。製造工程で動物実験を行わない「クルエルティーフリー」であることなどが挙げられる。
地球や人に負担を与えない食べ物を指す、エシカルフード。具体的には、以下のような食べ物がエシカルフードに当てはまる。
・フェアトレードによって調達された食べ物
・オーガニックで生産された食べ物
・環境への負荷がより少ないとされるプラントベースの食べ物
・地産地消される食べ物
さらに、アニマルウェルフェアの視点からヴィーガンフードもエシカルフードと言えるだろう。
エシカルジュエリーとは、エシカルファッション、エシカルコスメなどと同様に、人や社会、自然に配慮した素材を用いてつくられているジュエリーのこと。
宝石類の採掘や生産には、児童労働や低賃金などの問題がついて回ることが少なくない。また、紛争地域で不当に採取され、取引で得た利益が武装勢力に流れていると言われる「紛争ダイヤモンド(コンフリクト・ダイヤモンド)」のような問題もある。
そのような不当な労働環境で採取されておらず、透明性のある調達工程でつくられているジュエリーがエシカルジュエリーと呼ばれる。
エシカルについて知るうえで、「エシカル消費」について忘れてはいけないだろう。消費者庁によると、エシカル消費とは以下のように記されている。
消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと。
消費者庁つまりエシカル消費とは、人や社会、地球環境、地域に配慮された商品やサービスを選んで消費すること。上述したエシカルファッション、エシカルコスメなどを選ぶこともエシカル消費のひとつだ。
また、コンシューマー(consumer)とは、消費者の意味で、エシカルコンシューマーとはエシカルな消費者ということだ。
社会や環境に配慮して生産され、流通したものを自ら率先して選び、そうでないものは選ばない。そうした賢さと、意志を備えた消費者を指す。
『ELEMINIST SHOP』では、エシカルでミニマルな商品を展開。人や動物、地球にやさしいクルエルティフリーのアイテム、開発途上国の生産者や労働者の生活改善をサポートできるフェアトレードのアイテム、できる限りごみを出さないゼロウェイストのアイテムなどを揃えている。
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エシカル投資とは、人、地球環境、地域社会などに配慮した企業やプロジェクトに行われる投資のこと。日本や世界には、SDGsなど人や環境にやさしい取り組みを行っている企業が数多くある。そのような企業に的を絞って投資することが、エシカル投資だ。
個人がエシカル投資を行うもっとも簡単な方法として、エシカルバンクにお金を預けることが挙げられる。エシカルバンクとは、人、地球環境、社会などに配慮した企業やプロジェクトに出資している金融機関のこと。そのようなエシカルバンクに預金することで、その預けたお金が環境や社会、人に配慮したプロジェクトにまわることになる。
エシカルなアイテムを見わけるときに、目印となるマークをいくつか取り上げる。
「フェアトレード」とは、「フェア(fair)なトレード(trade)」、つまり「公正な商い」という意味。
国際フェアトレード認証は、開発途上国で生産されたコーヒー、コットン、カカオ、茶、花などの原料や製品が、公平な条件で取引されていることなどを認証する制度。認証を受けるためには、不当に安価な賃金や、児童労働によって生産されていないかなどが評価され、公平な条件で取り引されていることがチェックされる。
リーピングバニーは、動物実験を行っていないクルエルティフリーを認証する制度。化粧品や日用品が対象となっている。アメリカとカナダはCCIC(Coalition for Consumer Information on Cosmetics)、それ以外の国はクルエルティフリー・インターナショナルが運営している。
世界的に、水産資源をとりすぎていると言われる。古くから水産資源とかかわりが深い日本でも、それは大きな問題だ。
そこで知っておきたいのが、MSC「海のエコラベル」。MSC(Marine Stewardship Council:海洋管理協議会)が管理・推進する、水産資源と環境に配慮した持続可能な漁業で獲られた水産物につけられるマークだ。
せっかく買い物するなら、よりよい選択をしたいもの。それによって、環境や社会がよくなるなら、きっと大切に使い続けたくなるモノになるはずだ。
自分や周囲にとって思いやりにあふれる選択をしていく。そうすることで、自分を取り巻く環境や生活が、より心地よいものに変わっていくのではないだろうか。
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