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エシカルコスメとは、どんなコスメで、どんな特徴があるだろう?ナチュラルコスメやオーガニックコスメとの違いを整理しよう。さらに『ELEMINIST』エシカルディレクターが、エシカルコスメの選び方のポイントを紹介する。
監修者: Keiko Nakagawara
ELEMINIST エシカルディレクター
何でも手作りしてくれた母の影響で、自身も2児の母として何事も自分で一度咀嚼し取り入れるライフスタイルを長年実践。「サステナブル・エシカル・SDGs」、難しい横文字を「暮らし」…
ELEMINIST Editor
エレミニスト編集部
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「エシカル(ethical)」とは、英語で「倫理的な」の意味。一般社団法人エシカル協会によれば、エシカルは「法的な縛りはないけれど、多くの人たちが正しいと思うことで、人間が本来持つ良心から発生した社会的な規範」と記されている。(※1)
人や自然、社会などに配慮した行いは、広くエシカルであると言えるだろう。
エシカルコスメを直訳すると「倫理的なコスメ」。エシカルコスメとは、厳密に定義されているわけではないが、人や環境、社会に配慮してつくられた化粧品を指す。エシカルコスメの特徴として、以下のようなポイントが挙げられる。
原料を倫理的に調達してつくられたコスメは、エシカルコスメと言えるだろう。たとえば、フェアトレードの原料などが該当する。
フェアトレードとは、生産地の労働者に対し適正な価格で継続的に取り引きすることによって、立場の弱い途上国の生産者や労働者を守るための仕組みだ。フェアトレードには認証制度もあるため、製品につけられた認証マークを目印にしてもいい。
人にやさしいコスメは、環境にもやさしいものであるべきだ。そのため、原料となる植物は農薬や化学肥料を使わずに栽培されたもので、化学成分はできるだけ少なくしてつくられているものが多い。
クルエルティフリーとは、製造工程で動物実験を行わないこと。これまで化粧品の安全性を確認するために、動物を用いた実験が行われるのが一般的だった。しかし動物愛護の観点から、動物実験を行わずつくられるクルエルティフリーのコスメが増えている。
クルエルティフリーの認証には、クルエルティフリー・インターナショナルによる「リーピング・バニー・プログラム」や、PETAの「ビューティー・ウィズアウト・バニーズ」などがある。
例えば、効率的に生産するために、必要以上の農薬が使われると、生産者や生産地への影響が懸念される。だが有機栽培でつくられた原材料を用いるなどして、生産地の環境に配慮してつくられたコスメはエシカルであると言える。また、現地の伝統的な農法や作業法などを尊重した品も、生産地の環境へ配慮したものになるだろう。
いくらフェアトレードやオーガニックの原材料を用いても、容器に石油由来のボトルを使用していたり、過剰な包装がされていたりしては残念だ。リサイクル可能な容器に入っているか、過剰な包装がされていないかどうかをチェックしたいところ。
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ナチュラルコスメやオーガニックコスメは、エシカルコスメとどう違うのか。混同しやすい用語について、確認してみよう。
植物などの天然や自然由来の成分を原材料に使用しているコスメのこと。自然派コスメと呼ぶケースもある。日本にはナチュラルコスメの基準がないので、どんなものがどれくらい使われているかチェックすることが大事だ。
農薬や化学肥料に頼らず、オーガニックの製法でつくられた原材料を用いたコスメの総称。海外ではオーガニックコスメの認定基準ができ、日本でもオーガニックコスメの認定団体ができるなど、オーガニックコスメについて基準を定める動きが出てきている。
一般的に、ナチュラルコスメは天然成分を基準とするものであるのに対し、オーガニックコスメはオーガニック原料の基準となる。
製造や開発工程で、動物実験を行っていないコスメのことを「クルエルティフリーコスメ」という。
ヴィーガンとは、卵や乳製品、はちみつなどの動物性製品をとらない完全菜食主義のこと。ヴィーガンコスメとは、製造工程はもちろんのこと、製品にも一切の動物性原料を含まないコスメを指す。
エシカルコスメを探したいとき、どのように選んだらいいだろう。エシカルやサステナブルな情報を紹介する『ELEMINIST』でエシカルディレクターを務める中川原圭子に、エシカルコスメの選び方についてうかがった。下記のポイントをたよりに、自分に合ったエシカルコスメを見つけてほしい。
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中川原いわく、「コスメに関しては、認証マークはあまり基準にしていません」とのこと。なぜなら、それぞれの認定で基準が異なるから。
それに海外製のコスメは、硬水を使用する前提でつくられているため、日本のように硬度が低い軟水で使うと、洗浄力が強い場合があるそうだ。
極論をいえば、適切な運動で発汗し、質のいい睡眠をとることが究極のコスメだという。しかし現代社会では、それは難しいため、次の5つのポイントをチェックするといい。
・オーガニックであるか
・処方がシンプルか
・容器に配慮されているか
・自分の肌にあっているか
・自分の生活圏内で手に入るか
「これらをチェックすれば間違いなしです」と、中川原も太鼓判を押してくれた。
エシカルディレクターの中川原も選定に携わる『ELEMINIST SHOP』では、国内外のエシカルなコスメを揃えている。おもな取り扱いコスメブランドは下記の通り。
植物の力をまるごと配合した、素肌が目覚める全く新しいコスメブランド『NEMOHAMO(ネモハモ)』。化学肥料不使用の有機栽培で大切に育てた良質な植物を原料に使用し、石油由来の原料は一切使用していない。
植物の力を利用して人の体や心をケアする療法「フィトテラピー」。植物療法の第一人者、森田敦子氏の知見をもとに誕生したブランドが『Waphyto(ワフィト)』だ。自然由来の機能性植物原料にこだわり、環境負荷の少ない処方でつくられている。
『みんなでみらいを』は、次の世代に自然豊かな地球をつないでいくプロジェクトから生まれた。米ぬか酵素洗顔クレンジングと米ぬか酵素洗剤がラインアップしている。
ヴィーガンコスメ『Herbivore Botanicals(ハービヴォア ボタニカルズ)』は、自然医療について学んでいた創業者の女性が、自宅のキッチンでつくったのがはじまり。材料には、オーガニック栽培された植物に加え、厳選した天然素材のみを使用している。
ニュージーランドの美しい大自然と人々のサステイナブルな暮らしからヒントを得たオンラインストア「TwoTrees」。エシカルコスメのほか、日用品なども取り扱っている。
世界中の女性のために安全な製品を提供する事を心がけているグリーンビューティーブランド『manucurist(マニキュリスト)』。ヴィーガンでクルエルティフリーなマニキュア関連製品が揃っている。
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「エシカルコスメ」を考えるうえで、「クリーンビューティ」についても知っておきたい。「クリーンビューティ」に明確な定義はないが、有害な成分を排除し、環境負荷の少ないパッケージを使用し、動物実験を行わないなど、より透明性の高いコスメのことを指す。
これまでは美容と社会問題は分けて捉えられていたが、社会全体がSDGsやサステナビリティを目指すなか、「そのコスメが社会に与える影響もクリーンであるか」を考える人が増えている。そのような人に向けてつくられたコスメを「クリーンビューティ」と呼び、エシカルコスメはその一環と言える。
自分の肌や髪にやさしいことはもちろん、社会への影響も配慮する「クリーンビューティ」は、これからの時代のキーワードのひとつになっていくだろう。
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