フェアトレードとは 問題点や商品・基準・認証をわかりやすく解説

フェアトレードとは

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「公正・公平な貿易」という意味のフェアトレード。この背景にある問題やフェアトレードの意義・メリット・問題点について、わかりやすく解説する。また、カカオやコーヒーなどの商品例とともに、フェアトレード認証マークの種類についても紹介する。

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2021.12.14

フェアトレードとは

フェアトレードとは

Photo by Caelen Cockrum on Unsplash

「フェアトレード」とは、直訳すると「公正な貿易」。生産や生産者の労働に見合った価格で対等に取引が行われる貿易システムやパートナーシップを意味する。とくに発展途上国の生産者に対し、生産された原料や製品を適正な価格で購入し続けることで、立場の弱い生産者の賃金や労働環境、生活水準の向上を目指す。

フェアトレードの背景にある問題

植民地支配と奴隷制度

そもそも発展途上国に対して不平等な取引がされるようになったのはなぜか。その原因は16世紀頃の大航海時代にまでさかのぼると言われる。当時のヨーロッパ諸国はアジアやアフリカなどを植民地として支配し、そこに大規模な農園「プランテーション」をつくった。

原住民や奴隷を労働力として利用し、タバコや綿花など市場で売れるものを大量に生産。莫大な利益を得たのである。

その後、アジア・アフリカ諸国は独立を果たすも経済力に乏しく、植民地時代と同様、「売れるものを大量につくり、先進国に安く売る」という構図は変わらなかったのである。

児童労働

また途上国における児童労働問題も根深い。その原因はさまざまあるが、もっとも多いとされるのが貧困である。途上国で暮らす人々のおもな収入源が農作物のため大きな収入が得られず、家計を助けるために子どもたちも働かざるを得ない。

当然、学校に通って学ぶ機会も満足に与えられず、それどころか劣悪な環境下で働かされ、健康被害まで受けている子どももいるのが実情だ。

2021年の報告によると、5歳から17歳の児童労働者は世界に1億6000万人。サハラ砂漠より南のアフリカ地域では、4人に1人の割合となる。(※1)

SDGsとのつながり

2015年に国連サミットで採択された世界共通の目標、SDGs。持続可能な農業と貿易を推進するフェアトレードの取り組みは、SDGsとの親和性が極めて高く、目標達成に寄与する施策として国際機関や世界の企業から注目が集まっている。

とくに目標10の「人や国の不平等をなくそう」では、性別、人種、宗教などを基にした不平等をなくすことが掲げられている。

フェアトレードの基準は WFTOの10原則

世界中のフェアトレード組織が加盟する国際的なネットワーク、世界フェアトレード連盟(World Fair Trade Organization、以下WFTO)では、フェアトレード組織が従うべき10原則についてまとめている。(※2)

1:経済的弱者である生産者に機会を与える

社会的立場の弱い小規模生産者が貧困、または不安定な収入から脱し、経済的に自立できるよう貿易を通じて支援する。

2:透明性と説明責任

経営や取引における透明性を保つ。また従業員や生産者参加型の意思決定を行い、すべての出資者に対して説明責任を果たす。

3:フェアトレードの実行

小規模生産者が社会的、経済的、環境的に健全な生活ができるように配慮した取引を行う。

4: 公正価格

取引価格が公正かどうか、関係者の話し合いと合意のもと決定される。

5:子どもの労働、強制労働のない社会

国連の「子どもの権利条約」および、子どもの労働に関する国内・地域法令を遵守し、子ども、また望まない人が不当に働かされていることがないか確認する。子どもが生産に関わる場合は、健全な生活や安全、教育、遊びに悪影響を与えないようにする。

6:差別のないこと、男女平等、女性の経済的・社会的地位の向上、そして結社の自由への誓約

雇用、給与、昇進、研修、解雇、そして退職において、人種や国籍、宗教、障害、 性別や年齢など、あらゆる面において一切の差別をしない。また男女に平等の機会を提供し、女性が妊娠や出産、授乳中の場合は、健康面や安全性にも配慮する。

7:適切な職場環境の確保

国内・地域法令、ILO(国際労働機関)条約に従い、従業員およびメンバーに対して安全で健康的な職場環境を提供する。また生産者グループの健康と安全性についての意識の向上に努める。

8:キャパシティー・ビルディング(能力強化)の提供

フェアトレードを通じて生産者の経営スキル、生産・管理能力の強化や、市場の拡大に向けた支援を行う。

9:フェアトレードの推進

フェアトレードの目的や活動を普及させるための啓蒙に努める。また消費者に対して、生産者や商品の製造に関する情報を提供し、誠実な広報・営業活動を行う。

10:環境への配慮

オーガニック製品など、できるだけ持続可能な原材料を使用する。また地産資材や再生可能エネルギーを利用し、温室効果ガスの排出を最小限に抑える。

フェアトレードの対象商品

フェアトレードの対象商品

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フェアトレードの商品は、具体的にどのようなものがあるだろうか。ここでは、「国際フェアトレード認証」の認証対象となる商品を紹介する。

食品

産品名代表的な製品
コーヒー焙煎豆
生鮮果物バナナ、りんご、アボカド、ココナッツ、レモン、オレンジ、ワイングレープ
カカオチョコレート
スパイス・ハーブスパイス:バニラ、クミン、コショウ、ショウガ、シナモンなどハーブ・ハーブティー:ルイボス、ハイビスカス、カモミールなど
蜂蜜蜂蜜
ナッツカシューナッツ、胡桃、アーモンド、マカデミアンナッツ
オイルシード・油性果実ごま、オリーブ、大豆など
加工果物・野菜ドライフルーツ、フルーツジュース、ドライ野菜
サトウキビ糖砂糖
紅茶、緑茶など(※ルイボスティーはハーブに分類)
野菜(豆類・じゃがいも等を含む)ピーマン、メロン、ジャガイモ、ひよこ豆、レンズ豆など
穀類米、キヌアなど

食品以外

産品名代表的な製品
繊維コットン
バラ、カーネーションなど
スポーツボールサッカーボール、フットサルボールなど

フェアトレードの認証マークの種類

世界フェアトレード機関(WFTO)

公正な貿易の普及を目指し、1989年に世界中のフェアトレード組織が結成したネットワーク機関で、WFTOの指針を遵守する団体や組織が加盟する。おもにアジア、アフリカ、中南米の生産者や欧米の支援団体が加盟しており、その数は世界70か国以上、355団体におよぶ。

国際フェアトレード認証

世界各国で展開されていたフェアトレードラベルの推進機関を束ねる組織として、1997年に「国際フェアトレードラベル機構」が設立された。WFTOがフェアトレードを推進する組織のネットワーク機関であるのに対し、国際フェアトレード認証はフェアトレードの国際的な基準を統一し、基準を遵守してつくられた製品に対して認証を行う機関である。

そのほかのマーク

フェアトレードへの注目が高まるにつれ、国際フェアトレード認証に類似したシステムが次々と現れる。たとえば「フェア・フォー・ライフ」、「レインフォレスト・アライアンス」、「グッド・インサイド」などが代表的だ。

フェアトレードのメリットと問題点

コットンなどのフェアトレード商品

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メリット

生産者にとっては、これまでの取引価格が見直され、公正な取引が継続して行われることで所得を増やす機会が得られ、貧困から抜け出せる。また児童労働が減り、子どもたちの教育の時間や機会を確保しやすくなる。消費者は、生産背景の透明性が保たれることで、安心・安全で高品質な製品を手に入れられるだろう。

問題点

生産者にとって大きな問題点はないが、フェアトレード商品は一般的な商品と比べて価格が高くなる傾向があり、経済的に余裕のない消費者は手を出しづらい。またバリエーションが少ないものがあり、ニーズに合う商品を見つけられない可能性がある。

フェアトレード商品を取り扱う企業 3つの具体例

イオン:カカオ

イオンはプライベートブランドで販売するすべてのカカオについて、国際フェアトレード認証など第三者の認証を得た持続可能な原料を採用している。また、生産地それぞれの状況に合わせた原料調達計画と、生活・報酬の改善や環境保全活動、教育機会の拡大など生産地発展のための支援活動も実施している。(※3)

カルディ:コーヒー

カルディは、国際フェアトレード認証を受けた人や環境にやさしいコーヒーを取り揃えていることで知られる。例えば、グアテマラの女性たちが育てたウーマンズハンドコーヒーをブレンドした「ウーマンズハンド フェアトレードブレンド」などがある。(※4)

スターバックスコーヒー:コーヒー

スターバックスは、世界でもっとも多くの国際フェアトレード認証のコーヒー豆を購入しているコーヒー会社のひとつだ。

2004年には、国際環境NGOのコンサベーション・インターナショナルの協力のもと、持続可能な調達ガイドライン「C.A.F.E.プラクティス」を策定。生産地にファーマーサポートセンターを開設し、コーヒー栽培の専門家が現地の生産者のサポートを行っている。

毎月20日は、「Ethically Connecting Day ~エシカルなコーヒーの日~」を全国の店舗で制定。世界中のコーヒー生産者とつながりを感じながらコーヒーを楽しむプログラムを実施している。(※5)

フェアトレードの商品を探す

私たちがフェアトレードの商品を選ぶことは、フェアトレードのシステムや生産者を応援することにつながる。サステナブルな暮らしをガイドする『ELEMINIST SHOP』では、日用品からビューティまで、さまざまなフェアトレード商品を展開中だ。ぜひ一度チェックしてみてはいかがだろう。

フェアトレードで考えたい、買い手の責任

グローバル化が推し進められ、いろいろな商品が手軽に買えるようになった現代。だからこそ、手に取る前に一度考えてみてほしい。その手軽さのために途上国の生産者が犠牲となってはいないだろうか?

一部の企業が利益を拡大するために、生産者たちが苦しい思いをすることはあってはならない。すべての人が貧困に苦しむことなく、人間らしい健全な生活を実現する。そのためにフェアトレードのさらなる普及は不可欠だ。そして、買い手の責任として、フェアトレードの製品を選ぶ意識も必要になるだろう。

※掲載している情報は、2021年12月14日時点のものです。

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