環境問題の改善が期待できるバイオマスレジ袋とは? メリットや課題、企業の取り組みを解説

biomass plastic bags

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二酸化炭素排出削減や化石燃料の消費量の削減など、環境汚染問題の観点から注目されている「バイオマスレジ袋」。このレジ袋にはどのようなメリットや課題があるのだろうか。また、バイオマスレジ袋を活用する企業の取り組みについても解説する。

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2025.01.28
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バイオマスレジ袋とは

plastic bags

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バイオマスレジ袋とは、原料に植物などの再生可能な有機資源を使用するプラスチックでつくられるレジ袋のこと。(※1)

そもそもバイオマスとは

バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」という意味がある。バイオマスは、太陽エネルギーを使って水と二酸化炭素から生物が光合成によって生成した有機物であることから、持続的に生み出せるのが特徴といえる。(※2)

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バイオマスレジ袋の原料と種類

バイオマスの原料には、家畜排せつ物、食品廃棄物などの「廃棄物系バイオマス」、稲わら、麦わら、もみがらなどの「未利用バイオマス」、サトウキビなどの糖質資源、トウモロコシなどのデンプン資源といった「資源作物」の3種類がある。(※2)

植物原料の配合基準

日本では「バイオマスプラマーク」「バイオマスマーク」「グリーンプラマーク」「エコマーク」といったバイオ由来製品の認証制度がある。それぞれの認証制度で配合基準が異なり、バイオマスプラマークは原料組成中のバイオマス由来成分を25.0重量%以上含むこと、バイオマスマークは商品におけるバイオマスの割合が10%以上であること、グリーンプラマークは生分解性合成高分子化合物と天然有機材料の総計を50.0重量%以上、または50.0体積%以上含むものとしている。またエコマークは商品類型ごとに異なるが、ごみ袋ならプラスチック中のバイオベースポリマー含有率が25%以上であることとしている。(※3)

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分解性や耐久性の特徴

バイオマスレジ袋のなかには、化学構造によって生分解性を備えたものもある。ただし、生分解性を備えたものは自然に分解される性質から一般的に耐久性が低いとされる。(※4)

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バイオマスレジ袋が注目される背景

海洋汚染

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バイオマスレジ袋が普及し始めた社会的・環境的背景を解説する。

プラスチックごみによる環境汚染問題

従来のプラスチック製品は廃棄後に自然分解されず、海洋汚染や生態系へ悪影響を及ぼしている。とくに海洋プラスチック問題は、生物が誤って飲み込む、海洋生物の生態を脅かすなどの形で国際的な問題となっているのが現状だ。このことにより、バイオマスレジ袋は石油由来プラスチックの代替として注目されている。(※5)

二酸化炭素排出削減への取り組み

従来のプラスチックは化石燃料を原料としており、その製造や廃棄プロセスで多量の二酸化炭素が発生する。一方のバイオマス素材は植物由来であり、成長過程で二酸化炭素を吸収するため、カーボンニュートラルの特性を持つとされており、二酸化炭素排出削減につながることから注目されている。(※5)

持続可能な資源利用の推進

国や自治体、企業が「循環型社会」を目指す動きが強まり、消費者の関心も高まっている。バイオマスレジ袋は持続可能な資源を活用している点で、資源循環の視点からも評価されている。(※5)

プラスチック製レジ袋の有料化

日本では2020年7月にプラスチック製レジ袋の有料化が義務化され、代替素材への関心が高まった。そのことから、環境にやさしい素材としてバイオマスレジ袋が脚光を浴びている。(※6)

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バイオマス利用商品に表示できる「バイオマスマーク」

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バイオマスマークは、生物由来の資源(バイオマス)を利用した商品に表示できるマークのことを指す。バイオマスマーク商品の認定を受けるには、商品の安全性、商品が表示しようとする機能、含まれるバイオマスの割合などが、申請内容と合っているかを第三者の複数の専門家からなる審査委員会が確認し、書類審査に合格する必要がある。(※7、※8)

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バイオマスレジ袋のメリット

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バイオマスレジ袋がもたらす環境的・社会的な利点を解説する。

二酸化炭素排出量の削減に貢献

バイオマス原料は、成長過程で二酸化炭素を吸収する。そのため、燃焼や分解時に排出される二酸化炭素量が全体的に相殺される「カーボンニュートラル」の特性を持つのが特徴だ。よって、二酸化炭素排出量の削減に貢献できる。(※5)

化石燃料の消費量を減らせる

従来のレジ袋の原料には化石燃料を使用するが、バイオマスレジ袋はトウモロコシやサトウキビなどの植物を原料とするため、石油などの化石燃料の使用を抑制し、資源の枯渇を防ぐ効果がある。(※5)

プラスチックごみの軽減

バイオマスレジ袋の一部が生分解性の素材でできている場合、適切な条件下で自然に分解することができる。これにより、プラスチックごみ問題や海洋汚染を減少させる効果が期待される。(※9)

企業イメージの向上

植物資源を利用したバイオマスレジ袋は環境に配慮した製品であるため、プラスチック削減政策やSDGsに適合している。そのため企業がバイオマスレジ袋を導入すれば、企業イメージの向上にもつながる。

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バイオマスレジ袋普及に向けた課題

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バイオマスレジ袋に関する課題や注意点について解説する。

完全生分解性ではない製品が多い

バイオマスレジ袋のなかには生分解性を持つものもあるが、多くの製品が完全生分解性ではない。後者の製品では、堆肥化等の肥料生産やバイオガス化の工程において分解せず、リサイクル工程に悪影響を与えることがある。(※5)

製造コストが高い

バイオマスレジ袋は、従来の化石資源由来のプラスチック袋よりも製造コストが高い。そのためバイオマスレジ袋を調達する店側や、購入する消費者に負担がかかることが考えられる。(※5)

植物原料の大規模生産が環境に与える影響

バイオマス素材の主な原料に、トウモロコシやサトウキビなどがある。これらは食料にもなる農作物であり、大規模で生産すれば原料供給の安定性を脅かす可能性がある。また土地利用競合、農業による二酸化炭素排出により、天候や気候変動に影響を与えることも考えられる。(※10)

リサイクルとの両立

現在あるバイオマスレジ袋で100%バイオマスプラスチックでできている製品は少なく、ほとんどの場合、従来のプラスチックとバイオマスが混合されている。そのためバイオマスレジ袋を廃棄した場合に、リサイクルが難しいのも難点といえる。(※10)

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バイオマスレジ袋を活用する企業の取り組み

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さまざまな企業がバイオマスレジ袋を導入している。ここでは3社の事例を紹介する。

ファミリーマート

ファミリーマートは、2020年2月に「ファミマecoビジョン2050」を策定。2020年7月から、全レジ袋をバイオマス素材を30%配合したものに切り替え有料化している。この「ファミマecoビジョン2050」では、レジ袋などの用度品の環境配慮型素材割合を2030年までに70%の水準を目指すとしている。(※11、※12)

イオン

イオンでは、国際的な認証機関「SGS SA」と「UL Inc.」よりバイオマス検証マークを取得したレジ袋を有料で販売している。このレジ袋の特徴は、SGSとULの検証に基づいたバイオマス素材の含有率が70%と、バイオマス素材の含有率が高い点だ。このバイオマス有料レジ袋に加え「マイバッグ持参運動」「マイバスケット持参運動」を推進している。(※13)

コープさっぽろ

生活協同組合コープさっぽろでは、ライスレジン(R)製のレジ袋を導入している。このライスレジンは、食用に適さない古米、精米時に発生する屑米など、廃棄される米を活用した国産バイオマスプラスチックである。全店舗で導入し、CO2削減の取り組みに励んでいる。(※14)

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環境にやさしいバイオマスレジ袋

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バイオマスレジ袋は、二酸化炭素排出削減や化石燃料の消費量を減らせることから、従来のレジ袋にくらべて環境にやさしいのが特徴だ。今後は、100%バイオマスでできたレジ袋の普及が期待される。身近な店舗のレジ袋がどうなっているのか、興味を持って取り組みに想いを馳せてみたい。

※掲載している情報は、2025年1月28日時点のものです。

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