バイオエタノールとは? 注目される背景や普及の現状、メリット・デメリットを解説

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環境にやさしい燃料として注目を集めている「バイオエタノール」。カーボンニュートラル達成が期待されるバイオエタノールとはどのようなものか。注目される背景や普及の現状、メリット・デメリット、活用事例について説明する。

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2024.12.17

バイオエタノールとは

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バイオエタノールとは、サトウキビやトウモロコシ、小麦、廃木材などのバイオマスから製造されたエタノールのことを指す。環境省が設置したエコ燃料利用推進会議のバイオエタノールの定義は、「サトウキビやトウモロコシなど農作物や木材・古紙等のセルロース系バイオマスといった植物由来の多糖からつくられる液体アルコール」である。

なおバイオ燃料はバイオエタノールの一種で、バイオマスから生成される燃料だ。(※1、※2)

バイオエタノールが注目される背景

現在、世界中で喫緊の課題となっているのが地球温暖化対策だ。バイオエタノールは、農作物や廃木材から製造できることや、化石燃料にくらべてライフサイクルにおけるCO2排出量が少ないという特徴があり、エコ燃料として注目を集めている。(※1、※2)

バイオエタノールの主な用途

バイオエタノールは、おもに自動車、飛行機、船舶などの燃料や火力発電に使われている。(※3)

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バイオエタノールの原料と製造方法

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バイオエタノールはどのようにしてできるのだろうか。ここでは、原料と製造方法について解説する。

原料の選定

バイオエタノールの主な原料は、トウモロコシやサツマイモ、ムギ、タピオカなどのデンプン質原料と、サトウキビやテンサイなどの糖質原料、木質バイオマスや稲わらのセルロース系原料がある。また食品廃棄物や建築廃木材、風倒木などを原料としたバイオエタノール生産の実証試験も進められている。(※2、※4)

発酵と蒸留

サトウキビなどの糖質原料の場合、砂糖生産の副産物として発生する糖蜜にふくまれる糖分を発酵させる。発酵後、蒸留、脱水処理を行い、エタノールの濃度を高める。(※1、4)

セルロース系バイオエタノールの製造

木質バイオマスや稲わらなどのセルロース系原料の場合は、製造方法が異なる。原料を粉砕し、酵素や硫酸を使ってでんぷんやセルロースなどを糖に分解(糖化)する。それから発酵させ、蒸留、脱水処理を行いエタノールの濃度を高める。

セルロース系原料からのバイオエタノールの製造は、糖化する工程に技術的なハードルが高くコストもかかるため、技術開発の向上が期待されている。(※1、4)

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バイオエタノールのメリット

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バイオエタノールにはどのようなメリットがあるのか解説する。

CO2排出削減効果

バイオエタノールを燃焼させるとCO2が排出されるが、バイオエタノールのおもな原料が植物であるため、植物が成長する過程でCO2を吸収する。ライフサイクル全体の炭素循環で見ると、化石燃料よりもCO2の排出量削減効果があり、地球温暖化の防止につながる。(※5)

再生可能なエネルギー資源

バイオエタノールは、トウモロコシ、サトウキビ、木材廃材、食品廃棄物など、再生可能なバイオマス資源からつくられる。そのため原料が枯渇する心配が少なく、化石燃料に依存しないエネルギー供給が可能となる。(※3)

農業廃棄物や非食用作物の活用が可能

原料に麦わらやトウモロコシの茎や葉、草といった農業廃棄物や非食用作物を活用できる。これにより、廃棄物を効率的に燃料化が可能で、燃料コストの低減や環境負荷のさらなる軽減が期待される。(※6)

将来的なエネルギー危機への対策

バイオエタノールは農作物をおもな原料とすることから、原料の枯渇の心配がない。また毎年生産可能であるため、安定した供給が可能だ。エネルギーの持続可能性を確保できるため、将来的なエネルギー危機への対策として期待されている。

地域経済の活性化

農作物をおもな原料とするため、農村地域の雇用機会を創出し、経済の活性化にも貢献する。また、農業の付加価値を高める効果が期待できる。(※3)

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バイオエタノールのデメリットと課題

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バイオエタノールにはメリットがある一方で、デメリットや課題もある。どのようなものがあるのか見てみよう。

食料問題への影響

バイオエタノールの主要原料であるトウモロコシやサトウキビは、食料としても利用される。そのため、バイオエタノールへの利用が進むと食料価格の上昇や供給に影響を与える懸念がある。(※2)

生産効率とコストの問題

バイオエタノールの製造には、多くの資源やエネルギーが必要となる。そのため、コストが高くなるのがデメリットといえる。(※8)また輸送、流通コストが高いのも課題であり、これが普及の妨げとなっている。

製造や輸送過程でのエネルギー消費

バイオエタノールは化石燃料に比べ環境負荷が低いとはいえ、生産時にはやはりエネルギーを消費する。原料の農作物の栽培にかかるエネルギー、製造工程でのエネルギー、輸送エネルギーなどが該当する。(※9)

水や土地の消費

バイオエタノールの作物栽培や製造過程では、多量の水が必要となる。そのため水資源の枯渇が、水資源が限られた地域で深刻な問題となる。

また原料となる農作物をつくるためには、広大な土地を必要とする。農地が燃料用作物の栽培に転用されれば、農業生産への影響や森林破壊のリスクがある。(※9)

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バイオエタノールの活用事例

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バイオエタノールはどのように活用されているのか。事例を紹介しよう。

自動車燃料としての利用

バイオエタノールは、自動車の混合燃料として利用されている。バイオエタノールを10%混合したガソリンを「E10」、3%混合したガソリンを「E3」と呼んでいる。アメリカではE10燃料が広く普及しており、日本では、通常のガソリン自動車でE3の利用が認められている。(※2、※10)

発電に利用

バイオエタノールを燃焼させて発電に利用することも可能だ。バイオエタノール発電の例としては、日立製作所が低濃度バイオエタノールと排熱を利用した高効率なエンジン技術を開発。また日産自動車は、バイオエタノール(ソルガムバイオエタノール)を採用した定置型発電システムを開発している。(※11、※12)

航空燃料としての可能性

バイオエタノールを原料として航空燃料に加工する技術が開発されている。航空業界は温室効果ガス削減を求められているため、SAF(持続可能な航空燃料)はその重要な解決策となる。(※13)

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バイオエタノールの普及状況と今後の課題

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日本におけるバイオエタノールの導入目標は、エネルギー供給構造高度化法に基づき、石油精製事業者に対して原油換算で年間50万kLが設定されている。2017年度の導入量は輸入量の38.3万kLのみで、2016年度の自給率は0.1%であった。(※14)

今後の普及に向けては、次のような課題が挙げられる。まずはガソリンより割高傾向にあるバイオエタノールの価格を抑えること。そして製造・供給インフラの整備、バイオエタノール自給率のアップ、セルロースや廃棄物などを活用した次世代バイオエタノールの技術開発が必要となる。これらの課題を解決するためにも、さらなる技術開発が期待される。(※3)

クリーンな燃料「バイオエタノール」の普及拡大に期待

バイオエタノールは、CO2の削減、再生可能なエネルギー資源、経済的効果など多くのメリットをもつ次世代の燃料である。化石燃料の代替として注目される一方で、食糧生産との競合や生産コストなどの課題も抱えている。今後はさらなる技術開発によって、普及が広がることだろう。

※掲載している情報は、2024年12月17日時点のものです。

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